この記事を要約すると
- 西田敏行さんの遺産相続額は、過去の高額納税者番付などから推測して10億円以上といわれている。仮に10億円だと相続税額は1億7,810万円。
- 相続税の計算は相続財産と相続人の数を確定し、基礎控除額を出した上で相続税の速算表にあてはめて計算する。
- 西田さんが急逝されたように、人はいつ亡くなるかわからない。日頃から家族と相続について考えておくことが大切。
温かい笑顔と柔らかなユーモアで、見る人をいつも笑顔にさせていた西田敏行さんが、2024年10月17日に76歳で急逝されました。
死の直前まで仕事の予定を入れていたそうで、その突然の訃報は私たちのみならず、きっと西田さんにとっても驚きだったに違いありません。
西田さんは学生時代から映画に親しみ演技を学び、さまざまな映画やテレビ番組などで大活躍しました。そのため残された遺産総額は10億円以上だと言われています。
この記事では西田さんの生い立ちや業績、家族についてふれながら相続財産や相続税についての知識を知ることができます。また西田さんの10億円の遺産相続で相続税がいくらになるのかを実際に計算してみましょう。
西田敏行さんの相続税に思いをめぐらせながら、ご自分の相続について少しでも考えてみるきっかけになれば幸いです。
目次
西田敏行さんの生い立ちと活躍
西田さんの飾らない穏やかな人柄は広く知られていましたが、その生い立ちには多くの苦労がありました。
1947年に福島県郡山市で生まれた西田さんは、幼少期に父親を亡くし美容師であった母親と暮らしていました。その後母親が再婚し、母の姉夫婦の養子となって「西田」姓になりましたが、その生活は厳しかったと言われています。
小学生の頃、養父と映画館でチャンバラ映画を見るのが楽しみで、次第に「映画に出演したい」という夢を持つようになった西田少年。福島から上京し、明治大学に入学後すぐに演技学校に通い始めたのです。
その後大学を中退して1970年に劇団青年座に入団しました。そして若手俳優として舞台演技を磨き、舞台を中心にさらに活動の幅を広げていきました。
西田敏行さんの家族構成
西田さんの家族は妻の寿子さんと長女の彩夏さん、次女の梨沙さんの4人家族です。奥様の寿子さんは西田さんの下積み時代から支え続け、事務所の社長としても彼を献身的にサポートしていました。
家族仲はとてもよかったそうです。また西田さんは故郷が心の支えで、よく故郷に帰っては友だちと酒を酌み交わしていました。家族や故郷の友だちを大切にする優しい人でした。
西田さんは「釣りバカ日誌」シリーズのハマちゃん役で親しまれ、映画やドラマ、歌手活動、司会、ナレーション、ミュージカル出演など幅広く活躍した大物俳優です。歌手としては「もしもピアノが弾けたなら」でNHK紅白歌合戦にも出場しており、全盛期の年収は1億円ぐらいといわれています。
西田敏行さんの遺産相続は10億円前後
ここでは西田さんの相続財産のおおむねの金額を検証します。
2008年2月19日の「情報ライブ ミヤネ屋」という番組で「芸能人生涯年収ランキング」の特集が組まれ、そのときに西田敏行さんはランキング66位、推定収入17億〜32億円と放映されました。これは1985年から2004年までの高額納税者番付をもとに推測されたデータです。
さらに、西田さんは、2001年1月から2019年11月まで人気番組の探偵ナイトスクープの局長をされていました。一説には一本150万円のギャラといわれていますが、40週出演とすると年間6,000万円が安定的な収入として見込まれます。
その他にも多くの映画(一本1,000万円以上)やCM(一本1,500万円程度)、ドラマやナレーションなどさまざまな出演料もあったでしょう。
ご病気で局長をやめてから亡くなるまでは、闘病をしながら少しづつお仕事をされていましたが、その期間は5年程度です。ここ数年の株式価格の上昇や首都圏の不動産の値上がりなども考えると、資産10億円程度はお持ちだと推測しました。
今回は西田敏行さんの相続遺産を10億円と仮定して、相続税を実際に計算します。その前に相続財産と相続税とは何か、少しみておきましょう。
相続財産とは?
相続財産とは、被相続人(亡くなった人)から相続人に引き継がれる財産のことをさします。相続税の計算や遺産分割のときに重要な基準となるので、正しく把握する必要があります。
相続財産になるもの
相続財産はプラスの価値だけでなくマイナスの価値を持つ財産も含まれます。これは相続開始時の時価で評価されます。
プラスの財産
不動産・預貯金・現金・有価証券(株式・債券)・自動車・貴金属・美術品・事業用資産・知的財産権(権利・著作権)など
マイナスの財産
借入金・ローン、税金や医療費未払い金、保証債務、損害賠償債務 など
相続財産にならないもの
被相続人の財産であっても相続財産にならないものもあります。
被相続人の年金受給権や生活保護権利・墓地や仏壇・遺族の生活費として支給される弔慰金(限度あり)などは相続財産になりません。
相続財産とみなされるもの
これは法律上は相続財産ではありませんが、相続税の計算上相続財産となる「みなし相続財産」とよばれるものです。
生命保険金(契約者が被相続人、受取人が相続人)・退職死亡金・相続開始前7年以内の贈与財産(令和5年度までは開始前3年)などがあります。
相続税とは?
