この記事を要約すると
- 任意後見は、親や自分の判断能力がしっかりしているうちに、将来の支援者を決めておく制度です。
- 任意後見人は本人を支える人、任意後見監督人はその人をチェックする人です。
- 契約を作っただけでは始まらず、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから効力が動き出します。
この記事をおすすめしたい方
- 50代で親の認知症や財産管理が心配になってきた方
- 任意後見人、任意後見監督人 違いというキーワードで記事をお探しの方
- 家族に負担をかけない老後準備を早めに始めたい方
目次
任意後見人と任意後見監督人の違いを一言でいうと
任意後見人は、将来、本人の判断能力が低下したときに、財産管理や契約手続を支える人です。任意後見監督人は、その任意後見人がきちんと仕事をしているかを確認する人です。50代の方であれば、「親が元気なうちに、いざという時に誰が銀行や施設の手続きをするか決めておく話」と考えると分かりやすいです。
任意後見制度の根拠は、e-Gov法令検索の任意後見契約に関する法律で確認できます。任意後見契約に関する法律第2条第1号は、任意後見契約を「本人が委任者となり、将来判断能力が不十分になったときの事務を委任する契約」と整理しています。むずかしい言葉ですが、要するに元気なうちに、将来の代理人を自分で選ぶ仕組みです。
任意後見人とは何をする人か
任意後見人は、本人の代わりに、契約で決めた範囲の事務を行います。たとえば、預貯金の管理、医療費や施設費の支払い、介護サービス契約、賃貸借契約、役所や金融機関の手続きなどです。何でも自由にできるわけではなく、任意後見契約で決めた内容に従います。
大切なのは、任意後見人は「本人の財産を自分のために使う人」ではないということです。本人の生活、医療、介護、住まいを守るために動く人です。親族を任意後見人にする場合でも、通帳の管理や支払い記録を残しておくことが、のちの家族トラブルを防ぎます。
任意後見監督人とは何をする人か
任意後見監督人は、家庭裁判所が選ぶチェック役です。任意後見人から財産目録や報告を受け、本人の財産が適切に管理されているか確認します。必要に応じて家庭裁判所へ報告します。
「家族を任意後見人にするなら監督人はいらないのでは」と感じる方もいます。しかし、判断能力が低下した本人は、自分で任意後見人を十分にチェックできません。そこで第三者的な立場の任意後見監督人が入ります。任意後見契約に関する法律第4条第1項により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して初めて本格的に始まるという点がとても重要です。

任意後見が始まるまでの流れ
| 段階 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 元気なうち | 任意後見人にしたい人を決める | 親族だけでなく専門家も候補になる |
| 契約作成 | 公正証書で任意後見契約を作る | 本人の判断能力が必要 |
| 判断能力低下後 | 家庭裁判所へ任意後見監督人選任を申し立てる | 医師の診断書などが必要になる |
| 監督人選任後 | 任意後見人が契約に基づき支援を始める | 監督人への報告が必要 |
契約を作る時点では、まだ任意後見は動きません。親が元気なうちに契約だけ作り、必要になった時点で家庭裁判所に申し立てる流れです。ここを誤解して、「契約したからすぐ銀行手続きができる」と思ってしまう方がいますが、実際には監督人選任が必要です。
誰を任意後見人にすればよいか
任意後見人は、信頼できる子ども、兄弟姉妹、親族、司法書士・弁護士などの専門家から選ぶことが多いです。親族を選ぶメリットは、本人の生活や性格をよく知っていることです。一方で、お金の管理があいまいになると、他の相続人から疑われることがあります。
専門家を選ぶメリットは、記録管理や手続きに慣れていることです。ただし報酬がかかります。親族と専門家を組み合わせる方法もあります。たとえば、生活面は子どもが見て、財産管理は専門家に相談する形です。大切なのは、本人の財産額、家族関係、近くに住む人の有無に合わせて決めることです。
任意後見監督人の報酬と負担
任意後見監督人には報酬が発生するのが一般的です。金額は本人の財産内容や事務量により異なり、家庭裁判所が判断します。毎月の負担が出るため、契約を作る段階で「監督人の報酬も必要になる」と家族に説明しておくと安心です。
費用だけを見ると負担に感じますが、監督人がいることで、任意後見人の不正や使い込みを防ぎやすくなります。本人の財産を守るための安全装置と考えると分かりやすいでしょう。
50代から考える任意後見の使いどころ
50代の方が任意後見を考える場面は、大きく二つあります。一つは親のため、もう一つは自分自身の将来のためです。親が70代・80代になり、通帳や不動産の管理が心配になってきたら、判断能力がはっきりしているうちに相談する価値があります。
また、自分に子どもがいない、配偶者に負担をかけたくない、兄弟姉妹と疎遠、事業や不動産を持っているという方も、任意後見を検討する意味があります。任意後見は、認知症になってから慌てて使う制度ではなく、元気なうちに準備しておく制度です。
条文で見る任意後見のポイント
任意後見で特に押さえたい条文は、任意後見契約に関する法律第2条第1号と同法第4条第1項です。第2条第1号は任意後見契約の意味を、第4条第1項は任意後見監督人の選任を定めています。難しく聞こえますが、実務上は「元気なうちに契約を作り、判断能力が低下した後に家庭裁判所で監督人を選んでもらう」と理解すれば大丈夫です。
まとめ
任意後見人は本人を支える人、任意後見監督人はその支援をチェックする人です。契約は公正証書で作り、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから効力が動き出します。
親の財産管理や施設入所が心配になったら、まだ元気なうちに話し合うことが大切です。早めに準備すれば、家族も本人も落ち着いて選択できます。
任意後見人・任意後見監督人のよくある質問
- Q. 任意後見人と任意後見監督人は同じ人ですか?
- A. 違います。任意後見人は本人を支援する人、任意後見監督人はその人をチェックする人です。
- Q. 任意後見契約を作ればすぐ効力が出ますか?
- A. いいえ。任意後見契約に関する法律第4条第1項により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してから効力が発生します。
- Q. 親族を任意後見人にできますか?
- A. できます。ただし財産管理の記録を残すことが大切です。家族関係によっては専門家を選ぶ方がよい場合もあります。
- Q. 任意後見監督人の報酬はかかりますか?
- A. 一般的には報酬が発生します。金額は事案ごとに家庭裁判所が判断します。
- Q. 50代でも任意後見を考えるのは早すぎますか?
- A. 早すぎることはありません。親の将来や自分自身の老後の備えとして、元気なうちに検討する制度です。
この記事の監修者

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