相続した土地の放棄の相談が6000件以上に急増!所有者不明土地とは?相談先は?

所有者不明土地の問題点とは?

この記事を要約すると

  • 所有者不明土地が増加したことで、公共事業や民間の土地取引の妨げになっている
  • これまで任意だった相続登記の申請が義務化される等、所有者不明土地問題の解決に向けた法律が施行された
  • 各市町村窓口で所有者不明土地に関する相談を受け付けており、受け付け開始からわずか数カ月で約6500件以上もの相談が寄せられた。

所有者不明土地の問題解消に向けて施行された新制度により、各地の法務局で設けられた相談窓口では、受付を開始してからわずか数ヶ月で約6500件以上寄せられたそうです。

新制度の施行以前はおよそ4千件弱でしたが、制度開始後に相談件数が急増しました。それだけでも土地の相続について悩みを抱える人は多く存在していることが分かります。

所有者不明土地の問題解消のために施行された複数の新制度では、不動産相続での登記申請が義務化されるほかに相続した人が土地の所有権を手放して国に帰属させることができるようになりました。

そもそもなぜ新制度が施行されることになったのか、所有者不明土地がもたらす問題とは何なのか具体的にご説明していきます。

まずは所有者不明土地問題について深堀していきましょう。

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「所有者不明土地問題」とは

所有者不明土地問題とは、所有者不明土地が増加したことで、公共事業や民間の土地取引の妨げとなるほかに、近隣に悪影響を及ぼしている問題をいいます。

具体的には、所有者が死亡した際に相続登記がされなかったこと等が原因で、登記簿を調べても所有者が直ちに判明しない(もしくは判明したとしても連絡がつかない)土地の取り扱いに関する問題です。

2017年(平成29年)12月に所有者不明土地問題研究会(一般財団法人国土計画協会)が公表した最終報告で「2016年(平成28年)時点の所有者不明土地面積は、地籍調査を活用した推計で、約410万haあり、九州(土地面積:約367万ha)以上に存在する」ことが判明しました。

これを受けて令和3年4月には、こういった所有者不明土地問題の解決に向けて、「民法等の一部を改正する法律」「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立・公布されることになりました。

これら二つの法律では、所有者不明土地の発生予防だけでなく、それを利用しやすくするために

  1.  不動産登記法の改正(今まで任意だった相続登記の申請を義務化)
  2.  民法の改正(所有者が不明な建物・土地の管理のための制度の新設)
  3.  相続土地国庫帰属制度の新設(相続によって取得した不要な土地を法務大臣の承認を受けた上で国庫に帰属させる)

というような制度の見直しがされています。

令和5年4月以降、こういった新制度は段階的に施行されることになっています。

 

所有者不明土地ができる理由

なぜ所有者が不明な土地ができてしまうのでしょうか?

その主たる理由は、これまで相続時に必ずしも登記をする必要がなく、登記をしなかったとしても困ることがなかったからです。

少しややこしいのですか、そもそも登記とは「どのような不動産か?」「誰がその不動産の所有権などの権利を持っているか?」ということを公示する(証明する)制度です。

『どこに、どんな不動産(土地・建物)があるのか』明らかにする表示の登記は、徴税のために税務当局が情報を把握したいという背景もある為、法的にも強制であり費用は掛かりません。

その一方で、「誰が不動産を持っているのか?」「誰が不動産を担保にお金を貸しているのか?」等の権利に関する登記は、法的に強制されているものではなく、あくまでも任意の制度になっています。

親族間で所有者が明確にされており、定期的に掛かる固定資産税などの費用を支払っていれば誰にも迷惑が掛かりません。むしろ登記する際の手間や費用を考えると『登記しない方が良い』と考えてしまうのも無理はありません。

これまで不動産の所有者に関する登記をしなくても法律違反にならず、登記をするとなるとそれ相応の費用や手間が掛かってしまう…その間に相続が繰り返されることにより、その結果、所有者が不明な土地が多くできてしまったのだと考えられます。

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所有者不明土地の問題点とは

登記が行われていない場合、高齢化や過疎化が進む中で誰も相続時点のことが分からず、土地の所有者が不明な状態になってしまいます。

土地を管理する人がいない為、近隣住民に被害を与えてしまう場合もあります。

例えば、老朽化が進んだ古い建物が放置されていたり、不法投棄などによって悪臭漂うゴミ屋敷のようになっていたり、草木が生い茂って虫が大量に発生している等です。

所有者が明確になっていれば、こういった問題に対応してもらえますが、所有者不明土地ではそう簡単にはいきません。土地がもたらす問題に対して、勝手に対処することもできない為、とても困った状態に陥ります。

 

