この記事を要約すると
- 相続放棄の申述後、家庭裁判所が判断に必要な場合に、書面で質問や確認をすることがあります。
- 相続放棄の照会書が届いたら、書面記載の期限を確認し、推測や虚偽を避けて事実を正確に回答します。
- 死亡を知った日、遺産の使用・処分、借金の支払いなどに迷いがある場合は、返送前に裁判所または専門家へ相談します。
この記事をおすすめしたい方
- 相続放棄 照会書というキーワードで記事をお探しの方
- 家庭裁判所から質問書・回答書が届き、回答期限や書き方に不安がある方
- 遺産の使用・処分や相続開始を知った日をどう説明するか迷っている方
相続放棄の申述後に家庭裁判所から見慣れない書面が届くと、「手続きに問題があったのか」「何と回答すればよいのか」と不安になる方も多いでしょう。
照会書や回答書の名称、質問、回答期限、返送方法は、家庭裁判所や個別の事件によって異なります。インターネット上の回答例をそのまま写すのではなく、届いた書面の指示を読み、自分の事実を正確に記載することが大切です。
この記事では、照会書の意味から返送前の確認事項、回答に迷う場合の相談先まで、届いた後の順番に沿って解説します。
目次
相続放棄の照会書とは何か
この記事でいう照会書とは、相続放棄を申述した本人に対し、家庭裁判所が相続放棄の意思や事情を確認するために送る質問書類を指します。「照会書」「回答書」「相続放棄申述についての照会書」など、書面の名称は裁判所によって異なることがあります。
裁判所の相続放棄申述書の案内には、実際に申述を受けた家庭裁判所が、判断のためにさらに書面で照会したり、直接事情を尋ねたりする場合があると記載されています。つまり、照会書はすべての申述人へ必ず同じ形式で届くものではありません。
なお、「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会書」は、相続人や債権者が、特定の相続人による相続放棄の有無を裁判所へ問い合わせる別の手続です。本記事で扱う、申述人本人に届く確認書類とは区別してください。
照会書はいつ届くか
申述後、家庭裁判所が書面による追加確認を行う場合に送られますが、全国一律の発送時期は公表されていません。事件の内容、提出書類、裁判所の処理状況によって異なり、書面照会をせずに進む場合や、電話・追加資料の提出で確認される場合もあります。
申述後しばらく連絡がないときは、申述書の控えや受付に関する書面を確認してください。住所変更、郵便転送、書類不足の連絡を見落としていないかも確認し、心配な場合は申述先の家庭裁判所へ事件番号を伝えて問い合わせます。
相続放棄の申述自体は、民法第915条により、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内です。手続全体は裁判所の相続放棄の申述案内で確認できます。
照会書が届いたら最初に確認すること
封筒を開けたら、回答を書き始める前に次を確認します。
- 送付元が申述先の家庭裁判所または担当部署か
- 書面の名称と事件番号
- 申述人と被相続人の氏名
- 回答期限と返送先
- 署名・押印、追加資料、返送用封筒の指定
- 担当部署の電話番号
同封物は捨てず、封筒も含めて保管してください。申述書の控え、裁判所へ提出した資料、債権者からの通知なども手元にそろえると、事実関係を確認しやすくなります。
回答期限は届いた書面で確認する
照会書の回答期限は、届いた書面に記載された日付を最優先してください。「到着後10日」「2週間」などを全国共通の期限として扱うことはできません。
期限内の回答が難しい事情がある場合は、放置せず、期限前に担当部署へ連絡して対応方法を確認します。すでに期限を過ぎている場合も、自己判断で返送だけを済ませるのではなく、書面に記載された家庭裁判所へ速やかに連絡してください。期限超過後の取扱いは個別の事件で異なり、受理される、却下されないなどの結果を保証することはできません。
照会書の主な質問項目
質問内容は裁判所と事案によって異なりますが、一般に次のような事情を確認されることがあります。
| 確認されることがある項目 | 確認する資料・事実 |
|---|---|
| 相続放棄は本人の意思か | 自分で内容を理解して申述したか、強制や誤解がなかったか |
| 被相続人の死亡を知った日 | 死亡連絡、戸籍、債権者通知、先順位者の放棄を知った経緯など |
| 自分が相続人になったことを知った日 | 続柄や先順位者の状況、通知を受けた日 |
| 相続財産・債務を知った経緯 | 預金、不動産、請求書、督促状、保証債務など |
| 遺産を使用・処分したか | 預金払戻し、債務支払い、家財処分、形見分け、売却などの有無 |
| 相続放棄をする理由 | 借金、疎遠、管理困難など、実際の事情 |
| 申述書の作成・提出経緯 | 本人作成、専門家の書類作成支援、提出方法など |
これは質問を予想するための一般例です。届いた書面にない質問を追加して回答する必要はありません。反対に、届いた書面で追加資料や説明を求められた場合は、その指示に従います。
