税理士は相続登記はできない! 相続不動産の登記は司法書士に依頼を

相続不動産の登記は司法書士に依頼を

この記事を要約すると

  • 相続登記は司法書士しかできず相続税全般(税計算や申告)は税理士しかできない
  • 相続人の間でトラブルがないことを確認したうえで、相続税の申告があるなら税理士に依頼し、相続税の申告がなく不動産相続(相続登記)があるなら司法書士に依頼する。
  • 司法書士の相続登記の費用は不動産評価額が1,000万円の場合は約20万円、税理士の費用は基本報酬が相続する額の0.5〜1%+追加費用。税理士事務所によって金額設定はまちまち。 
  • 相続登記も相続税申告も自分でできるが、手続きに時間と手間がかかり、専門知識も必要

相続手続きを進めるうえで「税理士に頼むべきか、司法書士に頼むべきか」と悩んでいませんか?

相続登記は司法書士しか手続きができず、相続税の申告などの税金に関する手続きは税理士しかできません。

この記事では相続登記を税理士に依頼しようと考える方に対して、司法書士との違いや専門家の正しい選び方について解説します。

相続手続きをスムーズに進めるために、ぜひ最後までお読みください。

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相続登記は「司法書士」 相続税全般なら「税理士」

相続登記は、相続人本人のほかに司法書士と弁護士のみが代理で行える、と法律で定められています

特に司法書士は不動産登記の専門家で、相続登記の手続きや書類作成が得意です。多くの相続人が相続登記を司法書士に依頼しています。

また、相続手続きのための書類作成業務なども行います。戸籍謄本の入手や遺産分割協議書の作成をはじめ、預貯金の解約や払い戻し手続き、有価証券の名義変更など、相続に関するさまざまな手続きを総合的にサポートすることができます。

一方相続税に関する業務、例えば相続税の計算や申告書の作成は税理士しか行えません。相続財産の評価や相続税の計算、相続税の申告が必要なら、税理士に相談するのがよいでしょう。

 

 

相続では司法書士と税理士どちらに依頼?専門家の選び方

相続において正しい専門家を選ぶため、以下の順番で見ていきましょう。

  • 相続財産に対して相続人の間にトラブルがあるか
  • 相続財産に対して相続税の申告が必要か
  • 相続財産に不動産があるか

相続のほとんどは司法書士か税理士対応する場合が多いです。それぞれ解説します。

1,相続財産に対して相続人の間にトラブルがあるか

まず、相続で相続人との間にトラブルがある場合は弁護士に相談します。トラブルを解決するために代理で交渉するのは弁護士しかできません。

2,相続財産に対して相続税の申告が必要か

次に、相続税の申告が必要かどうかを調べましょう。相続税には「基礎控除額」があり、この金額以下であれば相続税の申告は不要、すなわち税理士に依頼する必要もありません。

相続税を支払った人は令和4年度で10%弱で国税庁 令和4年分相続税の申告事績の概要10人に9人は相続税が不要でした。

相続税の基礎控除額は「基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。法定相続人の数と相続財産を確認し、相続税の申告が必要かどうかを判断してください。

基礎控除額を超える相続の場合は、税理士に依頼したほうがよいでしょう。相続財産の評価や相続税の計算、申告書の作成と、相続税の節税対策についてアドバイスが受けられます。

3,相続に不動産があるか

相続不動産があり相続登記が必要な場合は、登記のエキスパートである司法書士に依頼します。不動産の名義変更に必要な書類の作成や、登記申請の代理をします。税理士は登記申請の代理ができません。

また行政書士という職業があります。官公庁への書類の作成や提出の代理をする行政手続きの専門家ですが、相続に関するものとして「遺産分割協議書」を作成できます。下のリンクで専門家ごとの違いをおさえましょう。

 

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相続を司法書士・税理士に依頼した場合の費用

相続登記や相続税申告を専門家に依頼する場合、費用が気になるところです。司法書士と税理士に相続手続きを依頼した場合の費用について説明します。

司法書士に依頼した場合

司法書士に依頼するのは「相続登記」の申請代理となります。

この場合の費用は、司法書士報酬と実費、登録免許税(印紙代)です。相続登記の費用は不動産を相続した人が負担するのが一般的です。

司法書士報酬

相続登記の基本的な手続きにかかる報酬で、通常7 万円~15万円ぐらいです。不動産の数や相続人の数によってや、事務所が都市部にあるかどうかなどで金額は変動します。

実費

戸籍謄本や登記簿謄本などの必要書類の取得費用で、5,000円程度かかります。

登録免許税

不動産の固定資産税評価額の0.4%となります。例えば評価額が1,000万円なら4万円です。これは国税なので自分で手続きする場合もかかります。

税理士に依頼した場合

税理士に依頼する場合は「相続税の申告」が主な依頼内容となります。

税理士報酬と追加報酬、実費があります。司法書士の相続登記の費用と比べて事務所によって金額に幅があり、また費用形態もさまざまな印象です。

税理士報酬

基本報酬として遺産総額の0.5~1%程度が一般的です。

例えば相続1億円なら100万円程度です。

追加報酬

相続人加算(1人増すごとに基本報酬×10%)、土地の評価の加算(1カ所10万円程度)などさまざまあります。詳しくは依頼する税理士事務所におたずねください。

実費

登記簿謄本などの必要書類の取得費用です。

 

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相続手続きは自分で?専門家に依頼?