所有者不明土地に関する相談先

ここでは、所有者不明土地の利用を円滑化するために設けられた相談窓口をご紹介します。

特別措置法に規定されている地域福利増進事業に関する個別案件の相談だけでなく、土地所有者関連情報の請求等について、下記の表に記載された各地方公共団体の連絡窓口(※)が相談について対応してくれます。

 ※法律に関しては複数の制度が盛り込まれているため、各相談窓口において、お問い合わせの内容に応じてそれぞれの担当部局について別途案内されることがあります。

※国土交通省不動産・建設経済局土地政策課では法律等の規定の解釈についてのお問い合わせに対応していますのでぜひご連絡ください。 

都道府県名 連絡窓口 連絡先
北海道 建設部総務課 011-204-5536
青森県 県土整備部監理課 017-734-9638
岩手県 県土整備部県土整備企画室(用地担当) 019-629-5858
宮城県 土木部用地課企画班(収用委員会事務局兼務) 022-211-3122 
秋田県 建設部建設政策課 018-860-2421
山形県 県土整備部県土利用政策課 023-630-2533
福島県 土木部土木総務課用地室 024-521-7464
茨城県 土木部用地課 029-301-4348
栃木県 県土整備部用地課 028-623-2496
群馬県 地域創生部地域創生課土地・水対策室 027-226-2362
埼玉県 企画財政部土地水政策課 048-830-2188
千葉県 県土整備部用地課 043-223-3349
東京都 都市整備局都市づくり政策部都市計画課 03-5388-3225
神奈川県 県土整備局都市部都市整備課 045-210-6201
新潟県 土木部用地・土地利用課 025-280-5396
富山県 土木部管理課 076-444-3314
石川県 土木部監理課用地室 076-225-1713
福井県 土木部土木管理課 0776-20-0469
山梨県 県土整備部用地課 055-223-1677
長野県 企画振興部総合政策課 026-235-7025
岐阜県 県土整備部用地課収用・調整係 058-272-8509
静岡県 交通基盤部建設経済局公共用地課調整班 054-221-3047
愛知県 建設局土木部用地課業務・企画グループ 052-954-6510
三重県 地域連携部水資源・地域プロジェクト課 059-224-2010
滋賀県 総合企画部県民活動生活課 077-528-3417
京都府 建設交通部用地課土地・収用係 075-414-5231
大阪府 都市整備部用地課 06-6944-9324
兵庫県 県土整備部県土企画局用地課 078-362-9253
奈良県 県土マネジメント部用地対策課 0742-27-7491
和歌山県 県土整備部用地対策課収用調整班 073-441-3065
鳥取県 県土整備部県土総務課用地室 0857-26-7793
島根県 土木部用地対策課 0852-22-5186
岡山県 県民生活部中山間・地域振興課 086-226-7268
広島県 環境県民局環境県民総務課 082-513-2715
山口県 土木建築部監理課用地補償班 083-933-3655
徳島県 県土整備部用地対策課 088-621-2528
香川県 環境森林部環境政策課 087-832-3210
愛媛県 土木部土木管理局用地課 089-912-2663
高知県 土木部用地対策課 088-823-9818
福岡県 企画・地域振興部総合政策課政策推進班 092-643-3213
佐賀県 県土整備部土地対策課(収用・地籍担当) 0952-25-7034
長崎県 土木部用地課(指導班) 095-894-3124
熊本県 土木部用地対策課 096-333-2488
大分県 土木建築部用地対策課 097-506-4545
宮崎県 県土整備部用地対策課 0985-26-7174
鹿児島県 土木部監理課用地対策室収用調整係 099-286-3503
沖縄県 土木建築部用地課(用地対策班) 098-866-2423
 

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まとめ

所有者不明土地問題とは、建築物含めて所有者が不明な土地が及ぼしているさまざまな問題のことをいいます。

所有者が死亡した際に土地や建物などの不動産を相続する際に相続登記がされておらず、何年か経過した後になってその土地の所有者が不明になっているケースが近年増加しています。

所有者が不明な土地では、十分な管理がされないまま放置されていることで「老朽化が進んだ古い建物が放置されている」「不法投棄などによって悪臭が漂う」「草木が生い茂っていることで虫が大量に発生している」など近隣住民に被害を及ぼしている場合があります。

このような問題以外にも、所有者が不明であることは、土地を活用するための公共事業や民間の土地取引の妨げとなり、土地の取り扱いに困ってしまいます。

このような問題を解消するために、これまで任意であった不動産の相続登記を義務化したり、不要な土地を法務大臣の承認を受けた上で国庫に帰属させることができる新制度が施行されるようになりました。

各都道府県では、所有者不明土地の利用を円滑化するために設けられた相談窓口が設けられていますので、ぜひ活用してみてください。

 

この記事の監修者

“横浜市内の相続代行の相談を受ける司法書士”

あいりん司法書士事務所    梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん司法書士事務所を経営。相続専門5期目として相続業務を幅広く対応。

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