相続登記の期限はいつまで?3年ルール・2027年3月31日・相続人申告登記を解説

相続登記義務化の簡素化と相続人申告登記の期限・必要書類

親が亡くなって実家や土地を相続したものの、「相続登記はいつまでにすればよいのか」「昔の相続でも急ぐ必要があるのか」と不安になっていませんか。

結論からいうと、相続登記は、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請します。2024年4月1日より前に相続を知っていた未登記不動産も義務化の対象であり、最短の期限は2027年3月31日です。話合いがまとまらない場合でも、相続人申告登記で義務を履行できる場面があります。

この記事では、相続登記の期限を確認する順番、話合いが長引く場合の選択肢、法務局へ出す前の準備を、2026年9月11日時点の法務省・e-Govの情報を基に解説します。

1. 相続登記の期限は原則「取得を知った日から3年以内」

相続登記の期限は、死亡日だけで一律に決まるのではなく、相続人が相続の開始と不動産の取得を知った日から数えます。

不動産登記法76条の2第1項は、相続等により不動産の所有権を取得した相続人に、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記申請を求めています。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります(同法164条)。制度の概要は、法務省の相続登記義務化Q&Aでも確認できます。

1-1. まず確認するのは「死亡日」だけではありません

相続開始を知った日と、その不動産を相続で取得したことを知った日を整理してください。親の死亡を知っていても、遠方の土地や共有持分の存在を後から知ったときは、起算点の判断が問題になります。戸籍、固定資産税の納税通知書、登記事項証明書、遺言書、遺産分割協議書を時系列で並べると確認しやすくなります。

1-2. 遺産分割が成立した後にも、もう一つ3年の期限があります

遺産分割で不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に応じた登記を申請する必要があります(不動産登記法76条の2第2項)。相続人申告登記だけでは、この遺産分割に基づく登記義務は履行できません。

2. 2024年4月1日より前の相続は、2027年3月31日までに確認を

昔の相続であっても、相続登記が未了なら義務化の対象です。

2024年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、まだ相続登記をしていないものは、原則として2027年3月31日までに登記を申請する必要があります。法務省はこの期限を「最短で令和9年3月31日」と案内しています。

「祖父名義のままの土地がある」「固定資産税は家族が払っているが名義を見たことがない」という場合は、まず登記事項証明書で現在の名義を確認しましょう。登記を出す法務局の調べ方は、相続登記はどこの法務局へ出す?で案内しています。

2-1. 過去の相続が重なっているときは、早めの資料整理が重要です

祖父の相続登記をしないまま父が亡くなったような数次相続では、必要な戸籍が増え、相続人の人数も広がりやすくなります。出生から死亡までの戸籍、相続人の現在戸籍、登記事項証明書、固定資産評価証明書の取得に時間がかかるため、期限の直前ではなく連絡先の確認から始めることが大切です。

2-2. 登録免許税の免税措置も期限を確認します

相続登記の登録免許税は原則として固定資産税評価額を基に計算します。一方、一定の少額土地や、相続登記をしないまま相続人が亡くなったケースには、2027年3月31日までの免税措置があります。要件と対象不動産は、国税庁の登録免許税の案内で確認してください。費用の全体像は、相続登記の登録免許税についても参考になります。

3. 話合いが間に合わないときは「相続人申告登記」を検討する

期限内に遺産分割や通常の相続登記が難しい場合は、相続人申告登記により申請義務を履行できることがあります。

相続人申告登記は、不動産登記法76条の3に基づく制度です。登記簿上の所有者が亡くなったことと、自分が相続人であることを管轄法務局へ申し出ます。相続人が単独で申し出ることができ、登録免許税はかかりません。制度の書類例と申出方法は、法務省の相続人申告登記の案内で確認できます。

3-1. 相続人申告登記でできること・できないこと

項目 相続人申告登記 通常の相続登記
期限内の申請義務への対応 可能な場合がある 可能
単独での申出 可能 遺産分割による登記では必要書類が増える
売却・担保設定 そのままでは不可 登記後に手続を進められる
遺産分割後の登記義務 履行できない 必要
登録免許税 かからない 原則として必要

不動産を売る、住宅ローンを組む、担保を設定する予定があるなら、相続人申告登記で止めず、遺産分割等に基づく相続登記まで必要になります。

3-2. 申出前に用意するもの

一般的には、申出書、申出人が相続人であることが分かる戸籍証明書、申出人の住所を証する情報を用意します。代理人に依頼する場合は委任状も必要です。家族構成により書類は異なるため、法務局の案内や専門家へ確認してから取得すると取り直しを減らせます。

