この記事を要約すると
- 公正証書遺言の費用は公証人手数料・専門家報酬・実費の3種類で構成される
- 公証人手数料は財産額で変動し1億円以下なら遺言加算11,000円が加算される
- 書類を自分で集めシンプルな内容にすることで費用を抑えられる
公正証書遺言を作成したいけれど、「費用はどのくらいかかるの?」「財産額によって変わるって本当?」と不安に感じていませんか?
公正証書遺言の費用は、公証人手数料、専門家報酬、実費の3つで構成され、特に公証人手数料は財産額によって大きく変動します。
この記事では、公正証書遺言の費用の内訳、財産額別の具体的な計算例、そして費用を抑えるポイントを司法書士が分かりやすく解説します。
この記事はこんな方におすすめ
- 公正証書遺言の作成を検討していて費用の相場を知りたい方
- 自分の財産額だとどのくらいの費用になるか計算方法を知りたい方
- 公正証書遺言の費用を少しでも抑える方法を探している方
目次
公正証書遺言の費用の内訳3種類と相場を徹底解説
公正証書遺言の作成にかかる費用は、公証人手数料、専門家への報酬、その他実費の3種類に分かれます。
ここでは、それぞれの費用の仕組みと相場を詳しく解説します。
全体像を理解することで、予算を立てやすくなります。
公証人手数料の仕組みと金額
公証人手数料は、公証人手数料令という法令によって全国一律で定められた費用です。
公正証書遺言を作成する際に必ず支払う必要があり、遺言で相続させる財産の価額によって金額が変動します。
手数料の基本的な仕組みは、相続人や受遺者※ごとに、その人が受け取る財産額に応じて手数料を計算し、それらを合計したものが総額となります。
たとえば、長男に3,000万円、次男に2,000万円を相続させる場合は、長男分と次男分の手数料をそれぞれ計算して合算します。
※受遺者:遺言によって財産を受け取る人のこと。相続人以外の第三者も含まれます。
公証人手数料令第9条に基づく手数料の基準は以下のとおりです。
財産の価額が100万円以下なら5,000円、200万円以下なら7,000円、500万円以下なら11,000円というように、財産額が増えるほど手数料も高くなります。
参考:公証人手数料令 – e-Gov法令検索
さらに、遺言加算※という制度があります。
遺言による相続や遺贈の目的財産の合計額が1億円までの場合は、上記で計算した手数料に11,000円が加算されます。
これは遺言書全体に対して一律で加算されるものです。
※遺言加算:財産総額が1億円以下の場合に一律11,000円が加算される制度のこと
また、遺言者が病気などで公証役場に出向けない場合、公証人が自宅や病院に出張して遺言書を作成することも可能です。
この場合、通常の手数料が1.5倍になるほか、公証人の日当(1日2万円、4時間まで1万円)と交通費が別途必要になります。
日本公証人連合会の統計によると、平成29年の公正証書遺言作成件数は約11万件となっており、多くの方が公正証書遺言を選択しています。
費用はかかりますが、それに見合う信頼性と安心感があるといえます。
出典:平成29年の遺言公正証書作成件数 – 日本公証人連合会
参考:公正証書遺言 – 日本公証人連合会
専門家への報酬相場は5万円〜15万円
公正証書遺言の作成には、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するケースが多く、その報酬は一般的に5万円から15万円程度が相場となっています。
これを聞いて、費用面で不安に感じる方も多いですよね。
ただし、遺言内容の複雑さや財産額によって変動します。
専門家への依頼内容は、主に以下の業務が含まれます。
遺言内容の法的なチェックと助言、必要書類の収集代行(戸籍謄本、登記簿謄本、固定資産評価証明書など)、遺言書の文案作成、公証人との事前打ち合わせ、遺言作成当日の立ち会いなどです。
