この記事を要約すると
- 相続手続きは多種多様あり、自分が必要な相続手続きを把握したうえで、適切な専門家に依頼する。一般的にいえば、相続でもめている場合は弁護士、通常の相続では司法書士に依頼することが多い。
- 相続手続きの代行費用を安くするには、複数の事務所で見積もりをとり、比較的簡単な手続きは自分で行うとよい。
- 実際に専門家へ依頼するときは、相続手続きに詳しい実績豊富な司法書士などの専門家を選ぶ。
ご家族が亡くなり、相続手続きをする際は代行費用を安く抑えたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。でも誰に頼めばよいか、費用はいくらかかるのかよくわからず困ることも多いのではないでしょうか?
この記事では、相続手続きの代行費用の目安とコストを重視するためのポイントを解説することで、相続手続きの代行費用を安く抑える方法がわかります。
また、信頼できる専門家の選び方もわかるので、納得して専門家に相続手続きの代行を頼むことができます。
相続手続きをコストを抑えつつ信頼できる専門家に依頼したい方は、ぜひお読みください。
相続手続き代行のおすすめ専門家と代行費用の目安
相続手続きの代行といっても、手続きの内容はさまざまです。さらに専門家によってできることとできないことがあります。上の表で確認しましょう。
おおまかにいえば、相続に伴う争いがあるときは弁護士、一般の相続のときは司法書士に依頼することが多いです。
また専門家別の代行費用の目安は上の通りです。
自分が何を依頼したいのかを明確にしてから、自分にとって最適な依頼先を選択することが大切です。ここでは、相続手続きの依頼をどこの事務所にすれば良いのか、各士業の特徴や費用相場を解説していきます。
弁護士
弁護士には、相続トラブルに発展した場合、相続人に代わって交渉できる権限があり、裁判所への対応を担います。相続トラブルの解決業務を取り扱うことができるのは弁護士だけです。
もしも、遺産分割協議などでトラブルが起きた場合には、弁護士へ依頼すると安心です。
弁護士の費用相場
弁護士に相続手続きの代行を依頼する場合、他の士業に比べて高額な費用が掛かりやすいです。そのため、費用を安く抑えたい場合には、弁護士以外の士業に掛かる費用と比較してから選択するようにしましょう。
たとえば、「相続放棄の手続き」を依頼する場合、司法書士事務所ではおよそ5~7万円が相場ですが、弁護士事務所での相場は7~12万円です。
他にも、遺産分割調停を弁護士に依頼する場合、着手金は20~60万円程度が相場であり、報酬金の相場は、依頼者が得た経済的利益の4~16%程度が標準とされています。
着手金は、弁護士に案件対応を依頼した当初に掛かる費用であり、報酬金は実際に案件が解決された際に生じる費用のことです。
報酬金の算定する際に基準となる「経済的利益」は、依頼者が実際に得た遺産額を指します。たとえば、経済的利益が1000万円で報酬金の割合が5%だとしたら、50万円が弁護士の報酬金額として算定されます。
弁護士は他の専門家と同じように遺産分割協議書の作成や相続財産調査、戸籍収集による相続人調査についても対応することが可能ですが、上記の理由から司法書士や行政書士などに依頼することが多いようです。
司法書士
司法書士は相続の手続きに関するさまざまな書類作成の専門家です。相続する内容に不動産が含まれている場合には、相続登記の手続きが必要になります。
これは司法書士にしか代行の権限が認められていません。それ以外にも、預金口座の解約手続きや相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書の作成なども司法書士に依頼することができます。司法書士は相続手続きに関する専門家でもあります。
ただし、トラブル解決の権限は司法書士にはないため、調停や審判、遺産分割協議などでの代理交渉は認められていません。また、遺産相続放棄にはその書類作成の代行は可能ですが、手続きそのものは代行することが不可能です。
司法書士の費用相場
相続手続きにおける司法書士の費用相場は各事務所によって異なりますが、一般的には相続登記の代行依頼には10万円前後がかかります。
しかし、司法書士事務所の料金体系によっては相続人数や登記対象の不動産数などに応じて報酬額が変わる場合があるので注意が必要です。実際に依頼する前に、あらかじめ必要な費用について確認しておきましょう。
行政書士
行政書士は文書作成代行の専門家であり、相続する車の名義変更や許認可の引き継ぎなどを主な業務として取り扱います。
相続手続きでは『遺産分割協議書の作成、車の名義変更や預金口座の解約、相続財産調査や相続人調査』など相続人間で合意できている事項の書面作成であれば、行政書士に相続手続きの代行を依頼することができます。
