この記事を要約すると
- 日本人口の減少に伴い手付かずのまま物件が放置される『空き家増加問題』『住宅過供給問題』がより深刻化していくことが予想される
- 外国人の日本の不動産売買については、居住場所が日本国内か国外かによって必要な書類や手続きが異なるが、特殊な地域を除く多くの不動産を自由に売買することが認められている
- 日本の空き家について欧米人からの問い合わせは年々増えており、今後ソリューションとしての外国人の購入を増やしていくことで『空き家増加問題』、『住宅過供給問題』が解消されることが期待される
日本の重大な問題の一つに少子高齢化があります。
少子高齢化により人口が減少することが予測されていますが、現段階でより多くの物件が手付かずのまま放置される『空き家増加問題』『住宅過供給問題』が起きていることをご存知でしょうか。
しかし現在、欧米人から日本の空き家について注目が集まっています。外国人の国際的な感性から見た日本特有のものには、固有のユニークさや価値があるようです。
実際に空き家の過剰供給を活用し、買い手と空き家を結びつける企業では、欧米人からの問い合わせがビジネス開始時から現在まで約5倍に増加しています。
日本の空き家増加問題と住宅過供給問題を解決できるソリューションとして、外国人の購入者が増えることに期待が高まっています。
日本の空き家問題の現状
住宅・土地統計調査による最新の政府データによれば、”日本全国で約850万軒の空き家がある“とされており、専門家によると”2033年までに日本のすべての住宅の30%を超える可能性がある”と予測されています。
地方では、持ち主の先祖代々がその土地に住み続けてきた歴史があり、住人が亡くなり空き家になっても家族はなかなか空き家を手放すことができないケースが多いです。
実家に関する意思を明確にしないまま親が認知症になって話し合いが難しくなったり、亡くなったりするケースは少なくありません。この場合、残された家族たちは実家を処分することに罪悪感を抱き、空き家のまま放置することを選択してしまうのです。
しかし、空き家の保存状態が悪い場合、街の景観を損なうのはもちろんのこと、災害時に倒壊して住民を危険に晒す可能性があります。
現在、こうした空き家の問題解決に向けて、地方自治体や国のレベルでさまざまな取り組みが進められています。例えば、放置された建物に大雪が降り積もることで損傷を与えることがあります。
これに対して解体費用を一部補助し、町内会で空き家に関する報告書をまとめ、説明会を開くことで問題意識を持ってもらうように促している市があります。
その他にも空き家があることで、相続財産をめぐる家族間の紛争を引き起こす原因にもなる可能性があります。
「空き家活用」のような、空き家コンサルタントの仕事は、いがみ合う親族の相談役として、しばしば財産が失われる前に行動を起こすよう促すなどの役割を持っています。
こうした空き家問題が深刻化する一方で、都市部から解放されたいと感じている、地方の手入れが必要な物件を求める購入者層が増えているのも事実です。
外国人は日本の不動産を購入できるのか?
日本の国際化はここ数年の間に浸透し、地方都市でも国外から旅行だけでなくビジネス目的で来日されたり、日本で暮らすために在留資格を取得する方々をよく見るようになりました。
2022年に出入国在留管理庁が発表した在留外国人は307万以上にものぼるそうです。
そのような方々の中には、生活やビジネスを目的に日本の不動産を購入する方もおられます。外国人の日本の不動産売買について、かつて日本の法律では「外国人土地法」によって制限されていましたが、現在は撤廃されています。
また、令和3(2021)年に成立した「重要土地利用規制法」により、国境付近の離島や原子力発電所、自衛隊の基地など特殊な地域近くの土地売買について規制されていますが、その他の多くの不動産については、日本人と同様に外国人も自由に売買できるようになっています。
日本に住んでいる外国人の場合
現在日本に居住している外国人は、在留資格を持っており、中長期間日本に滞在することを認められている方です。
例えば、日系人や日本人と結婚されている方、日本国内の会社に勤めている方や会社を経営している方、永住者の方などです。
そういった在留資格を持っている外国人が、日本の不動産を購入するには、登記の際に住所を証明する書類が必要になります。
この場合、住民票が住所を証する書面に該当します。その他に、ローンを組む際には、印鑑証明書が抵当権設定登記のために必要になりますが、これも印鑑を登録していれば簡単に入手することできます。
海外に住む外国人の場合
日本の不動産を海外に住んでいる外国人の方が購入する場合には、日本に住んでいる場合と異なり手続きがより複雑になります。
注意するべき点として、住んでいる国によって用意しなければならない書類が異なります。
海外に住む外国人が日本の不動産を購入し、その登記に必要な手続きに関しては、不動産購入登記サポートセンターがお手伝いすることも可能です。しかし、日本在住の場合とは司法書士の報酬が異なります。
なお、司法書士には意思・本人確認の義務があるので、たとえ海外に住んでいる外国人であっても司法書士が直接お会いすることが原則です。
外貨法による財務大臣への報告
外貨法による財務大臣への報告が必要になるのは、「非居住者による本邦(日本)にある不動産もしくはこれに関する権利の取得」です。
日本の不動産を非居住者が取得(売買の他にも、遺贈や相続等)した場合、日本銀行を経由して取引後20日以内に、財務大臣に不動産取得の事後報告を行わなければなりません。
ちなみに、ここでいう非居住者に該当するのは、原則として住所(法人の場合は本店)が日本国内にない場合です。そのため外国人に限らず、日本人でも海外在住であれば非居住者と判断されます。
例外的に報告が不要の場合
なお、非居住者による日本不動産の取得であっても、下記のような場合は、例外的に報告は不要となります。
- 非居住者本人・親族・使用人の居住目的で取得した場合
- 非営利目的事業の業務用に取得した場合
- 非居住者本人の事務所用として取得した場合
- 他の非居住者から取得した場合
例えば、投資目的で非居住者が不動産を購入した場合は、原則通り事後報告が必要となり、報告の省略はできません。
海外在住の場合に問題になりうるケース
海外の銀行からの送金を日本の銀行の口座で受領する場合、又は日本から海外の銀行の口座への送金につきましては、外為法第55条の規定により、送金額が3000万円相当額を超える場合に事後報告していただく必要があります。
より詳細な当該報告については、日本銀行のホームページに報告様式及び記載要領が掲載されておりますのでそちらをご覧ください。
まとめ
少子高齢化により日本の人口は今後減少していきます。
それに伴い手付かずのまま物件が放置される『空き家増加問題』、『住宅過供給問題』がより深刻化していくことが予想されます。この問題に対しては、国や地方自治体のレベルで、問題解決のためにさまざまな取り組みが進められています。
民間では空き家コンサルタントというサービスも存在し、日本人はもちろんですが、外国人からも購入について問い合わせを受けています。
年々外国人からの問い合わせ件数は増えており、現在は約5倍の問い合わせがあるそうです。日本の建築に関しては、外国人の目・国際的な視点を通して見たとき、日本固有のユニークさや価値があります。
今後ソリューションとしての外国人の購入を増やしていくことで『空き家増加問題』、『住宅過供給問題』が解消されることが期待されます。
この記事の監修者
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