照会書へ回答するときの注意点
事実を正確に記載する
回答例は、事実の整理方法を理解するための参考にとどめ、事実と異なる文章を写さないでください。「受理されやすい答え」を作るのではなく、いつ、誰から、何を知り、何をしたかを確認して記載します。
例えば死亡を知った日なら、「令和○年○月○日、親族○○から電話で死亡の連絡を受けた」のように、分かる範囲で日付と経緯を整理します。財産の処分については、行為の有無だけでなく、日付、金額、目的、対象物を確認します。この例も、実際にその事実がある場合だけ使える整理方法です。
申述書と違いがあれば理由も確認する
申述書の控えと照会書の回答を照合します。ただし、無理に同じ内容へ合わせるため、記憶と違う日付を書くことは避けてください。申述書の記載に誤りが見つかった場合や、その後に新しい資料が見つかった場合は、変更の理由を整理し、返送前に担当裁判所へ確認します。
「不明」と書けば常に問題ないとは限らない
分からないことを推測で断定する必要はありませんが、何も確認せずにすべて「不明」とするのも適切とは限りません。確認した資料、把握している範囲、分からない理由を整理し、質問に沿って記載します。
遺産の使用・処分・支払いは個別判断が必要
民法第921条は、相続財産の全部または一部を処分した場合などに法定単純承認となる場面を定めています。しかし、葬儀費用、保存行為、少額の支払い、家財整理などは、目的・金額・時期・財産の性質によって評価が異なります。e-Gov法令検索の民法第921条を根拠にしつつ、個別事情を専門家へ確認してください。
返送前のチェックリスト
- 書面の名称・送付元・事件番号を確認した
- 書面に記載された回答期限を確認した
- 申述書の控えと回答内容を照合した
- 死亡や相続人になったことを知った日を、事実に基づき確認した
- 遺産の使用・処分・支払いの有無を確認した
- 推測や虚偽を避け、分かる範囲を正確に記載した
- 必要な署名・押印・添付資料・記入漏れを確認した
- 返送前に回答書一式のコピーを取った
- 指定された返送先・返送方法を確認した

回答に迷う場合の相談先
書面の読み方、回答期限、返送方法など手続上の確認は、照会書に記載された家庭裁判所の担当部署へ問い合わせます。裁判所は個別の法律相談や「どのように答えれば受理されるか」という助言をする機関ではないため、事情の法的な整理が必要な場合は専門家へ相談します。
司法書士は、相続放棄申述書など裁判所提出書類の作成支援、戸籍収集、事実関係と資料の整理を行います。ただし、本人の事実を変えたり、受理を保証したりすることはできません。相続人間の紛争、債権者との交渉、訴訟対応が必要な場合は弁護士への相談が適切です。
まず申述から受理までの流れを確認したい方は、相続放棄の手続き全体を確認するページをご覧ください。回答内容に迷う事情がある方は、相続放棄を専門家に相談することをご検討ください。
相続放棄の照会書に関するFAQ
相続放棄の照会書は必ず届きますか?
必ず届くとは限りません。家庭裁判所は判断に必要な場合、書面で照会したり、直接事情を尋ねたりします。照会方法や内容は裁判所と事件によって異なります。
照会書は申述後いつ届きますか?
全国一律の発送時期は公表されていません。事件内容や裁判所の処理状況で異なります。長く連絡がなく心配な場合は、申述先の家庭裁判所へ事件番号を伝えて確認してください。
照会書の回答期限は何日ですか?
全国共通の日数ではなく、届いた書面に記載された期限を確認します。期限内の回答が難しい場合は、放置せず、期限前に担当部署へ相談してください。
回答例をそのまま書いてもよいですか?
事実と一致しない回答例を写してはいけません。自分がいつ何を知り、何をしたかを資料と記憶から確認し、推測や虚偽を避けて正確に記載してください。
故人の預金を使った場合はどう回答しますか?
使用の有無だけでなく、日付、金額、目的、誰が手続きしたかを確認し、事実を記載します。その行為が相続放棄へ与える影響は個別事情で異なるため、返送前に専門家へ相談してください。
まとめ|照会書は事実を正確に確認してから返送する
相続放棄の照会書が届いたら、送付元、事件番号、回答期限、返送方法を確認し、申述書の控えや手元の資料と照合します。質問や期限は裁判所・事件ごとに異なるため、一般的な回答例より、届いた書面の指示が優先です。
受理されやすい文章を作るのではなく、自分が知っている事実と行った行為を正確に記載してください。遺産の使用・処分、期限超過、申述書との違いなどに迷いがある場合は、返送前に裁判所または専門家へ確認します。
個別事情を整理して相談したい方は、無料相談を予約するページから、照会書、申述書の控え、債権者通知など手元の資料をお知らせください。
この記事の監修者

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