4. 相続登記の期限を確認するための4ステップ

期限が分からないときは、登記簿・相続関係・話合いの進み具合を順に確認します。

4-1. 登記事項証明書で名義人と不動産を確認する

土地・建物ごとに登記事項証明書を確認し、誰の名義か、不動産番号は何かを整理します。固定資産税の通知書だけでは、共有持分や登記上の住所まで分からないことがあります。

4-2. 相続開始と不動産取得を知った経緯をメモする

死亡日、遺言書を見つけた日、固定資産税の通知を受け取った日、遺産分割が成立した日を記録します。専門家へ相談するときの説明もスムーズになります。

4-3. 遺産分割を進めるか、相続人申告登記を先にするか決める

相続人全員の連絡先が分かり話合いを進められるなら通常の相続登記を目標にします。期限に間に合わないおそれがあるなら、相続人申告登記の要件を早めに確認します。

4-4. 管轄法務局と申請方法を確認する

相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。窓口だけでなく郵送やオンライン申請も選択肢ですが、提出先と添付情報を先に確認してください。申請書の基本は、相続登記の申請書についても参照できます。

5. プチコラム:実家の片付け中に見つかった「祖父名義の土地」

実家を片付けていたら、祖父の名前が書かれた固定資産税の古い書類が出てきた。こうした場面では、「父が税金を払っていたから名義も父だろう」と考えがちです。しかし、納税通知書の宛先と登記名義人が同じとは限りません。まずは土地・建物の登記事項証明書を取り、誰の相続が未了なのかを確認しましょう。祖父から父、父から子へと相続が重なっている場合、戸籍や相続人の確認に想像以上の時間がかかります。売却の予定がなくても、2027年3月31日が近づく前に資料を一つのファイルへ集め始めることが、家族の負担を小さくします。

6. 司法書士へ相談するときに持参するとよい資料

期限が近い相談では、資料の有無が手続の見通しを左右します。

  • 固定資産税の納税通知書、名寄帳、評価証明書
  • 土地・建物の登記事項証明書、不動産番号が分かる資料
  • 被相続人の死亡が分かる戸籍、手元にある戸籍一式
  • 遺言書、遺産分割協議書、相続人間のやり取りのメモ
  • 相続人の氏名・住所・連絡先が分かる一覧
  • 売却、賃貸、空き家、住宅ローンなど今後の予定

相続人間の争いなど法的紛争がある場合は、弁護士への相談が必要になることがあります。

7. まとめ:期限の確認は「登記簿」と「知った日」の整理から

相続登記は、原則として相続と不動産取得を知った日から3年以内です。過去の未登記不動産にも2027年3月31日という重要な期限があります。期限内に通常の登記が難しいときは相続人申告登記を使える場合がありますが、売却や遺産分割後の登記まで完了する制度ではありません。まずは登記事項証明書を確認し、どの相続が未了なのか、誰が相続人なのかを整理しましょう。

8. よくある質問

8-1. 相続登記の期限は、親が亡くなった日から3年ですか?

原則として、相続人が相続の開始と、その不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。死亡日だけで即断せず、個別の事情を確認してください。

8-2. 2024年4月1日より前の相続も義務化の対象ですか?

対象です。相続を知っていた未登記不動産は、原則として2027年3月31日までに相続登記を申請する必要があります。

8-3. 相続人同士で話合いがまとまらない場合はどうしますか?

期限内に通常の相続登記が難しい場合、相続人申告登記を利用して申請義務を履行できることがあります。ただし、遺産分割後の登記義務までは履行できません。

8-4. 相続人申告登記をすれば、土地や家を売却できますか?

できません。相続人申告登記は権利関係を公示する相続登記ではないため、売却や抵当権設定には別途相続登記が必要です。

8-5. 相続登記をしないと必ず過料になりますか?

直ちに過料になるわけではありませんが、正当な理由なく申請義務に違反した場合は10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

8-6. 相続登記の登録免許税は必ずかかりますか?

原則としてかかりますが、一定の少額土地や数次相続などには、2027年3月31日までの免税措置があります。対象要件は国税庁の案内で確認してください。

この記事の監修者

司法書士 梅澤 徹
あいりん司法書士事務所

司法書士・行政書士 梅澤徹

この記事の監修者

司法書士・行政書士 梅澤 徹(うめざわ とおる)

あいりん司法書士事務所 代表。神奈川県司法書士会(第2259号)・神奈川県行政書士会(第15090451号)所属。相続手続き3,000件超をサポート。プロフィールを見る 無料相談のご案内

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