この記事を要約すると
- 代襲相続は相続人の死亡・欠格・廃除で発生し、相続放棄では起こらない
- 子は孫・ひ孫まで再代襲するが、兄弟姉妹の代襲は甥姪の一代限り
- 代襲相続人の相続分は元の相続人の取り分を引き継ぎ複数なら頭割り
「親より先に亡くなった兄の子どもは、祖父の遺産を相続できるの?」
「代襲相続と相続放棄は何が違うのか、いまいち分からない……」
相続の場面では、本来相続するはずだった人がすでに亡くなっていて、その子どもが代わりに相続人になる「代襲相続」がしばしば問題になります。
仕組みが少し複雑なので、「自分の家族は誰が相続人になるのか」「取り分はどうなるのか」と不安になりますよね。
相続人の範囲を勘違いしたまま手続きを進めると、あとで協議のやり直しになることもあります。
この記事では、代襲相続とは何かという基本から、発生する3つの原因、孫や甥姪が相続人になる範囲と再代襲のルール、相続分の計算方法、必要な戸籍や手続きまで、司法書士が総合的に解説します。
読み終えるころには、あなたのケースで誰がどれだけ相続するのかが見通せるようになります。
この記事はこんな方におすすめ
- 代襲相続とは何か、基本の仕組みから理解したい方
- 孫や甥姪が自分のケースで相続人になるのか知りたい方
- 代襲相続人の相続分がいくらになるか計算方法を知りたい方
目次
代襲相続とは?基本の仕組みと発生する3つの原因
代襲相続は、相続人になるはずだった人に代わって、その子どもが相続する制度です。
まずは「どういう仕組みなのか」「どんなときに発生するのか」という基本を押さえましょう。
相続放棄との違いもここで整理します。
代襲相続とは相続人の代わりに子が相続する制度
代襲相続※とは、本来相続人になるはずだった子や兄弟姉妹が、被相続人※より先に亡くなっているような場合に、その人の子どもが代わりに相続人になる制度です。
たとえば、祖父が亡くなったときに、その子である父がすでに他界していたとします。
この場合、父が受け取るはずだった相続分を、父の子である孫が代わりに引き継ぎます。これが代襲相続です。
参考:民法第887条(子及びその代襲者等の相続権) – e-Gov法令検索
この制度があるのは、本来相続できたはずの家系の人が、親が先に亡くなっていたというだけで相続から外れてしまうと不公平になるためです。
亡くなった相続人の子を保護する仕組みといえます。
※代襲相続:本来の相続人に代わって、その子が相続すること。
※被相続人:亡くなった方のこと。相続される側の人を指す。
代襲相続が発生する3つの原因(死亡・欠格・廃除)