相続税とは、被相続人(亡くなった人)から相続人が財産を相続した時にかかります。相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合には相続税を支払わなければなりません。
基礎控除額は 3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。
相続税のかかる財産とかからない財産をそれぞれ確認しましょう。
相続税のかかる財産
相続時の時価で評価されます。
現金・預貯金・有価証券(株式・債券)・自動車、船舶・貴金属、宝石・美術品・骨董品・事業用資産・知的財産権(特許権・著作権など)
なお不動産は時価ではなく、相続税評価額で評価されます。
相続税のかからない財産
墓地や仏壇・相続人が受け取る香典など
生命保険金で契約者が被相続人、受取人が法定相続人の場合「500万円×法定相続人の数」までは相続税がかかりません。
また死亡退職金も受取を法定相続人がすると「500万円×法定相続人の数」は非課税です。これを「みなし相続財産」といいます。
相続税の対象となる財産をしっかりと把握した上で、適切に相続税の申告や納付を行うことが大切です。
西田敏行さんの相続財産10億円(仮)の相続税は1億7,810万円
では実際に10億円の相続税はいくらになるかを計算してみましょう。
【1】相続財産の総額と相続人を確定し、基礎控除額から相続税の課税対象額を算出する
今回の相続財産は10億円、相続人は妻(西田寿子さん)と長女、次女の3人で考えます。
まず、相続税の基礎控除(非課税枠)を算出します。基礎控除額は3,000万円+600万円×相続人の数で出すことができます。
3,000万円+600万円×3人=4,800万円 相続税の非課税対象額です。
10億円-4,800万円=9億5,200万円 この金額が相続税の課税対象額になります。
【2】相続人のそれぞれの法定相続分の割合を出し、相続税の課税対象額を按分する
法定相続分は妻と子供の場合、配偶者2分の1 子供(2人以上のときは全員で)2分の1と民法で定められています。西田家は妻1/2 長女1/4 次女1/4になります。
この9億5200万円を法定相続分のそれぞれの比率で按分します。
妻 9億5,200万円×1/2=4億7,600万円
長女 9億5,200万円×1/4=2億3,800万円
次女 9億5,200万円×1/4=2億3,800万円
【3】相続税の速算表にあてはめ、相続税の税額を出す
出典:国税庁 相続税の税率
先に出した各相続人の相続税課税対象額を上の速算表にあてはめて計算します。
妻 4億7,600万円×50%-4,200万円=1億9,600万円
長女 2億3,800万円×45%-2,700万円=8,010万円
次女 2億3,800万円×45%-2,700万円=8,010万円
相続税の合計は1億9,600万円+8,010万円×2=3億5,620万円となります。
【4】実際に各相続人が支払う相続税額を算出する
もし、法定相続分通り 妻1/2 長女1/4 次女1/4 で相続すると相続税の各相続人の負担額は
妻 3億5,620万円×1/2=1億7,810万円
長女 3億5,620万円×1/4=8,905万円
次女 3億5,620万円×1/4=8,905万円
妻は「配偶者の税額の軽減」が利用できます。これは配偶者が相続した財産のうち課税対象となるものの額が「1億6,000万円」か「配偶者の法定相続分相当額」の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税がかからないという制度です。
これにより妻は今回相続税はかかりません。
長女 3億5,620万円×1/4=8,905万円
次女 3億5,620万円×1/4=8,905万円
の合計1億7,810万円が、10億円の相続財産にかかる金額となります。
まとめ:急な相続に慌てないためにも、日頃から相続について考えておこう
この記事では西田敏行さんの訃報と、西田さんの生い立ちや業績、家族についてふれながら相続財産や相続税についてみてきました。西田さんの遺産の相続税評価額が10億円と仮定すれば相続税は1億7,810万円になります。
相続税の計算は、順序だてて計算すればそれほど難しいものではありません。もしあなたに相続が発生した場合も、同じように計算してください。
急逝した西田敏行さんのように、人の死はいつやってくるか誰にもわかりません。日頃から可能なかぎり家族と相続について話し合っておくと、相続時のトラブルを避けられます。
もし相続全般や相続税などの専門的な知識が必要になったときは、ご自身にとって一番良い方法を司法書士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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この記事の監修者
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