相続手続きは、不動産登記も相続税申告も自分ですることが可能です。しかし、法律に関する専門的な知識と経験が必要となるため多くの人が専門家に依頼します。

ここでは相続手続きを自分でするための注意点と、どのようなときに専門家に依頼すればいいかについて説明します。

【司法書士】相続登記を自分で手続きできる?

不動産の相続登記は原則として自分で行うことが可能です。自分で行えば、司法書士報酬を節約できます。しかし以下の点に注意しましょう。

時間と労力がかかる

戸籍謄本をはじめとする各種書類を集めたり、相続人全員と連絡を取って同意を得たりするなど、多くの時間と労力がかかります。

専門知識の必要性

登記申請書の記入や必要書類の判断には専門的な知識が求められるので、常に情報収集が必要です。

ミスのリスク

書類不備や手続きの誤りがあると、何度も法務局に足を運んだり連絡したりする必要が出てきます。

自分でするなら手続きが比較的簡単なものにする

相続人が多い場合や複雑な事情がある場合は、用意する書類も手間もかなり多くなります。相続人が1人でほかに複雑な手続きがないなどのシンプルな場合は自ら取り組んでみるのもよいかもしれません。

【税理士】相続税の申告に税理士は必要?

相続税の申告も自分ですることが可能です。税理士報酬を節約できますが、自分で申告をするのはあまりおすすめできません。注意点を解説します。

申告書作成が難しく専門知識が必要

相続税の計算は非常に複雑で、専門知識が必要です。さらに相続税申告書にはさまざまな項目があり、正確な記入が求められます。

節税を見逃す場合がある

税理士は相続税についての深い知識を持っており、相続税対策に対応した申告書を作成できます。しかし自分が作成すると情報を見落として相続税を余分に払ってしまうこともあります。

罰則のリスク

意図していなくても、誤った申告をした場合や申告もれがあった場合は、加算税などがかかることがあります。

特に相続財産が高額だったり複雑な資産構成だったりする場合は、税理士に依頼するのがおすすめです。

 

専門家に相続手続きを依頼する5つのメリット

専門家に相続手続きを依頼するメリットは5つ、

  • 相続手続きの時間と労力を大幅に削減
  • 専門的なアドバイスを適切に受けられる
  • 正確で迅速に相続手続きが終わる
  • 遺産分割のトラブルを防止できる
  • 相続税の節税対策ができる

です。それぞれ説明します。

相続手続きの時間と労力を大幅に削減

相続手続きを専門家に依頼すると、相続手続きの時間と労力を大幅に削減可能です。

手続きには多くの書類作成や役所への対応が必要ですが、自分で行うとかなりの時間がかかります。専門家は経験豊富で効率的に作業を進められるため、相続人の負担が軽減されます。

専門的なアドバイスを適切に受けられる

相続手続きには法律や税務の専門知識が必要ですが、専門家に依頼することで適切なアドバイスを受けられます

例えば税理士は相続税の計算をもとにして、相続人に節税方法を提案するでしょう。豊富な知識と経験に裏付けられたアドバイスによって、相続人は相続手続きをよりスムーズに進められます。

正確で迅速に相続手続きが終わる

専門家に依頼することで、相続手続きを正確で迅速に進めることが可能です。専門家は常日頃から多数の相続案件を扱っていて必要な書類や手続きを熟知しています。

さらに専門家が持つネットワークを活用することで関係機関との連携が円滑になり、手続きの時間短縮につながります。

遺産分割のトラブルを防止できる

相続では遺産分割のトラブルが発生することが多々ありますが、ここに専門家が関わることでトラブルを防止できます。

法的な観点から専門家がアドバイスを行うことで、相続人同士の関係がスムーズになり、より円満な相続手続きになるでしょう。

相続税の節税対策ができる

専門家、特に税理士に依頼することによって効果的な相続税の節税対策ができます。相続税法は相続財産のさまざまな評価方法の利用や特例の適用などがあり複雑ですが、プロは相続人の状況に応じた最適な方法を考えてくれます。

もし知らずに相続税を多く払っても、税務署は返してはくれません。税理士に依頼することで節税に配慮した相続手続きを進められるので安心です。

 

まとめ:費用対効果を考えて賢く専門家に相談しよう

司法書士は相続登記手続きを行っています。税理士は相続税の申告や土地の資産評価、節税対策のアドバイスに力を発揮します。

相続手続きを専門家に依頼するメリットは多々あります。単に時間や労力を削減するだけでなく、相続についての様々な専門的な相談に乗ってもらえるなど、相続人同士の将来的な遺産分割トラブルの防止効果もあります

費用は司法書士は物件1つにつき7~15万円程度、税理士は一般的に数十万円から数百万円となりますが、相続財産の評価額や規模、複雑さによって1人1人変わってきますので注意が必要です。

相続手続きは複雑で時間がかかりますが、適切な専門家のサポートを受けることでスムーズに進みます。上手に専門家に頼りましょう。

 

この記事の監修者

“横浜市内の相続代行の相談を受ける司法書士”

あいりん司法書士事務所    梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん司法書士事務所を経営。相続専門5期目として相続業務を幅広く対応。

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