【追悼】亀山忍さん死去で考える双子兄弟の相続問題と遺産分割の注意点

亀山忍相続問題

この記事を要約すると

  • 兄弟姉妹は法定相続人の第3順位で、遺留分が一切認められていない。
  • 兄弟姉妹への相続を確実にするには、法的要件を満たした遺言書の作成が必須

2025年8月5日、俳優の亀山忍さんが腎臓がんのため56歳で逝去されました
元阪神タイガースの亀山努さんの双子の弟として知られた忍さんの訃報は、多くの人に双子や兄弟姉妹の相続について考える機会を与えています。

兄弟姉妹の相続は、一般的な配偶者・子どもの相続とは大きく異なる特徴があります。
特に遺留分が認められていないという重要なポイントがあるため、
適切な対策を講じなければ、大切な兄弟に財産を残せない可能性があります。

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この記事はこんな方におすすめ

  • 双子や兄弟姉妹に財産を残したい
  • 兄弟姉妹の相続権について知りたい方
  • 遺言書の作成を検討している方
  • 相続対策の基本を学びたい方

亀山忍さんの生い立ちと双子の兄・努さんとの絆

亀山忍さんの人生を見てみると、双子の兄である努さんとの強い絆がありながらも、お互い全く違う道を歩んできたことが分かります。

同じ日に生まれ、同じ家庭で育った兄弟でしたが、
高校時代の怪我をきっかけに、兄は野球選手、弟は俳優という別々の世界で活躍することになりました。

この兄弟の経験は、私たちが相続について考える時にも大切なヒントを与えてくれます。

大阪生まれ奄美育ちの双子が歩んだ異なる人生

亀山忍さんと兄の努さんは、1969年7月2日に大阪府大阪市港区で一卵性双生児として誕生しました。
双子の兄弟の順番は、出生の前後によって決まります。
先に生まれた方が兄、後に生まれた方が弟となり、これは戸籍法で定められたルールです。

12歳まで大阪で過ごした後、父親の故郷である鹿児島県奄美大島に家族で移住しています。
鹿屋中央高等学校では、二人とも調理科に在籍し調理師免許を取得。

同時に野球部では兄弟バッテリーを組み、忍さんが左腕エース、努さんがキャッチャーとして活躍しました。

しかし、高校在学中に忍さんが利き手に深刻な怪我を負い、野球人生が大きく変わることになります

阪神タイガースの入団テストでは、努さんは合格したものの、忍さんは不合格となり、ここで兄弟の運命が分かれることになったのです。

野球断念から俳優転身、兄弟で築いた確固たる地位

1992年、努さんが新庄剛志さんとともに巻き起こした「亀新フィーバー」は、忍さんにとっても大きな転機となりました。

兄の知名度を追い風に芸能界入りを果たし、「亀山つとむの弟」という肩書きから出発したタレント・俳優活動は、やがて独自の地位を築くまでに発展します。

努さんは元プロ野球選手・タレントとして阪神タイガース外野手で活躍し、ヘッドスライディングを特技としました。

一方、忍さんは俳優・タレントとして『ウルトラマンダイナ』のゴンドウ参謀役で印象を残し、奄美弁指導や演技で才能を発揮。

共通点として、両者とも調理師免許と野球経験を持っていました。

調理師免許を持つ多才な俳優が残した功績とは

忍さんの俳優としての功績は、単なる「有名選手の弟」という枠を超えて評価されるべきものでした。
高校時代に取得した調理師免許は、彼の多才さを象徴する資格の一つです。

俳優業では特撮・時代劇・現代劇で幅広く活躍し、歌手としては小林こずえさんとのデュエット曲「恋はひらめき」をリリース。

さらに故郷奄美の文化を芸能界に伝える方言指導や、プロ野球選手にならなければ「餃子の王将に就職する予定」だったほどの調理技術も持ち合わせていました。

2009年頃から体調を崩し、長期にわたる闘病生活に入りましたが、最後の仕事となった2009年の方言指導は、
彼が自身のルーツを大切にし続けた証でもあります。

 

