【司法書士解説】女優田中美佐子、お笑い芸人深沢邦之の熟年離婚!相続のことを考えてみる

熟年離婚の相続問題

この記事を要約すると

  • 田中美佐子と深沢邦之が離婚を発表。二人は1995年に結婚し、33年以上の婚姻関係が終わった。
  • 香坂みゆきと清水圭も最近離婚を報じられ、夫婦生活は30年近く続いた。
  • 厚労省の統計によると、20年以上同居した「熟年離婚」の割合が21.5%で、これは1947年以降の統計で過去最高である

女優田中美佐子さんとお笑い芸人深沢邦之さんの熟年離婚が報じられました。

一度は共に歩んだ道を分かつ離婚。特に長年連れ添った夫婦が別れる熟年離婚は、私たちにとっても重要なテーマとなるのではないでしょうか?

一言で熟年離婚と言っても、考えなくてはいけない問題が熟年離婚に伴う相続です。熟年離婚、我々はどのような課題に直面するのか。自身の将来を見据え、不安や困難を回避するためにも、相続について真剣に考える時が来ているのかもしれません。

この記事では、女優田中美佐子さんや深沢邦之さんの離婚をきっかけに、離婚後の相続に関する重要なポイントを解説します。

 

熟年離婚が増える中で、相続について考える

テレビなどでも熟年離婚のニュースが報道され、世間的にも熟年離婚という言葉が浸透してきました。では熟年離婚はどのようなものか、昨今の日本の状況なども踏まえて解説いたします。

熟年離婚とは?

熟年離婚とは、長い婚姻期間の末に離婚することを指します。熟年離婚には明確な定義はありません。

「熟年」と聞くと、年齢が高めの方をイメージされるかもしれませんが、一般的には20年以上の婚姻期間を経て離婚する夫婦や、子どもが成人してから離婚する夫婦を指すことが多いでしょう。

熟年離婚の増加

近年、日本では熟年離婚が増えているという現象が見られます。前述の通り芸能界では、女優の田中美佐子さんとお笑いコンビ「Take2」の深沢邦之さんの離婚が話題となりました。

結婚から33年以上、苦楽を共にした二人が離婚を決断したことは、多くの人々に衝撃を与えました。

その他、香坂みゆきさん(60)が、元タレント・清水圭さん(61)と離婚していたことが5月17日に報道されました。お二人の夫婦生活は30年近く続いていました。

しかし、この現象は芸能界だけでなく、一般社会でも見られます。

厚生労働省の統計によれば、日本の離婚件数は1950年代以降減少傾向にありますが、一時的に1990年代後半に増加し、2020年には約193,000件の離婚がありました。
また、令和2年に離婚した夫婦のうち、同居期間が20年以上である夫婦の割合は21.5%となっており、全体の5分の1を占めています。

さらに、令和2年以前の同居期間20年以上で離婚した夫婦の割合は、昭和25年から徐々に増加傾向にあり、これらの数字からも熟年離婚の増加がうかがえます。

熟年離婚の背後にあるもの

熟年離婚が増えている背後には、さまざまな要因が考えられます。主な要因としては以下のようなものが挙げられます。

  • 価値観や性格の不一致
  • 相手や相手の親の介護問題
  • DVや不倫などのトラブル
  • 自由や新しい恋愛を求める気持ち
  • 相手からの相続を避けたい気持ち

これらの要因は、夫婦間でコミュニケーションが不足していたり、互いに尊重し合えなかったりすることで生じることが多いでしょう。

また、子どもが巣立ったことや夫婦のどちらかが退職したことなどをきっかけに、今まで我慢してきたことや隠してきたことが表面化して離婚に至ることもあります。

熟年離婚と相続

熟年離婚は、若年層の離婚とは異なり、財産や年金などの問題が複雑に絡むことがあります。そのため、相続に関することも踏まえて熟年離婚を検討することが重要です。

熟年離婚をする場合、夫婦で築いた財産を分割する必要があります。この財産には、住宅や預貯金、退職金、年金など、さまざまなものが含まれます。

財産分与は、夫婦の協議によって行いますが、話し合いがまとまらない場合は裁判で決めることになります。特に年金の受給権については問題になりやすいです。

離婚をした場合、元配偶者の厚生年金や共済年金については年金分割ができます。

年金分割を行うためには、「合意分割制度」か「3号分割制度」のどちらかで日本年金機構に請求手続きを行う必要があります。

年金分割制度の請求期限は、離婚をした日の翌日から起算して2年以内となっているので注意が必要です。

さらに年金の分割については、離婚時に配偶者と合意できない場合や、請求期限を過ぎてしまう場合には、受給額が減少する可能性があることに注意が必要です。

熟年離婚は、人生の大きな転機です。そのため、相続に関することも踏まえて熟年離婚を検討することが重要です。熟年離婚を検討している方は、専門家に相談して、最適な方法を検討することをお勧めします。

 

