この記事を要約すると
- 2024年4月に義務化された不動産の相続登記は、司法書士に3~10万円程度の手数料で依頼することが可能
- 不動産の遺産分割は、現金や預貯金のように分割しにくくトラブルが発生しやすい
- 遺言書の作成や生前贈与、生命保険など生前からできる相続対策について専門家に無料相談するのも有効である
家を相続するのであれば、『相続登記』という不動産の名義変更を行わなければなりません。
その場合、申請書類や添付資料を作成し、法務局で相続登記の手続きを行う必要があります。その他にも、家を相続する際には「家の相続税評価額」の調査や「相続税」の計算が必要になります。
このような相続税申告および納税には期限が定められているため、家を相続するときには計画的に諸手続きを進めていくことが大切です。
今回は、家を相続した場合の手続きの流れや費用・注意点について解説していきます。
家を相続した方、今後相続する予定がある方はぜひ参考になさってください。
家の相続手続きの流れ
家などの不動産を相続するのであれば、『相続登記』という手続きを行う必要があります。
『相続登記』とは、家などの不動産の名義について「被相続人(亡くなった人)」から「相続人(相続した不動産の所有者になる人)」へ変更する手続きのことです。
家などの不動産を相続する場合の大まかな流れは以下の通りです。
STEP① 不動産について必要な書類を集める
相続登記を行う際には、その不動産を特定する地番や家屋番号などの情報が必要になります。不動産の地番や家屋番号などについては、手続きを行う前にあらかじめ情報を収集しておくと安心です。
これらの情報は、以下のような資料で確認することができます。
- 固定資産納税通知書
- 登記済権利証書
- 登記簿謄本
STEP② 戸籍謄本等の必要書類を集める
相続登記の手続きをする場合、「相続が発生した事実」や「相続関係」を証明しなければなりません。
証明に必要な「被相続人(亡くなった人)」と「相続人(相続した不動産の所有者になる人)」の住民票や戸籍謄本などを収集しておきましょう。
相続方法によって必要な書類は異なります。
「遺言書による相続」「遺産分割による相続」「法定相続による相続」それぞれに必要な書類を確認しておくと良いでしょう。
STEP③ 相続人全員で遺産分割協議を行う(遺言がない場合)
被相続人(亡くなった人)の遺言がない場合、遺産分割協議を相続人全員で行います。
遺産分割協議では、家だけではなく全ての遺産について「誰が」「どのように相続するか」ということを議題に話し合います。
話し合いがまとまり次第、決まった内容を遺産分割協議書に記載し、相続人全員で署名や押印して、遺産分割協議は終了です。
STEP④ 申請手続きに必要な書類を作成する
法務局へ相続登記を申請するために「登記申請書」を作成します。
法務局HPには登記申請書の雛形があり、いつでもダウンロードすることが可能です。
ただし、司法書士に相続登記手続きを依頼していれば、司法書士が登記申請書を作成してくれるため、自分で書類を作成する必要はありません。
家の相続にかかる費用
家を相続する際にかかる費用は、以下の通りです。
戸籍謄本等の取得費
まず、家などの不動産を相続する場合、いくつか申請に必要な書類があります。それらの書類を取得する際にはそれぞれ費用が掛かります。
具体的には以下のとおりです。
書類名 | 取得費 |
登記事項証明書 | 不動産1物件につき600円 |
戸籍謄本類の発行手数料 | 1通200~750円程度 |
印鑑登録証明書 | 500円程度 |
郵便代 | 場所によって異なる |
これらの書類を取得するために必要な費用は、自分で取得手続きをしたとしても同じです。
さらに、司法書士や税理士に相続登記や相続税申告について依頼した場合には、それぞれの専門家に支払う報酬も費用として掛かります。詳しく確認していきましょう。
司法書士へ相続登記を依頼する手数料
司法書士へ不動産の相続登記を依頼する場合、手数料が発生します。
司法書士へ相続登記を依頼する手数料は、相続する物件数や不動産評価額などによって変動しますが、3〜10万円が相場です。
あいりん司法書士法事務所では、相続登記申請の手続きを33,000円から承っておりますので、ぜひご利用ください。
税理士へ相続税申告を依頼する手数料
家や土地などの不動産相続に限らず、遺産相続が発生した場合は相続税が必要になる場合があります。
一般的な確定申告と較べても相続税の申告は複雑なため、専門的な知識を有する税理士へ相続税申告を依頼する方も多いです。
相続税申告を税理士に依頼する手数料の相場は、相続財産の0.5〜1%程度とされています。