代襲相続が発生するのは、相続人が「死亡」「相続欠格」「廃除」のいずれかで相続権を失った場合の3つに限られます。
相続放棄はこの3つに含まれません。
| 発生原因 | 内容 | 代襲相続 |
|---|---|---|
| 死亡 | 相続人が被相続人より先に亡くなる | 発生する |
| 相続欠格 | 重大な非行で相続権を失う | 発生する |
| 廃除 | 虐待などで家庭裁判所が相続権を奪う | 発生する |
| 相続放棄 | 自ら相続権を放棄する | 発生しない |
相続欠格※は、被相続人を殺害するなど重大な非行があった場合に、法律上当然に相続権を失う制度です。
廃除※は、被相続人への虐待や重大な侮辱があったとき、被相続人の請求で家庭裁判所が相続権を失わせる制度をいいます。
参考:民法第891条(相続人の欠格事由) – e-Gov法令検索
いずれのケースも、相続権を失った本人に子がいれば、その子が代襲相続人になります。
※相続欠格:被相続人を殺害するなど重大な非行により、法律上当然に相続権を失うこと。
※廃除:被相続人への虐待などを理由に、家庭裁判所の審判で相続権を失わせること。
相続放棄では代襲相続は発生しない理由
3つの原因と混同されやすいのが「相続放棄」ですが、相続放棄をしても代襲相続は発生しません。
これは、民法で「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と定められているためです。
参考:民法第939条(相続の放棄の効力) – e-Gov法令検索
代襲相続は「相続人だった人」の子が代わりに相続する制度です。
ところが相続放棄をした人は、最初から相続人ではなかったことになるため、その子に相続権が移ることはありません。
たとえば、父が祖父の遺産を相続放棄した場合、父の子(孫)が代わりに相続することはないのです。
「放棄すれば子どもに引き継がれる」と考えている方が多いですが、これは誤解なので注意しましょう。
ご自身のケースで代襲相続が起きるか判断に迷うときは、早めに専門家へご相談ください。
FAQ
Q. 代襲相続とは何ですか?
A. 相続人の代わりにその子が相続する制度です。
Q. 代襲相続が起きる原因は?
A. 相続人の死亡・欠格・廃除の3つです。
Q. 相続放棄でも代襲相続は起きる?
A. 起きません。放棄者は初めから相続人でなかった扱いです。
誰が代襲相続人になる?対象範囲と再代襲のルール
代襲相続は、すべての相続人に等しく起こるわけではありません。
相続順位によって、どこまで下の世代が相続できるかというルールが異なります。
あなたの家族構成では、孫や甥姪は相続人になるのでしょうか。
ここでは、孫・甥姪がどこまで相続人になるのかを順位ごとに整理します。
| 相続順位 | 相続人 | 代襲の範囲 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 子 | 孫・ひ孫と続く(再代襲あり) |
| 第2順位 | 直系尊属(父母) | 代襲なし |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 甥姪まで(再代襲なし) |
第1順位:子が死亡なら孫・ひ孫が再代襲
第1順位である子が被相続人より先に亡くなっている場合、その子である孫が代襲相続人になります。
さらに孫も亡くなっていれば、ひ孫が相続する「再代襲」が認められます。
つまり、直系卑属※である子・孫・ひ孫の系統では、下の世代が生きている限り、代襲相続は何代でも続いていきます。
これは、亡くなった方の直系の子孫にできるだけ財産を承継させるという考え方にもとづくものです。
あなたのご家庭に、先に亡くなったお子さんとそのお子さん(お孫さん)がいる場合は、この第1順位の代襲相続に該当する可能性があります。
※直系卑属:子、孫、ひ孫など、直接の血統でつながる下の世代の親族。
第3順位:兄弟姉妹の代襲は甥姪の一代限り
被相続人に子や父母がおらず、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、その兄弟姉妹が先に亡くなっていると、甥姪が代襲相続人になります。