報酬の目安は、遺言内容がシンプルな場合(相続人2〜3名、財産項目が少ない)で5万円〜8万円程度、標準的な場合(相続人3〜5名、不動産・預貯金など複数の財産)で8万円〜12万円程度、複雑な場合(相続人が多数、事業承継を含む、遺留分の配慮が必要など)で12万円〜15万円以上となります。
専門家に依頼するメリットは、法的に有効な遺言内容を確保できること、遺留分※への配慮など後々のトラブルを防げること、面倒な書類収集を代行してもらえること、公証人との調整をスムーズに進められること等です。
※遺留分:法定相続人(配偶者、子、直系尊属)に保障された最低限の相続分のこと
一方、費用を抑えたい場合は、書類収集を自分で行う、遺言内容の相談のみを依頼する、無料相談を活用するなどの方法もあります。
多くの司法書士事務所では初回相談を無料で実施しているため、まずは相談してみることをおすすめします。
その他実費の内訳と金額
公証人手数料や専門家報酬以外にも、公正証書遺言の作成には各種実費がかかります。
これらの費用は数千円から1万円程度ですが、事前に把握しておくことで正確な予算を立てられます。
まず、必要書類の取得費用があります。
遺言者の印鑑登録証明書は1通300円程度、戸籍謄本は1通450円、住民票は1通300円程度です。
相続人の戸籍謄本も必要で、相続人の人数分の費用がかかります。
不動産を遺言に含める場合は、登記簿謄本(登記事項証明書※)が1通600円、固定資産評価証明書が1通300円程度必要です。
不動産が複数ある場合は、それぞれの物件について取得する必要があります。
※登記事項証明書:不動産の所有者や面積などの情報が記載された法務局発行の証明書のこと
また、遺言書の正本・謄本の交付手数料もかかります。
公正証書遺言を作成すると、原本は公証役場に保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。
正本・謄本の交付手数料は、用紙1枚(横書きの場合は250字まで)につき250円です。
たとえば、遺言書が4枚になる場合、正本と謄本でそれぞれ1,000円、合計2,000円の交付手数料がかかります。
遺言内容が複雑で枚数が多くなるほど、この費用も増えます。 証人※への謝礼も考慮する必要があります。
公正証書遺言の作成には証人2名の立ち会いが必要です。
親族や知人に依頼する場合は謝礼が不要なこともありますが、公証役場や専門家に証人の手配を依頼する場合は、1人あたり5,000円〜1万円程度の謝礼が必要になることがあります。
※証人:遺言作成に立ち会い、遺言者の意思確認や手続きの適正性を確認する人のこと
FAQ
Q. 公正証書遺言の費用は誰が払う?
A. 遺言作成時は遺言者本人が支払います。遺言執行時の費用は相続財産から支払われます。
Q. 公証人手数料はクレジットカード払いできる?
A. 一部の公証役場では可能ですが多くは現金払いのため事前に確認が必要です。
Q. 費用が高い公正証書遺言と自筆証書遺言どちらがおすすめ?
A. 費用はかかるが信頼性が高く検認不要な公正証書遺言をおすすめします。
特に公証人手数料は財産額によって変動するため、事前に概算を把握しておくことが重要です。
費用が気になる方は、無料相談で司法書士に相談し、具体的な見積もりを取得することをおすすめします。
財産額別の公証人手数料の計算式
公証人手数料は財産額に応じて段階的に定められています。
ここでは、公証人手数料の計算式を分かりやすく解説します。自分の財産額で計算する際の参考にしてください。
公証人手数料の計算式を分かりやすく解説
公証人手数料の計算は、財産額に応じた基本手数料と遺言加算を組み合わせて行います。
一見複雑に見えますが、手順を追って計算すれば誰でも簡単に算出できます。
あなたの財産額だと、いくらぐらいの手数料になるでしょうか?