家を相続する際の注意点
家などの不動産を相続する場合、現金と違ってなかなか融通が効きません。相続人全員で遺産を分割する際にも、分割がうまくできずにトラブルが発生する恐れがあります。
また、現金や預貯金のような金銭を相続するときとは異なり、家などの不動産相続については相続登記の手続きも必要です。
家を相続する際の注意点は、主に以下の通りです。
- 相続登記を早めにすませておく
- 共同名義での相続は避ける
- 遺産分割時に家と他の相続財産を分けて計算できない
それぞれについて解説していきます。
相続登記を早めにすませておく
家などの不動産の相続登記は、2024年から手続きが義務化されました。もしも、期限内に相続登記が完了していない場合、「10万円以下の過料」が罰金として課される可能性もあるので注意が必要です。
たとえ過料のような罰金がなかったとしても、相続登記が完了していない不動産には、さまざまなデメリットがあります。
- 新たな相続が発生してしまい、相続人の数が増えることで遺産分割協議が難航しやすい
- 相続人が認知症になってしまった場合、いざ相続登記をしたくてもできなくなってしまう
- 相続した不動産の売却や処分ができなくなる
これまで何代にもわたり相続登記が行われていない土地に関しては、相続登記を行おうとしても相続人が増え過ぎてしまい必要書類の準備に大変な手間がかかってしまいます。
相続登記の手続きは面倒に感じるかもしれませんが、今後の子供や孫の負担を減らすためにも、相続登記はなるべく早く手続きをしましょう。
共同名義での相続は避ける
家の名義については、相続する複数人で共有名義とすることも可能です。しかし、共同名義で家などの不動産を相続することは、以下のような理由であまりオススメできません。
売却する際に、共有名義者全員の同意が必要
共有名義者のうち誰かが反対したり、認知症になってしまったときに売却がスムーズにできなくなる可能性があります。
共有名義者のうち誰かが亡くなった場合、その共有者の親族など関係性の薄い人と共有するようになる可能性がある
このように不動産を共有名義で相続してしまう場合、今後不動産を売却する際や処分する際にトラブルが発生する恐れもあります。
遺産分割時に家と他の相続財産を分けて計算できない
遺産分割に関しては、不動産や現金などの形式に区別はありません。
それは一体どういうことなのか、例をもとに考えてみましょう。
例えば、
・4,000万円の家
・2,000万円の預金
法定相続人である兄弟2人で分割する場合
相続する遺産の総額は6,000万円と換算されるため、兄弟はそれぞれ3,000万円ずつ相続する権利があります。
兄が家の相続を希望する場合、「兄は家(4,000万円)、弟は預金(2,000万円)」という形での相続を弟が納得してくれれば問題はありません。
しかし、預金を相続した弟側が相続する権利を主張して残りの1,000万円を要求してきた場合、現金などで補填しなければなりません。
もしも、家を売却するのであれば、兄弟で売却代金を分割することで平等に相続することも可能です。
しかし、相続した家に兄が住んでおり売却できない場合は、遺産分割の代償金として1,000万円を兄の資産から弟に支払わなければなりません。
このように家などの不動産は単純に現金化できるものではないので、遺産分割時にトラブルが起きやすいです。
遺言書の作成や生命保険、生前贈与などあらかじめ事前にできる対策もありますが、そういった相続対策は、法律や相続に関する専門的な知識が必要になります。
適切な相続対策がわからない場合は、司法書士など相続についての専門家へ相談することもご検討ください。
まとめ
家などの不動産を相続する場合、相続登記の手続きを行う事が義務化されました。
相続登記の手続きを自分で行うのが困難な場合は、司法書士等の専門家に3~10万円程度の手数料で依頼することが可能です。
家などの不動産の遺産分割は、現金や預貯金のように分割しにくいため注意が必要です。
法定相続人のうち1人が相続した家に住み続ける場合、他の相続人から代償金の支払いを求められる可能性もあります。
このような不動産の相続によるトラブルを回避したいのであれば、遺言書の作成や生前贈与、生命保険などの対策を生前からしておきましょう。
あいりんグループでは、相続登記だけでなく相続全般に関する無料相談を受け付けております。まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
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