双子でも例外なし!兄弟姉妹相続の実務上の重要ポイント

兄弟姉妹の相続は、多くの方が思っている以上に複雑で制約の多い分野です。
双子であっても法律上は一般的な兄弟姉妹と同じ扱いを受けるため、双子だから…という特例の様なものはありません。

ここでは、実際の相続手続きで直面する重要なポイントを、実務的な観点から詳しく解説していきます。

第3順位の兄弟姉妹が相続人となる具体的な3つの条件

兄弟姉妹が相続人になるケースは、法律で厳格に定められています。
双子であっても、一卵性・二卵性の違いに関わらず、相続における扱いは同じです。

まず配偶者と兄弟姉妹の組み合わせでは、子ども・父母・祖父母がいない場合に配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。
次に兄弟姉妹のみの場合は、未婚で子ども・父母・祖父母がいない状況で兄弟姉妹が全額を分割します。
最後に代襲相続では、兄弟姉妹が先に死亡し、その子が元の相続分を受け継ぐことになります。

民法第900条(法定相続分)では「同順位の相続人が数人あるときは、
その相続分は、次の各号の定めるところによる。」として、兄弟姉妹の相続割合が規定されています。
 
実際の相続手続きでは、被相続人に上位順位の相続人がいないことを
戸籍で証明する必要があるため、
出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集めることが求められ、手続きが複雑になります。
 
ポイント
兄弟姉妹は法定相続人の第3順位です。
第1順位(子)・第2順位(父母・祖父母)がいる場合は、兄弟姉妹に相続権はありません。

遺留分ゼロの兄弟姉妹が直面する相続実務の落とし穴

兄弟姉妹の相続で最も注意すべきは、遺留分が一切認められていないことです。
これは双子であっても例外ではありません。

遺言書で第三者に財産を渡すと書かれてしまうと、兄弟姉妹は法的に財産を取り戻す手段がありません。
多くの方が「家族なんだから当然もらえるはず」と思われているのですが、実際は法律上は、そうではないのです。

配偶者と子どもには財産の半分を受け取る権利があり、父母には3分の1の権利があります。
しかし兄弟姉妹の場合、こうした最低限の権利が全く認められていません
これは、兄弟姉妹がそれぞれ別々に生活しており、亡くなった人に生活を頼っているわけではないと法律が考えているからです。

民法第1042条(遺留分の帰属及びその割合)では
「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。」として、兄弟姉妹には遺留分がないことが明記されています。

もしあなたが大切にしている兄弟姉妹に財産を残したいと思った時、現在の準備で本当に確実に財産を渡すことができるでしょうか?
このような状況を避けるためにも、適切な遺言書の準備が不可欠となります。

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長期闘病ケースで発生しやすい兄弟間の財産管理問題

亀山忍さんのように長期間の闘病生活を送る場合、兄弟間での財産管理に関する問題が発生することがあります。

主な問題としては、医療費・介護費用の負担分担、本人の意思確認が困難になる可能性、成年後見制度の利用検討、兄弟間での連絡・協力体制の構築などが挙げられます。
特に注意すべきは、本人の判断能力が低下した場合の財産管理です。

銀行口座の凍結や不動産の処分ができなくなる前に、家族信託任意後見契約などの対策を検討することが重要です。

定期的な兄弟間での情報共有、医療・介護方針の事前確認、財産管理の権限委託手続き、緊急時の連絡体制整備などを早めに準備しておきましょう。

参考:成年後見制度について – 法務省

 

兄弟姉妹の相続を確実にする遺言書作成の実務手順

兄弟姉妹に財産を確実に残すためには、適切な遺言書の作成が不可欠です。
遺留分が認められていない兄弟姉妹にとって、遺言書は唯一の財産承継手段と言っても過言ではありません。
ここでは、実務的な観点から遺言書作成の具体的な手順と注意点を詳しく解説していきます。

兄弟相続で必須となる自筆証書遺言の要件

兄弟姉妹に確実に財産を残すためには、遺言書の作成が絶対に必要です。口約束や家族での話し合いでは、法的効力がないため注意が必要です。

「遺言書なんて難しそう」と思われる方も多いかもしれませんが、
実は基本的なルールを守れば、どなたでも作成できるものなんです。
同じような不安を抱えている方はたくさんいるので、安心してください

