この記事を要約すると
- 不動産の評価方法を理解し、適切な対策を講じることが重要
- 不動産を活用した相続税対策には、小規模宅地等の特例を利用することやアパート・マンション経営、土地の売却がある
- 各方法にはメリットとデメリットがあり、個々の状況に応じた対策が求められる
相続税対策に不動産の活用は有効なのか?この質問に対する答えは「YES」です。
しかし、ご家庭ごとに状況が異なるため、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
この記事では、相続税対策として不動産をどのように活用できるのか、その具体的な方法とメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
無料相談のご案内もございますので、ぜひ最後までお読みください。
不動産の評価方法
家屋の評価方法
家屋の評価は、その市場価格や建物の種類、所在地によって異なります。具体的には、固定資産税評価額を基準に評価されることが一般的です。
固定資産税評価額は、地方自治体が毎年発行する評価通知書に記載されているので、そちらの評価通知書を確認することが第一歩です。
土地の評価方法
土地の評価方法は大きく分けて二つの方式があります。
路線価方式
路線価とは、国税庁が公表している土地価格で、相続税や贈与税を計算する基礎となります。不動産売買の参考価格とされる国土交通省が公表している公示価格よりも20%程度低く評価されています。
路線(道路)ごとに価格が決められているため「路線価」と呼ばれ、その路線に面する土地の評価額は、「1平方メートルあたりの価格×面積」で求められます。
倍率方式
全ての土地に路線価が定められているのではありません。
路線価が定められていない地域については、固定資産税評価額を基にして評価します。ただ、固定資産税評価額をそのまま使うのではなく、これに一定の倍率をかけた金額とされます。
倍率方式の場合は、土地ごとの形状を加味した価格で設定されているため、奥行価格補正などは必要ありません。
土地の評価額の計算方法
土地を所有している場合の評価額は、上記の路線価方式・倍率方式に基づいた金額となります。建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権がある場合は、借地権割合に応じて評価額が下がります。
構築物の所有を目的とする賃借権は含まれません。また、貸家が建てられている自己所有の土地でも、評価額が下がります。
土地を貸している場合
路線価等とともに定められている借地権割合(30%から90%の範囲)分だけ減少
例:路線価で1億円の評価となる借地権割合が60%の土地を貸している場合、評価額は4,000万円となります。
貸家が立っている土地(貸家建付地)の場合
貸家建付地の評価減割合=借地権割合×借家権割合30%×賃貸割合
例:路線価で1億円の評価額となる土地の場合、借地権割合が70%で空室がないとすると、路線価から21%少ない7,900万円と評価されます。
路線価、倍率方式での倍率、借地権割合については、国税庁が下記のホームページで公表していますので、気になる方は一度ご確認ください。
不動産を活用した3つの相続税対策
小規模宅地等の特例を使う
小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住していた土地や事業用の土地について、一定の面積まで評価額を大幅に減額(最大で80%)することができる制度です。
この特例を活用することで、相続税の負担を大幅に軽減することができます。
メリット
- 大幅な節税効果:小規模宅地等の特例を利用することで、土地の評価額が最大80%減額されるため、相続税の負担が大幅に軽減されます。
- 広範な適用範囲:居住用や事業用の土地だけでなく、一定の要件を満たせば賃貸用の土地にも適用されるため、多くのケースで利用できます。
デメリット
- 適用要件が厳しい:特例を適用するためには、被相続人が死亡時点でその土地を居住用や事業用として利用している必要があり、一定期間の継続使用が求められます。
- 複雑な手続き:特例を利用するためには、適用要件を満たすための書類や証明書類が多く、手続きが複雑です。専門家の助言が不可欠です。
アパート・マンションを経営する
アパートやマンションを経営することで、相続税の節税効果を得ることができます。以下に、メリットとデメリットを紹介します。
メリット
- 評価額の減少:建物の評価額が土地よりも低いため、相続税の評価額が減少します。例えば、1億円の土地にアパートを建てることで、土地の評価額が50%減額される場合があります。
- 安定した収益:賃貸収入を得ることで、相続税の支払いに充てることができるため、現金化が難しい資産に比べて納税資金を確保しやすくなります。
- 将来的な資産価値の向上:適切な管理と維持を行うことで、将来的な資産価値が向上する可能性があります。
デメリット
- 初期投資が高額:アパートやマンションを建設するための初期投資が高額であり、建築費用や設備費用などがかかります。
- 維持管理の手間:賃貸物件の管理には、定期的なメンテナンスや修繕が必要であり、空室リスクや賃貸トラブルなどの管理上の課題があります。
- 市場リスク:賃貸市場の変動や経済状況の影響を受けるため、収益が安定しない場合があります。
土地を売却する
土地を売却することで、相続税の納税資金を確保する方法です。
メリット
- 納税資金の確保:土地を売却することで、相続税の納税資金を確保できるため、納税のために他の資産を売却する必要がなくなります。
- 資産の現金化:現金化することで、他の投資や資産運用に利用できるため、資産の柔軟性が向上します。
- 相続人間のトラブル防止:共有名義の土地を売却することで、相続人間のトラブルや紛争を防ぐことができます。
デメリット
- 譲渡所得税の発生:土地を売却することで譲渡所得税が発生し、売却益に対して税金がかかるため、実際に手元に残る金額が減少します。
- 市場価格の変動:土地の売却価格は市場価格に依存するため、売却時期や経済状況によっては思うような価格で売却できない場合があります。
- 感情的な問題:長年所有していた土地や思い入れのある土地を売却することに対して、感情的な抵抗がある場合があります。
まとめ
不動産を活用した相続税対策は、非常に有効な手段です。しかし、各家庭の状況や資産状況によって最適な方法は異なります。専門家のアドバイスを受けることで、最適な相続税対策を講ずることができます。
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この記事の監修者
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