この記事を要約すると
- 石原裕次郎は海洋散骨を希望していたが、当時は法律で認められていなかった
- 1991年に法務省が「葬送のための祭祀で節度を持って行われる限り違法ではない」と発表し、海洋散骨が合法化された
- 自由さと自然への敬意から、海洋散骨は特に自然環境を大切にするシニア世代にとって魅力的な選択肢となり、実際に海洋散骨を選ぶ人は年々増加している
海洋散骨が知られるきっかけの一つになったのが昭和の大スター、石原裕次郎さんでした。
彼の死後、兄の石原慎太郎さんが「海を愛した弟を海に還したい」と願ったことで、一気に話題となった海洋散骨。
その自由さと自然への敬意がシニア世代に大人気となり、相談件数はこの5年で増加しています。
なぜ海洋散骨がこれほどまでに支持されているのか、その理由や海洋散骨についてわかりやすく解説します。
海洋散骨とは
近年、海洋散骨が注目を集めています。海洋散骨とは、遺骨を粉末状にした後、海に散布する葬送方法の一つです。
海洋散骨は、伝統的な墓地埋葬や納骨堂への納骨と比べて、シンプルで自然に還ることができるという特徴があります。
5年間での海洋散骨相談件数は増加しています。その理由はどこにあるのでしょうか。
海洋散骨が注目されている理由
費用が抑えられる
海洋散骨の大きなメリットは、費用が抑えられることです。従来の墓地や納骨堂を利用する場合、土地の購入費や管理費がかかります。
一方、海洋散骨はそのような費用が不要であり、専門業者に依頼する費用のみで済みます。具体的には、平均的な海洋散骨の費用は20万円から50万円程度です。これは、墓地埋葬に比べてかなり経済的です。
後継者がいなくてもできる
後継者がいない場合、墓地の管理や維持が問題となります。
しかし、海洋散骨ならばその心配は不要です。遺骨を自然に還すことで、永続的な管理を必要としないためです。
こうした理由から、特に独身の方や子供がいない夫婦にとって、海洋散骨は魅力的な選択肢となっています。
最後は自然に還りたいという思い
多くの人が海洋散骨を選ぶ理由の一つに、「最後は自然に還りたい」という思いがあります。
広大な海に散骨されることで、永遠に自然の一部となることができます。これは、自然愛好者や環境保護に関心がある人々にとって、非常に魅力的な供養方法です。また、海という場所が持つ象徴的な意味合いも、心の平安をもたらします。
石原裕次郎さんから始まった海洋散骨
海洋散骨という言葉を耳にしたことがありますか?
海洋散骨が注目を集めるようになったきっかけは、石原裕次郎さんの存在が大きいでしょう。
石原裕次郎さんが1987年に亡くなった際、彼の兄である石原慎太郎さんが「海を愛していた弟を海に還したい」として海洋散骨を希望しました。
しかし、当時の法律の解釈(刑法190条、墓地、埋葬等に関する法律)により、海洋散骨は認められず、断念せざるを得ませんでした。
その後、1991年に法務省が「葬送のための祭祀で節度を持って行われる限り違法ではない」と発表し、海洋散骨が合法的に行えるようになりました。
このエピソードが多くのメディアで報じられたことで、海洋散骨という選択肢が広く知られるようになりました。
しかし、このエピソードが多くのメディアで報じられ、海洋散骨という選択肢が広く知られることとなりました。裕次郎さんの一件が取り上げられたことで、一気に注目を浴びたのです。
さらに、他の有名人たちも海洋散骨を選ぶようになり、その影響で一般の人々にも広がりました。例えば、俳優の夏木陽介さんや歌手のテレサ・テンさんなど、いくつかのケースが報じられています。これにより、海洋散骨がより身近なものと感じられるようになりました。
海洋散骨が注目される理由は、その自由さと自然への敬意です。従来の墓地埋葬と比べて、自然と一体化するという意味で非常に魅力的です。
増加する海洋散骨
特に、自然環境を大切にするシニア世代にとって、この方法は心に響くものがあるのではないでしょうか。
実際に、海洋散骨を選ぶ人々は年々増加しています。
海洋散骨の総合情報サイト「やさしい海洋散骨」が、全国散骨会社を対象に行った現状調査の結果によると、海洋散骨相談件数は5年前と比較して88.9%増加しています。
調査データによると、海洋散骨を選ぶ理由として「故郷に戻す」や「海が好き」などが挙げられています。
さらに、海洋散骨は環境にも優しいという点が評価されています。従来の墓地は土地を必要としますが、海洋散骨はその必要がなく、環境への負担を軽減できます。
また、自治体にもよりますが散骨する場所も増えてきているため、故人が愛した海や特別な場所での散骨が可能です。
海洋散骨を選ぶ際の注意点についても触れておきましょう。海洋散骨は合法的に行えますが、日本海洋散骨協会ガイドラインを守る必要があります。ガイドラインを正しく理解し、尊重することが大切です。
海洋散骨をした有名人の一覧
次に海洋散骨をした代表的な有名人の方を一覧でご紹介します。
芸能人・有名人 | 海洋散骨場所 | 経歴 |
石原裕次郎(歌手・俳優) | 相模湾 | 日本の歌手・俳優。1950年代から1980年代にかけて、映画やテレビドラマで活躍し、「太陽にほえろ!」などが代表作。 |
石原慎太郎(作家・元東京都知事) | 葉山町沖 | 日本の作家・政治家。代表作「太陽の季節」で芥川賞を受賞し、後に東京都知事としても長く活躍。 |
いずみたく(作曲家) | 相模湾 | 日本の作曲家。数多くのテレビドラマや映画の主題歌を手掛け、「あしたのジョー」などが代表作。 |
乙羽信子(女優) | 広島県三原市宿祢島付近の海 | 日本の女優。戦後から1980年代にかけて数々の映画に出演し、その演技力で高い評価を受ける。 |