まず、財産額に応じた基本手数料の一覧表を確認しましょう。
この手数料は公証人手数料令第9条別表に定められており、全国一律です。
公証人手数料の基本手数料表
| 目的財産の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 200万円以下 | 7,000円 |
| 500万円以下 | 11,000円 |
| 1,000万円以下 | 17,000円 |
| 3,000万円以下 | 23,000円 |
| 5,000万円以下 | 29,000円 |
| 1億円以下 | 43,000円 |
| 1億円超3億円以下 | 43,000円に5,000万円ごとに13,000円を加算 |
| 3億円超10億円以下 | 95,000円に5,000万円ごとに11,000円を加算 |
| 10億円超 | 249,000円に5,000万円ごとに8,000円を加算 |
計算手順は以下のとおりです。
第一に、相続人や受遺者ごとに、その人が受け取る財産額を確認します。
第二に、上記の手数料表に当てはめて、各人の手数料を計算します。
第三に、財産総額が1億円以下の場合は、遺言加算として11,000円を加算します。
注意点として、財産額の計算では、不動産は固定資産評価額、預貯金は残高、株式は評価額を用います。
負債(住宅ローンなど)は差し引かず、総財産額で計算します。
また、相続財産の合計額が1億円以下の場合は、最低手数料として16,000円が適用されます(公証人手数料令第9条)。
遺言加算と複数相続人の場合の計算方法
遺言加算と複数の相続人がいる場合の計算方法について、さらに詳しく解説します。
これらの仕組みを理解することで、より正確な費用の見積もりができます。
遺言加算は、遺言による相続や遺贈の目的財産の合計額が1億円以下の場合に、計算された手数料に一律11,000円を加算する制度です(公証人手数料令第9条)。
この加算は財産総額に対して1回だけ行われ、相続人の人数には関係ありません。
たとえば、財産総額9,000万円を3人の相続人に分ける場合でも、遺言加算は11,000円のみです。
ただし、財産総額が1億円を超える場合は遺言加算は適用されません。
これは、一定以上の財産規模になると、すでに十分な手数料が徴収されているためと考えられます。
複数相続人がいる場合の計算では、各相続人が受け取る財産額ごとに個別に手数料を計算し、それらを合算します。
たとえば、4人の相続人に財産を分ける場合、4人分の手数料をそれぞれ計算して足し合わせます。
具体例として、妻に2,000万円、長男に1,500万円、次男に1,500万円、長女に1,000万円を相続させる場合を見てみましょう。
妻分:2,000万円 → 23,000円
長男分:1,500万円 → 17,000円
次男分:1,500万円 → 17,000円
長女分:1,000万円 → 17,000円
合計:23,000円 + 17,000円 + 17,000円 + 17,000円 = 74,000円
遺言加算:財産総額6,000万円(1億円以下)→ 11,000円
総額:74,000円 + 11,000円 = 85,000円
このように、相続人の人数が多いほど、それぞれの手数料を合算するため、総額は高くなる傾向があります。
ただし、各相続人の受取額が少なくなるため、一人あたりの手数料は低い区分になることもあります。
FAQ
Q. 不動産の評価額はどう計算する?
A. 固定資産評価証明書に記載された評価額を使用します。市区町村役場で取得できます。
Q. 負債がある場合の財産額の計算は?
A. 公証人手数料の計算では負債を差し引かず総財産額で計算します。
Q. 遺言加算は相続人の人数で変わる?
A. 相続人の人数に関わらず財産総額が1億円以下なら一律11,000円です。
正確な費用を知りたい場合は、事前に財産額を整理し、専門家に相談することをおすすめします。
無料相談で司法書士に相談すれば、具体的な見積もりを提示してもらえます。
公正証書遺言の費用を抑える3つの実践ポイント
公正証書遺言の費用は決して安くありませんが、工夫次第で費用を抑えることが可能です。
ここでは、費用を抑えるための3つの実践的なポイントを紹介します。
品質を落とさずに節約できる方法を活用しましょう。
自分で準備できる書類を集めて節約
専門家への依頼費用を抑える効果的な方法は、必要書類を自分で収集することです。
ただし、調べる時間や間違った場合のリスクなどを抑えたい場合は、この限りではありません。
必要な書類は、遺言者本人の書類として、印鑑登録証明書(市区町村役場で取得、1通300円程度)、戸籍謄本(本籍地の市区町村役場で取得、1通450円)、住民票(住所地の市区町村役場で取得、1通300円程度)があります。
相続人に関する書類として、相続人全員の戸籍謄本(各相続人の本籍地で取得)、相続人全員の住民票が必要です。
これらの書類は、マイナンバーカードがあればコンビニで取得できる自治体も増えています。