意外に誤解されている離婚後の相続権

離婚を考える際、特に重要なのが離婚後の「相続」についての理解です。熟年離婚を考えている人、または子供がいる夫婦にとって、必ず理解しておくべき重要な知識です。

親が再婚した場合

離婚後に再婚し、新たな家庭を築くと、将来の相続において複雑な状況が生じる可能性があります。

例えば、元夫が再婚し、新たに子供を授かった後に死亡した場合、法定相続人となるのは後妻、後妻との間の子供、そして前妻との間の子供となります。

前妻との間の子供も法定相続分を受け取る権利はありますので、後妻の立場からすると、前妻の子供に遺産を渡したくないと思うかもしれません。

これらの関係性は、遺産相続において様々な問題を引き起こす可能性があります。こうした問題を避けるためには、早期の相談と適切な対策が求められます。

親が借金をしていた場合

離婚した親が死亡した場合、子供は相続財産について調査し、相続財産についてはプラスもマイナスも含めて慎重に調査しましょう。

これは、親が借金を抱えていても、子供からすれば想像すらできないことが多いからです。しかし、親の借金は子供にも影響を及ぼす可能性があるため、相続が発生したら必ずその相続財産について調査することが重要です。

このように、離婚と相続は密接に関連しており、離婚を考える際には相続についても考慮する必要があります。適切な知識と対策を持つことで、未来の問題を防ぐことが可能です。

 

離婚をしない方が得になる場合も

離婚は人生の大きな決断ですが、慎重に考えるべき理由がいくつかあります。特に、経済的な面で不利になる可能性が高い場合は、離婚しない方が賢明かもしれません。

ここでは、遺族年金遺産相続婚姻費用の3つの観点から、離婚しない方がいい場合を紹介します。

遺族年金

遺族年金とは、配偶者や子供などの遺族に支払われる年金のことです。配偶者が亡くなった場合、遺族年金を受け取ることができます。

しかし、離婚すると、配偶者に対する遺族年金の権利は失われるため、離婚した後に元配偶者が亡くなった場合も遺族年金を受け取ることはできません。

例えば自身が働いていないまたは低収入の場合、遺族年金は生活を支える大切な収入源となりますが、離婚して遺族年金を受け取る権利を失ってしまうと、経済的に苦しくなる可能性があります。

なので、遺族年金を受け取る可能性がある場合は、離婚しないほうが良いでしょう。

遺産相続

遺産相続とは、亡くなった人の財産を相続することです。離婚すると、配偶者に対する遺産相続の権利も失われます。

つまり、離婚した後に元配偶者が亡くなった場合でも、その財産を相続することはできません。

離婚後の財産分与では夫婦共同財産の2分の1を受け取りますが、遺産相続であれば、相手の総資産を全て相続することができます。

元配偶者が多額の財産を持っていた場合や、自分の財産が少ない場合などは遺産分与よりも遺産相続を選んだほうが良いかもしれません。

したがって、遺産相続を期待できる場合は、離婚しない方が資産的に有利になるでしょう。

婚姻費用

離婚せずに別居を続けている場合、別居した夫婦は婚姻費用を受け取ることができます。婚姻費用とは、生活費や養育費などの費用を支払うために、相手から受け取ることができるお金です。

離婚せずに別居を続けている場合、婚姻費用を受け取ることで、経済的に困窮するリスクを軽減できます。

ただし、離婚せずに別居を続けていると、どちらかが先に亡くなる場合や、パートナーがいつ亡くなるかわからないなどのリスクもあります。そのため、必ず離婚しないほうがいいとは言い切れません。

しかし、離婚しないほうが経済的に有利になる可能性があることは知っておいたほうがよいでしょう。

 

まとめ

女優田中美佐子さんとお笑い芸人深沢邦之さんの熟年離婚が注目を集めました。この出来事をきっかけに、離婚後の相続について考えてみることはとても重要です。

最後に、記事の内容を簡単にまとめます。

  • 熟年離婚は増加傾向にあり、離婚後の相続問題は避けて通れません。
  • 再婚による相続の複雑さに注意が必要です。元配偶者の再婚後の子供も相続人になる可能性があります。
  • 離婚後の遺族年金の受給権が失われることがあります。経済的な安定を考える上で遺族年金は重要な要素です。
  • 離婚後はもと配偶者は遺産相続する権利がありません。しかし、子供は遺産の2分の1の相続が可能です。
  • 離婚に伴い、婚姻費用の負担が変わります。生活費や子供の養育費について自己負担が必要になることもあります。

これらのポイントを考慮することで、離婚を検討する際に適切な判断ができるでしょう。離婚は人生の大きな決断ですが、離婚するかどうかの判断は、経済的な面だけを考慮するものではありません。

夫婦関係が破綻している場合や、配偶者から暴力や虐待を受けている場合など、離婚以外に選択肢がないこともあります。離婚を検討している場合は、司法書士に相談して、メリットとデメリットをよく検討することが大切です。

あなたの未来のためにも、離婚を考える際は相続についても慎重に考えることが大切です。相続に関する知識や対策を早めに確認し、専門家のアドバイスを受けましょう。

私たちあいりん行政書士法人では、相続問題に詳しい専門家がおり、熟年離婚を考えている夫婦に対しても相続の観点でアドバイスが可能です。

離婚をお考えの方やお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度私たちにお話をお聞かせください。

この記事の監修者

あいりん行政書士法人    梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん行政書士法人と司法書士事務所を経営。相続専門5期目として相続業務を幅広く対応。

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