参考:民法第889条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権) – e-Gov法令検索
ただし、第1順位と大きく違うのは、兄弟姉妹の代襲相続は甥姪の一代限りで終わるという点です。
甥姪も亡くなっている場合でも、その子(甥姪の子)は相続人になりません。
これは、相続関係が際限なく遠い親族まで広がるのを防ぐために設けられたルールです。
同じ代襲でも、子の系統と兄弟姉妹の系統では続く範囲が違うことを押さえておきましょう。
配偶者・直系尊属に代襲相続がない理由
代襲相続の対象になるのは、あくまで「子」と「兄弟姉妹」の系統だけです。
配偶者と直系尊属(父母・祖父母)には、代襲相続という考え方がありません。
配偶者は常に相続人になる立場ですが、その地位は本人一代限りのもので、代わりの人に引き継がれる性質のものではありません。
そのため、配偶者が先に亡くなっていても、配偶者の親などが代わりに相続することはないのです。
直系尊属の場合は、父母が亡くなっていても祖父母が存命であれば祖父母が相続しますが、これは「代襲」ではなく、より上の世代が直接相続人になるという仕組みです。
似ているようで法律上の扱いが異なる点に注意しましょう。
FAQ
Q. 孫はどこまで代襲相続できる?
A. 孫・ひ孫と、下の世代へ何代でも続きます。
Q. 甥姪の子は相続人になれる?
A. なれません。兄弟姉妹の代襲は甥姪までです。
Q. 配偶者に代襲相続はある?
A. ありません。配偶者の地位は一代限りです。
代襲相続の相続分の計算方法と必要な手続き
代襲相続人になったとき、次に気になるのが「自分の取り分はいくらか」という点です。
代襲相続分には分かりやすい計算ルールがあります。
ここでは相続分の計算方法と、手続きで必要になる戸籍について解説します。
代襲相続人は元の相続人の相続分を引き継ぐ
代襲相続人の相続分は、本来相続するはずだった人(被代襲者)の相続分をそのまま引き継ぎます。
代襲したからといって、取り分が増えたり減ったりすることはありません。
参考:民法第901条(代襲相続人の相続分) – e-Gov法令検索
たとえば、被相続人に配偶者と子2人(長男・二男)がいて、長男がすでに亡くなり孫が代襲するとします。
この場合、配偶者が2分の1、子2人で2分の1を分けるので、長男の取り分だった4分の1を、長男の子である孫が引き継ぎます。
| 相続人 | 続柄 | 法定相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 妻・夫 | 2分の1 |
| 二男 | 子 | 4分の1 |
| 孫 | 長男の代襲相続人 | 4分の1 |
代襲相続人が複数なら相続分は頭割りで計算
被代襲者に子どもが複数いる場合、代襲相続人も複数になります。
このとき、引き継いだ相続分を代襲相続人の人数で均等に分けます。これを頭割りといいます。
先ほどの例で、亡くなった長男に子ども(孫)が2人いたとしましょう。
長男の相続分である4分の1を、孫2人で頭割りするので、それぞれの取り分は8分の1ずつになります。
| 相続人 | 続柄 | 法定相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 妻・夫 | 2分の1 |
| 二男 | 子 | 4分の1 |
| 孫A | 長男の代襲相続人 | 8分の1 |
| 孫B | 長男の代襲相続人 | 8分の1 |
このように、代襲相続人が増えても、被代襲者1人分の相続分を分け合うだけなので、ほかの相続人の取り分には影響しません。
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代襲相続で必要な戸籍と遺産分割協議の進め方
代襲相続があるケースでは、通常の相続より必要な戸籍が増えます。
被相続人の戸籍に加えて、先に亡くなった被代襲者(親)の出生から死亡までの戸籍と、代襲相続人であることを示す戸籍が必要になるためです。
これは、「被代襲者にほかに子がいないか(=代襲相続人が全員そろっているか)」を戸籍で確認する必要があるからです。
集める戸籍が多くなるぶん、相続登記や預金の解約にも時間がかかりやすくなります。
代襲相続人も、当然に遺産分割協議※へ参加します。
孫や甥姪を含めた相続人全員で協議し、全員が実印を押して遺産分割協議書を作成しなければ、不動産の名義変更などの手続きは進められません。
裁判所の司法統計によると、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件(調停・審判)は年間1万5千件を超えています。
相続人が代襲で増えるほど話し合いはまとまりにくくなる傾向があり、早めの準備が大切です。
参考:司法統計年報 – 裁判所
「誰が相続人になるのか」「戸籍がそろわない」とお困りの際は、無料相談で専門家のサポートを受けることをおすすめします。
※遺産分割協議:共同相続人全員で、遺産の分け方を話し合って決めること。
FAQ
Q. 代襲相続人の相続分は?
A. 元の相続人の取り分をそのまま引き継ぎます。
Q. 代襲相続人が複数のときは?
A. 元の相続分を人数で頭割りして分けます。
Q. 代襲相続で戸籍は増える?
A. 先に亡くなった親の戸籍も必要で数が増えます。
まとめ:代襲相続は「範囲・相続分・戸籍」を早めに確認しよう
代襲相続は、相続人の死亡・欠格・廃除によって発生し、相続放棄では起こりません。
子の系統は孫・ひ孫まで再代襲が続くのに対し、兄弟姉妹の代襲は甥姪の一代限りで終わります。
相続分については、代襲相続人が被代襲者の取り分をそのまま引き継ぎ、複数いる場合は頭割りで分けるのが基本です。
手続きでは、先に亡くなった親の戸籍まで必要になるため、通常より書類集めに手間がかかります。
「自分の家族は誰が相続人になるのか」「取り分や戸籍の集め方が分からない」という場合は、一人で悩まず、私たちの無料相談をご活用ください。
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この記事の監修者

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