勝 新太郎(俳優) | ワイキキ沖 | 日本の俳優。映画「座頭市」シリーズでの主演で知られ、カリスマ的な存在感を放った。 |
荒井注(俳優、コメディアン) | ケアンズの海 | 日本の俳優・コメディアン。ザ・ドリフターズのメンバーとしてバラエティ番組「8時だョ!全員集合」で人気を博す。 |
井上瑤(声優・放送作家) | オーストラリア | 日本の声優・放送作家。アニメ「機動戦士ガンダム」などで声優として活躍し、幅広い役柄をこなした。 |
沢村貞子(女優) | 相模湾 | 日本の女優。数多くの映画やテレビドラマに出演し、品格ある演技で観客を魅了した。 |
天本英世(俳優) | スペイン・アンダルシア州 | 日本の俳優。独特の風貌と演技力で、多くの映画やテレビドラマで印象的な役を演じた。 |
梨元勝(芸能レポーター) | 東京湾 | 日本の芸能レポーター。鋭い視点と独自の切り口で多くの芸能ニュースを報じた。 |
立川談志(落語家) | ハワイ海域 | 日本の落語家。創作落語や辛口のコメントで知られ、独自の落語スタイルを確立した。 |
海洋散骨の種類と費用
海洋散骨には主に3つの種類があり、それぞれに特徴と費用が異なります。以下で詳しくご紹介します。
個人葬(貸し切り)
個人葬は、船を貸し切って家族や親しい友人だけで行う散骨方法です。
貸し切りならではのプライベートな空間で、ゆったりとした時間を過ごすことができます。この方法では、故人への思いをしっかりと伝えることができ、家族全員で心を込めたお別れが可能です。
費用は船の貸し切り費用など含めて20万円から30万円程度かかります。散骨するための費用が1〜2万円程度、散骨時に僧侶を呼ぶかや食事をするかによって追加費用がかかる場合もあります。
船のサイズやサービス内容によって金額は異なりますが、家族だけの特別な時間を過ごせるため、満足度は非常に高いです。また、散骨場所の指定やセレモニーの内容も自由に決めることができます。
合同葬
合同葬は、複数の家族が同時に散骨を行う方法です。この方法では、他の家族と一緒に行うため費用を抑えることができます。海洋散骨を希望する方が増えている中、合同葬のニーズも高まっています。費用は10万円程度が相場です。
合同葬のメリットは、費用を抑えつつも船に乗って散骨を行える点です。しかし、他の家族と同時に行うため、プライベートな時間を確保することが難しい場合もあります。
そのため、費用重視の方にはおすすめですが、個別の時間を重視する方には適していないかもしれません。
委託散骨(代行散骨)
委託散骨は、専門業者に散骨を代行してもらう方法です。自分で船に乗ることなく、業者が代わりに散骨を行います。この方法は、費用をさらに抑えられることが特徴です。費用は5万円程度と非常にリーズナブルです。
委託散骨のメリットは、手間をかけずに散骨が行える点です。体力的な不安がある方や遠方に住んでいる方にも適しています。
ただし、自身で散骨を行わないため、現場に立ち会うことができません。故人とのお別れを直接感じたい方には、他の方法を検討することをおすすめします。
海洋散骨は法律的に認められているのか
海洋散骨は、近年多くの人々に選ばれるようになりました。
しかし、法律的な観点から見て問題はないのでしょうか?今回は、海洋散骨が法律的にどのように認められているかを解説します。
①法律に基づき遺体を火葬していること
海洋散骨を行うためには、遺体が法律に基づいて火葬されている必要があります。
日本では、遺体をそのまま海に散骨することは認められていません。遺体は必ず火葬し、焼骨にすることが法律で定められています。火葬を行うことで、衛生面の問題や環境への影響を最小限に抑えられます。
②焼骨を粉状にしていること
海洋散骨にあたって焼骨を粉状にする必要があります。
粉状にする理由は、散骨時に骨の形がはっきりと分かる状態であってはならないからです。漁業関係者や散骨した場所の地域住民などへの配慮などから粉状にすることが推奨されています。
また、焼骨を粉状にすることで、自然環境への影響を抑えることができます。粉状の焼骨は海水に溶けやすく、生態系に与える負担も少ないです。
海洋散骨を行う際には、専門の業者がこの粉状化の手続きを行うため、安心して任せることができます。
③墓地として認められた場所以外の陸地での散骨は禁止
海洋散骨は、海で行われることが前提です。法律上、墓地として認められた場所以外の陸地での散骨は禁止されています。散骨が無秩序に行われることを防ぐためです。
海洋散骨を行う場所としては、一般的に沿岸から一定の距離を置いた沖合が選ばれます。
この理由は陸地から見える場所での散骨が他の人々に不快感を与えないようにするためです。また、散骨を行う際には、日本海洋散骨協会ガイドラインに沿って行うようにしましょう。
まとめ
近年、海洋散骨を希望する人々が増加しています。その背景には、自然に帰りたいという思いや、経済的な負担を軽減したいという理由があります。
日本では、海洋散骨を専門に行う業者も増えており、安全かつ法的に問題なく行うためのサポートが充実しています。
海洋散骨を検討されている方は、まずは無料相談をお勧めします。ご不明点や具体的な手続きについて、専門のスタッフが親切に対応いたします。
電話または問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
この記事の監修者
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