「親の家を相続したが、登記簿に建物が載っていない」「固定資産税は払っているのに、相続登記はどうするのか」と戸惑っていませんか。未登記建物は、相続しただけで自動的に登記されるわけではありません。放置すると売却・融資・相続登記の場面で手続が止まることがあります。
この記事では、未登記建物の意味、確認方法、相続後に行う表題登記・所有権保存登記・相続登記の流れ、必要書類、期限と注意点を、実務で迷いやすい順に説明します。
目次
この記事を要約すると
- 未登記建物とは、建物が存在していても登記記録に表題部や所有権の登記がない建物です。
- 固定資産税を払っていることと、登記が済んでいることは別です。
- 相続人を確定し、建物の種類を調査したうえで、表題登記・保存登記・相続登記を必要に応じて進めます。
この記事をおすすめしたい方
- 相続した家が登記簿や全部事項証明書に見つからず不安な方
- 未登記建物、相続登記というキーワードで記事をお探しの方
- 売却・解体・担保設定をする前に、必要な登記と書類を整理したい方
未登記建物とは?登記簿に載っていない状態
建物を新築したときは、建物の所在・種類・構造・床面積などを登記する表題登記を行い、その後、所有権保存登記をするのが一般的です。しかし古い建物では、表題登記だけ、または登記自体がされていないことがあります。
登記の有無は、登記・供託オンライン申請システムや管轄法務局で確認します。登記記録がないからといって、固定資産税の課税対象でないとは限りません。自治体の課税台帳と法務局の登記記録は別の情報です。
未登記建物を相続すると困る5つの理由
| 問題 | 実務上の影響 |
|---|---|
| 売却 | 買主への所有権移転の前提手続が複雑になる |
| 融資 | 担保設定ができず、金融機関の審査が止まることがある |
| 遺産分割 | 不動産の特定が難しく、協議書の記載が曖昧になる |
| 相続登記 | 土地だけ登記して建物を漏らす危険がある |
| 次の相続 | 相続人が増え、戸籍収集と合意形成が難しくなる |
未登記であること自体が直ちに違法と決めつけられるわけではありませんが、新築後の表題登記には申請義務があります。根拠となる不動産登記法を確認し、専門家に現状を調査してもらいましょう。
未登記かどうかを確認する方法
1. 法務局で土地・建物の登記記録を調べる
土地の地番を確認し、土地の全部事項証明書と建物の登記記録を取得します。建物が複数ある場合は、家屋番号、種類、床面積も確認します。
2. 固定資産税の納税通知書と名寄帳を見る
市区町村の資産税担当窓口で、名寄帳や評価証明書を取得します。納税通知書の家屋番号・建築年・床面積を登記記録と照合します。
3. 現地と図面を確認する
増築部分、物置、車庫、離れなどが課税台帳や登記記録から漏れていることがあります。建物の現況と資料を照合し、相続財産の一覧に漏れなく記載します。
相続後の手続きの流れ
1. 相続人と遺産分割の内容を確定する
被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し、相続人全員で遺産分割協議をします。未登記建物も「所在、種類、構造、床面積」などを特定して協議書に記載します。
2. 表題登記が必要かを土地家屋調査士に確認する
表題部がない建物は、建物の測量・調査を行って表題登記を申請します。図面や建築確認済証がない場合でも、固定資産税資料や現地調査で進められることがあります。
3. 所有権保存登記または相続登記を行う
表題登記の後、所有権保存登記を行い、相続人の所有権を登記します。既に所有権登記がある場合は、相続を原因とする所有権移転登記を申請します。登記申請の窓口は不動産所在地を管轄する法務局です。
4. 相続登記の期限を確認する
2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が原則義務です。詳細は法務省「相続登記の申請義務化」、遺産分割がまとまらない場合は相続人申告登記を確認してください。
必要書類の例
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本
- 相続人の戸籍、住民票、印鑑証明書
- 遺産分割協議書または遺言書
- 固定資産評価証明書、名寄帳、納税通知書
- 建物図面、建築確認資料、現地調査資料
未登記建物の相続でよくあるQ&A
Q1. 固定資産税を払っていれば登記済みですか?
いいえ。課税台帳と登記記録は別です。法務局の登記記録を確認してください。
Q2. 土地だけ相続登記すればよいですか?
建物も相続財産です。未登記のまま残さず、表題登記などの要否を確認します。
Q3. 古い家で書類がありません。手続きできますか?
可能な場合があります。名寄帳、評価証明書、現地調査、近隣資料などを組み合わせて調査します。
Q4. 相続登記の義務化前の相続も対象ですか?
対象です。2024年4月1日より前に開始した相続も、原則として2027年3月31日までの対応が必要です。
Q5. 未登記のまま売却できますか?
売買契約は可能でも、買主への移転や融資で問題になることがあります。売却前に登記方法を確認してください。
まとめ|未登記建物は早めの調査が解決への近道
未登記建物は、法務局の登記記録、自治体の課税資料、現地の状態を照合して初めて全体像が分かります。相続人を確定し、表題登記・保存登記・相続登記のどこまで必要かを、土地家屋調査士や司法書士に確認しましょう。

