遺言書

【司法書士解説】遺言書がデジタル化!?遺言書とは

遺言書がデジタル化!?遺言書とは

この記事を要約すると

  • 本人の手書きと押印が義務づけられている「自筆証書遺言」について、デジタル機器での作成が許可される方向に進んでいる。法務省は有識者会議を設けて、民法の改正に向けた議論を進める予定である。
  • この変更の背景には、高齢者を含む多くの人々がパソコンやスマートフォンを使いこなしている現状がある。デジタル機器を使用することで、遺言書の作成が容易になり、家族間の紛争を防ぐ目的がある。
  • デジタル機器を使用した遺言書の作成に関しては、遺言者の真意の確認や改ざんを防ぐ仕組みの導入が焦点となる。手書きの署名や電子署名の活用、入力過程の録画などの案が検討される見通しである。

遺言とは、遺言者が死亡した後に、その人の財産や権利をどのように扱うかを定めた文書のことを指します。遺言にはいくつかの種類がありますが、この記事では「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」に焦点を当てて解説します。

 

遺言書の方向性

自筆証書遺言

「自筆証書遺言」は、本人が直接手書きで作成する遺言の形式です。これまで、この形式の遺言は、全文と日付、名前を本人が手書きし、押印することが法的に義務付けられていました。この手続きは、遺言が本人の真意に基づいていることを確認するためのものでした。しかし、書式に不備があると、遺言が無効になるリスクもありました。

公正証書遺言

「公正証書遺言」は、公証役場で公証人が作成する遺言の形式です。この形式の遺言は、デジタル機器を使用して作成することが可能で、年間約11万件の作成されています。

遺言書のデジタル化

最近の動向として、法務省は「自筆証書遺言(財産目録(すでに改正済み)以外の遺言書「本文」)」のデジタル機器での作成を解禁する方針を示しています。

これは、高齢者を含む多くの人がパソコンやスマートフォンを使いこなしている現状を踏まえたものです。デジタル機器を使用することで、遺言の作成が容易になり、家族間の紛争を防ぐことが期待されています。

しかし、デジタル機器を使用する場合、遺言者の真意の確認や改ざんを防ぐ仕組みの導入が必要となります。今後の議論では、電子署名の活用や入力の様子を録画するなどの提案が検討されると予想されます。

遺言は、遺言者本人の死後の財産や権利の取り扱いを明確にする重要な文書です。適切な形式で遺言を作成し、家族や相続人とのトラブルを避けるためには、最新の法律や制度を理解することが不可欠です。

 

遺言と遺言の種類について

遺言とは、自分が亡くなった後に自分の財産を誰に、どのように渡すかを、本人が書面で残すものです。遺言書を作成することで、自分の意思を尊重して財産を相続してもらうことができます。

遺言書の種類は、大きく分けて「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で作成する遺言の方法です。遺言者が公証人の前で、自分の遺言の内容を口頭で伝えます。その内容を公証人が筆記し、正確に遺言が記録されます。

この方法の大きな特徴は、公証人が関与することで、形式不備(遺言として無効となる)となる可能性が小さい点です。また、公正証書遺言は公証役場で保管されるため、紛失や偽造のリスクが非常に低いです。しかし、公証役場での手続きが必要なため、費用や手間がかかることも覚悟しなければなりません。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が自らの手で全ての内容を書き、署名と押印をする方法です。この方法の利点は、特に手続きや第三者を必要とせず、自分のペースで遺言を書くことができる点にあります。

しかし、自筆であるため、公的な手続きや第三者のチェックが入らないことから、書き方(形式)や内容が不備になる可能性もあり、遺言が無効となるリスクがあります。そのため、正確な書き方を心がけることが大切です。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、自分で作成した文書を封筒に入れて裁判所に預ける遺言です。

日本の民法970条は、秘密証書遺言の方式を定めています。秘密証書遺言をするには、以下の手続きが必要です。

  1. 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
  2. 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
  3. 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
  4. 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

また、証書の加除変更は、自筆証書遺言の加除変更と同じ方式(民法968条第3項)に従って行わなければなりません。

これらの手続きを経て初めて、秘密証書遺言は有効となります。具体的な手続きや詳細については専門家にご相談ください。

 

