預金が凍結した時の対処方法について
故人の銀行口座は銀行が死亡を知った時に銀行は口座凍結します。一度凍結すると送金や引き出し、口座引き落としもできなくなり、かなり状況が悪くなります。
基本的には故人名義の口座は亡くなった時点で相続人の共有財産になるのですが、それでも身動きが取れなくなります。法律的には法定相続人それぞれの持分に比例して、その部分は請求できるのですが、銀行側の都合によりできないものとなります。よって複数名の相続人がいた場合、その一人がその方の相続分に応じた金額を銀行に払い戻し請求してもその要求は銀行には通らないものとなります。
遺産分割協議がまとまらないケースなどは特に注意しておいたほうが良いです。ですので、そうなる前に預貯金の名義変更(解約)をしておく必要があります。
通常であれば①預貯金口座を解約し、②相続人の口座に預貯金を振り込むことが多いかと思います。
預金の解約に必要な手続き
預貯金を解約するには、銀行によって異なりますが戸籍や預金通帳、相続人の印鑑証明書などが必要になります。注意点は三点です。①戸籍や印鑑証明書は3か月以内のものを銀行が要求するケースが多いこと、②解約当日には銀行内の処理はなされないこと、③戸籍などの書類の原本を返してもらえることです。
①に関して不動産登記申請には特に期間制限がないので、書類取得に関してはこの点に注意ください。②に関して、通常であれば必要書類を提出してから銀行の処理が終わるまでは通常1~2週間の期間がかかります。③に関しては窓口で原本を渡す際、「原本を返してほしい」旨を伝えて頂ければたいていのものは銀行側でコピーをして、原本を返却してもらえます。
以上の預金解約の手続きは原則ご自分でできるものです。これは不動産の名義変更でも変わりません。書類集めや申請書作成などの手間や苦労があるものの、トライする方も多くいらっしゃいます。
簡単なケースであればそれでよいのですが、段取りや取得書類を間違えると費用や時間も無駄にかかるので、少しでも込み入ったものや、面倒だなとお感じになるのであれば専門家に依頼するのが一番です。
預金相続するのに必要な書類
口座名義人が亡くなった場合、相続人などが相続の手続きをすることになります。この時には相続の仕方によって必要書類が異なります。例えば遺言書で相続を進めると以下のような書類を集めます。
遺言書、検認調書、被相続人の戸籍、預金の相続される方の印鑑証明書、遺言書執行者の選任審判書謄本。遺言書が存在せず遺産分割協議書がある場合は遺産分割協議書、被相続人の除籍謄本、戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書などが必要です。
遺産分割前の相続預金の払い戻し制度
口座名義人が亡くなって、だれでも自由に預金を勝手に払い戻しできるわけではありません。これは預金が遺産分割協議の対象となる場合で、遺産分割が終了するまでの間であっても変わりません。
しかし、遺産分割が終了する前であっても、各相続人が当面の生活費や葬儀費用の支払いなどのためにお金が必要になった場合は預金の払い戻しが受けられるような制度ができました。つまり、預金の一定の額を金融機関窓口で払い戻しをうけることができます。
改正民法で導入された2つの新制度
民法改正されたことによって預金の払い戻しができる制度が設置されました。具体的には家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度と、家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができる制度の二つがありました。
家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度
家庭裁判所に遺産分割調停や審判を申し立ている最中で、相続人が家庭裁判所に申し立てることによって預金を引き出せる審判を得られる可能性があります。ただし、生活費の支出などの事情により預金を引き出せる必要性が認められることや、ほかの相続人の利益を害しない場合に限られます。
家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができる制度
各相続人は一定の額であれば家庭裁判所の判断の有無を得ずに、預金の払い戻しを受けることができます。ただし、同一の金融機関からの払い戻しは150万円が上限になります。
単独で払い戻しができる計算式は、「相続の開始時の預金額×3分の1×払い戻しを行う相続人の法定相続分」であり、この計算式で計算された額が単独で払い戻しができる額です。