遺産分割などによる所有権移転登記ついて
被相続人が亡くなってその相続人へ共同相続登記をした後、協議により遺産分割が成立した場合には、登記原因を「遺産分割」として所有権移転登記をすることができます。この遺産分割による所有権移転登記は、通常の所有権移転登記と考えていただいて結構です。
例えば共同相続人甲、乙名義の相続登記がされた後、「甲が単独で不動産を所有する」との遺産分割協議が成立した場合、甲を権利者、乙を義務者として申請します。登記原因証明情報として遺産分割協議書を添付します。乙は登記の義務者になるので登記識別情報と印鑑証明書をご用意ください。また甲は住所証明書をご用意ください。
登記の目的 乙持分全部移転登記
原因 年月日 遺産分割
権利者 横浜市鶴見区○○
持分2分の1 甲
義務者 横浜市鶴見区○○
乙
添付書類 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明書 代理権限証書
年月日申請 横浜地方法務局
代理人 横浜市鶴見区○○
高橋徹
課税価格 ○○円
登録免許税 ○○円
不動産の表示
横浜市鶴見区○○
家庭裁判所の審判か調停で登記する場合について
家庭裁判所の審判か調停で遺産分割協議をした場合も基本的には同じです。共同申請で登記義務者の印鑑証明書、登記識別情報を添付します。
しかし、審判の主文か調停乗降にある一定の文言があるといわゆる判決による登記の扱いになり、審判書か調停調書の正本を提出して権利者の単独申請をすることができます。(不動産登記法63条)
なおある一定の文言とは「遺産分割を原因として全部移転登記せよ」などの文言を指します。
共同相続登記前に遺産分割があった場合
一般的にはこのケースが多いです。
登記の目的 所有権移転
原因 年月日 相続
相続人 (被相続人 鶴見三郎)
住所
横浜一郎
添付書類
登記原因証明情報 住所証明書 代理権限証明書
年月日申請 横浜地方法務局
代理人 川崎一郎
共同相続人間の協議や家庭裁判所の審判もしくは調停による遺産分割の結果、共同相続人中の一人が特定の相続不動産を取得することなった場合には、直接その人の名義に相続による所有権移転登記をすることができます。
この場合には、登記原因証明情報として、戸籍謄本や除籍謄本のほか、遺産分割協議書、家庭裁判所の審判書または調停調書の謄本を提出します。(なお、家庭裁判所の審判書や調停調書の謄本を提出する場合は戸籍などは不要です。)