しかし、行政書士は『相続登記』や『相続税申告』の代行は行うことができません。不動産が相続する遺産に含まれており相続登記が必要だったり、高額な遺産額により相続税が掛かったりするケースでは、はじめから行政書士ではなく司法書士または税理士に依頼しましょう。
行政書士の費用相場
行政書士の相場費用は、他の士業に比べて安い価格で設定されていることが多いです。そのため、少しでも安い費用で遺産相続手続きの代行を依頼したい場合には、行政書士事務所の利用がおすすめです。
例えば、自動車の名義変更は1件につき2~5万円、遺産分割協議書の作成は3~5万円程度で依頼することが可能です。自動車の名義変更や遺産分割協議書の作成のみなど個々で代行を依頼したい場合は、行政書士に依頼すると良いでしょう。
相続手続きの代行費用を安くするポイント3つ
相続手続きの代行費用を安くするポイントは3つあります。
- 複数の事務所で見積もりをとる
- 自分でできる手続きは自分で行う
- 銀行や信託銀行の相続代行サービスは一考する
それぞれ詳しく解説します。
複数の事務所で見積もりをとる
相続手続きの代行費用は、各事務所や法人で価格を自由に設定できるようになっています。そのため、実際に必要な見積り価格をいくつかの事務所に出してもらい、比較検討しましょう。
その中で安い価格で相続手続きを行う事務所を見つけ出せれば、相続手続きの代行費用を安く抑えることができます。
ただし、注意点があるとすれば、金額だけで判断するのは危険であるということです。たとえ高い価格の事務所でも、その分提供しているサービスの質が高い場合があります。
『豊富な実績』『信頼できる担当者』『質に見合った妥当な価格』など事務所の特徴を踏まえて検討するようにしましょう。
自分でできる手続きは自分で行う
相続手続きの代行について、司法書士をはじめとするさまざまな士業や信託銀行などに依頼すれば、相続手続きにかかる時間や手間を省くことができます。
しかし、相続手続きの全てを代行に依頼するのと、相続手続きの一部のを代行に依頼するでは、掛かる費用が異なります。
少しでも安く費用を抑えたい場合には、できる手続きはなるべく自分で行い、難しい手続きや手間のかかる手続きだけ専門家に依頼すると良いでしょう。
例えば印鑑証明書や謄本・住民票、銀行の残高証明書など各種証明書の取得や預貯金・証券口座の解約・名義変更などは比較的自分で行いやすい手続きです。
銀行や信託銀行の相続代行サービスは注意する
銀行や信託銀行に依頼して一括で相続手続きをやってもらうサービスがあります。これはすべてお任せできて便利ですが、銀行はほとんどの手続きを司法書士などの専門家にそのまま依頼します。
そのため直接依頼するときにはかからない仲介手数料などがかかるケースもあります。費用の内訳をよく検討し、納得してサービスを受けることをおすすめします。
相続手続きを信頼して任せられる専門家の選び方
相続に特化した専門家である
依頼する時は、相続を専門に扱う専門家を選ぶことをおすすめします。例えば同じ司法書士でも、相続専門の事務所もあれば企業法務に特化した事務所もあります。相続の知識が豊富な専門家を選びましょう。
選ぶ際はGoogleの口コミ件数や相続依頼件数の多さも参考にしてください。
固定料金制を採用している
固定金額制とは、あらかじめ手続き内容に応じて明確に報酬金額が提示されている料金制です。
たとえば、相続関係説明図等の作成、不動産名義の変更、戸籍収集、銀行口座の解約などをプラン内容として定額の料金を定めている場合を固定料金制といいます。
固定金額制のメリットとして、明朗に金額が提示されている安心感があります。
料金をホームページで提示している
相続手続きを行う事務所は、料金についての目安がウェブサイトに掲載されていることが多いです。
パッケージプラン以外にもオプションなどで別途費用が必要な手続きもある為、見積もりを依頼する際には別途価格を含めた合計金額を提示してもらうようにしましょう。
あまり明確な料金について説明がない事務所は、避けた方が良いかもしれません。
あいりん司法書士事務所の料金表はこちら。
まとめ
今回は相続手続きについて、代行を依頼することができる士業とその特徴、費用を抑える方法についてご紹介しました。
さまざまな手続きが必要となる相続ですが、専門家に依頼することで手間や時間を軽減することができます。
相続手続きの代行費用について見積もりや料金体系など事前に調べておき、少しでも費用を安く抑えて適切な事務所に依頼しましょう。
この記事の監修者
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