自筆証書遺言の場合、財産目録以外はすべて手書きで作成し、年月日をはっきりと記載する必要があります。

「○年○月吉日」のような曖昧な記載は無効となるため注意しましょう。
氏名は戸籍上の正式名称で記載し、通称や愛称は避けてください。押印は認印でも可能ですが、実印の使用をお勧めします。

  • 民法第968条(自筆証書遺言)では「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」
    として、自筆証書遺言の要件が規定されています。

 

遺言書の見本はこちらからダウンロード

 

遺言執行者指定で兄弟相続トラブルを防ぐ方法

兄弟姉妹への相続では、相続人以外の第三者が財産処分に異議を唱える場合があります。
このようなトラブルを防ぐため、遺言執行者の指定が効果的です。

遺言執行者を指定することで、相続手続きを一人で実行でき、
第三者による妨害行為を排除し、迅速な財産承継が可能になります。また、相続人の負担も大幅に軽減されます。

遺言執行者として適切な人物について、
親族なら費用負担はありませんが専門知識不足の可能性があります。
一方で、信託銀行は確実な執行が期待できますが高額な報酬がかかります。
司法書士ですと、報酬は掛かってきますが、専門知識と中立性があります。

民法第1006条(遺言執行者の指定)では「遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。」として、
遺言執行者の指定方法が規定されています。

兄弟相続の戸籍収集と手続きの実務ポイント

兄弟姉妹が相続人となる場合、戸籍収集は特に複雑になります。
被相続人に子がいないこと、直系尊属(父母・祖父母)がいないことを証明するため、
多数の戸籍が必要となるからです。

まず被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を集めます。本籍地に変更があれば、
それぞれの市区町村で戸籍を取得し、養子縁組や離婚歴も同時に確認します。

兄弟相続で特に重要なのは、両親(父・母)の出生から死亡までのすべての戸籍を取得することです。
単に父母の死亡確認だけでは不十分で、両親の全戸籍から重要事項を確認する必要があります。

確認すべき事項は、

  • 被相続人と相続人以外に他の子が存在しないか
  • 異母兄弟・異父兄弟がいないか
  • 両親が他の子と養子縁組をしていないか
  • 父が他の子を認知していないか

などです。戦前から戦後にかけて生まれた方の場合、複雑な家族関係が戸籍に記載されていることがあるため、丁寧な確認が必要です

戸籍収集完了後は、相続関係説明図を作成します。この図は金融機関や法務局で必要な重要書類です。

実務上の重要な注意点
戸籍収集には想像以上に時間がかかります。特に両親の出生から死亡までの戸籍を全て取得する必要があるため、2〜3ヶ月程度要することも珍しくありません。早めの準備を心がけましょう。

 

まとめ:亀山忍さんの訃報が教える兄弟相続の備えの大切さ

亀山忍さんの訃報は、多くの人に家族の絆と相続の大切さを改めて考えさせる出来事となりました。双子として生まれ、異なる道を歩みながらも、
それぞれの分野で成功を収めた兄弟の物語は、相続における重要な教訓を私たちに与えています。

兄弟姉妹は法定相続人の第3順位であり、相続機会は限定的です。さらに重要なのは、遺留分が一切認められていないという事実で、
これは双子であっても同じ扱いとなります。

遺言書がなければ兄弟姉妹に財産を残せない可能性があるため、法的要件を満たした遺言書の作成が必要不可欠です。

相続は誰にでも必ず訪れる問題です。今回の記事をきっかけに、ご自身の相続対策について考える機会を持たれることをお勧めします。
専門的な手続きについては、相続に詳しい司法書士や税理士などの専門家に相談されることで、より安心で確実な対策を講じることができるでしょう。

 

この記事の監修者

“横浜市内の相続代行の相談を受ける司法書士”

あいりん司法書士行政書士事務所 梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん司法書士事務所を経営。相続専門7期目として相続業務を幅広く対応。

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