自筆証書遺言のテンプレート(ひな形)を紹介

自筆証書遺言のテンプレートをご紹介します。

遺言書テンプレート

物件目録

参照元:https://houmukyoku.moj.go.jp/gifu/content/001321184.pdf

遺言書の作成手順は以下の通りです。

  1. 日付の記入:遺言書の最初に、作成日を記入します。例えば、「平成◯◯年◯月◯日」とします。
  2. 遺言者の情報:遺言者の氏名、住所、生年月日を明記します。
  3. 遺言書と明記:次に、「遺言書」と明記します。これにより、この文書が遺言書であることを明確にします。
  4. 遺言の内容:遺言の内容を条文形式で記述します。
  5. 署名と押印:最後に、遺言者本人が署名し、押印します。これにより、この遺言書が遺言者本人によって作成されたことを証明します。
  6. 財産目録の作成:必要であれば、財産目録を作成し、遺言書に添付します。財産目録はパソコンで作成してもかまいません。財産目録には現金・預貯金・有価証券・不動産・借入金などを記載します。

以上が基本的な遺言書の作成手順です。

ただし、遺言書は重要な法的文書であり、誤った内容や形式は無効となる可能性があります。したがって、専門家(例えば弁護士や司法書士)に相談することをお勧めします。

また、公正証書遺言も考慮すると良いでしょう。

 

財産目録は現段階でもパソコンで作成してOK!

遺言書というと、一般的には全て手書きで作成するイメージが強いかと思います。しかし、2019年1月13日の民法改正によって、遺言書に添付される財産目録に関しては、手書きでなくても良くなりました

「自筆証書遺言」という形式は、全てを自筆で書く必要があるとされていました。しかし、実際には財産目録が多岐にわたる場合、全てを手書きで作成するのは難しいというのが現状でした。

この改正の背景には、現代の生活スタイルに合わせて、より手軽に遺言書を作成できるようにするという意図があります。

特に、財産目録は詳細な情報を記載する必要があるため、パソコンを使用して作成することで、効率的に情報を整理できるというメリットがあります。

自筆証書遺言に添付する財産目録については、パソコンで作成することが可能です。財産目録に記載すべき内容は以下の通りです。

  • 現金:金額
  • 預貯金:金融機関名、支店名、口座種別、口座番号
  • 有価証券:銘柄、株数、証券口座情報を記載します。
  • 不動産:不動産番号、地番・家屋番号など、物件を特定できる情報を記載します。登記事項証明書を添付してもよいでしょう。
  • 借入金:借入金残高と借入先を記載します。

以上のような項目が一般的に財産目録に記載されます。ただし、遺言者の具体的な状況により、記載すべき項目は変わることがあります。

また、遺言書本文に財産内容を記載した場合、財産目録は必ずしも必要ではありませんが、遺言の内容を明確にするために有用です。適切な評価額を記載し、財産を特定できるようにすることが重要です。

また、財産目録には遺言者の署名と押印が必要です。遺言書を作成する際には、この新しいルールを活用して、効率的に財産目録を作成しましょう。

しかし、遺言書本文に関しては、今後も自筆での作成が必要ですので、その点は注意が必要です。

このように、時代の変化とともに、遺言書の作成方法も進化してきています。遺言書を作成する際には、最新の情報を確認し、正確に遺言を残すことが大切です。

 

まとめ

遺言書は、遺言者が死亡した後の財産や権利の取り扱いを定める文書です。主な遺言書の種類には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。「自筆証書遺言」は、遺言者が自筆で全文、日付、名前を記入し、押印する形式です。

一方、「公正証書遺言」は公証役場で公証人が作成する形式で、デジタル機器を使用しての作成が可能です。

法務省は「自筆証書遺言」のデジタル機器での作成を検討中で、これにより遺言の作成が容易になると期待されています。

しかし、デジタルでの作成には遺言者の真意の確認や改ざん防止の仕組みが必要となります。

遺言書は、相続人や家族間のトラブルを防ぐための重要な文書であり、最新の法律や制度を理解し、適切な形式で作成することが不可欠です。

この記事の監修者

あいりん行政書士法人    梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん行政書士法人と司法書士事務所を経営。相続専門5期目として相続業務を幅広く対応。

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