参考:コンビニエンスストアにおける証明書等の自動交付
不動産がある場合は、登記簿謄本(法務局で取得、1通600円。オンライン請求も可能)、固定資産評価証明書(不動産所在地の市区町村役場で取得、1通300円程度)が必要です。
参考:登記情報提供サービス
遺言内容をシンプルにして手数料削減
公証人手数料は、相続人や受遺者の人数が多いほど高くなる傾向があります。
また、遺言内容が複雑だと専門家報酬も高くなります。
必要な範囲で遺言内容をシンプルにすることで、費用を抑えられます。
たとえば、細かく財産を分けるのではなく、「長男に全財産を相続させる」「妻に全財産を相続させる」のように包括的に指定すると、手数料の計算が簡単になります。
ただし、遺留分の問題には注意が必要です。 また、付言事項※を長く書きすぎると、遺言書の枚数が増え、正本・謄本の交付手数料が高くなります。
付言事項は必要最小限にとどめることで、数百円から数千円の節約になります。
※付言事項:法的効力はないが、遺言者の想いや理由を記載する部分のこと
一方で、費用を抑えることだけを重視して、本来必要な内容を省略してしまうのは本末転倒です。
たとえば、遺言執行者※の指定や祭祀承継者※の指定など、重要な事項は費用がかかっても記載すべきです。
※遺言執行者:遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う者のこと
※祭祀承継者:お墓や仏壇などの祭祀財産を引き継ぐ者のこと
専門家への依頼範囲を調整して費用最適化
専門家への依頼内容を調整することで、報酬を抑えることができます。
すべてを任せるのではなく、自分でできる部分は自分で行い、専門的な部分だけを依頼する方法です。
専門家への依頼範囲と報酬の目安
| 依頼範囲 | 依頼内容 | 報酬目安 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 最小限の依頼 | 遺言内容の相談と法的チェックのみ | 3万円〜5万円 | 費用を大幅に抑えられる | 書類収集や公証人との調整は自分で行う必要がある |
| 標準的な依頼 | 遺言内容の相談、文案作成、公証人との調整 | 5万円〜8万円 | 専門的な部分は任せられる | 書類収集は自分で行う必要がある |
| フルサポート | 書類収集から遺言作成の立ち会いまですべて | 10万円〜15万円 | すべて任せられて安心 | 費用が最も高くなる |
また、無料相談を活用することで、初期段階での費用を抑えられます。
多くの司法書士事務所では初回相談を無料で実施しており、遺言の必要性や大まかな内容について相談できます。
複数の事務所で相談して、報酬や対応を比較するのもよいでしょう。
ただし、費用だけで判断せず、専門家の経験や実績、対応の丁寧さなども考慮することが重要です。
安さだけを重視して不適切な遺言を作成してしまうと、後々のトラブルで結果的に費用がかかることもあります。
FAQ
Q. 公正証書遺言の費用は分割払いできる?
A. 公証人手数料は一括払いですが専門家報酬は事務所によって分割可能な場合があります。
Q. 自分で書類を集めれば専門家は不要?
A. 書類収集は可能ですが法的チェックや文案作成は専門家への相談をおすすめします。
Q. 一番安く公正証書遺言を作成する方法は?
A. 書類を自分で集め遺言内容をシンプルにし相談のみ専門家に依頼する方法です。
特に、法的な問題点のチェックや遺留分への配慮は、専門家の助言が不可欠です。
費用と品質のバランスを考えた最適なプランについて、無料相談で司法書士に相談してみましょう。
まとめ:公正証書遺言の費用を理解し適切な予算計画を
公正証書遺言の費用は、公証人手数料(財産額によって変動)、専門家報酬(5万円〜15万円程度)、実費(数千円〜1万円程度)の3種類で構成されます。
公証人手数料は財産額と相続人の人数によって決まり、1億円以下の場合は遺言加算として11,000円が加算されます。
費用を抑えるには、必要書類を自分で収集する、遺言内容をシンプルにする、専門家への依頼範囲を調整するなどの方法があります。
ただし、費用だけでなく、法的に有効で後々トラブルにならない遺言を作成することが最も重要です。
公正証書遺言の作成には、財産額の把握、相続人の確定、遺言内容の検討など、事前準備が欠かせません。
自分の財産状況に応じて、どのくらいの費用がかかるのかを把握し、適切な予算計画を立てることが大切です。
また、専門家に依頼する場合は、無料相談を活用して複数の事務所を比較検討することをおすすめします。
公正証書遺言の費用や作成方法について不安がある場合は、無料相談で司法書士に相談し、具体的な見積もりと最適なプランの提案を受けることをおすすめします。
この記事の監修者

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