「同性婚」と聞いてどのような印象をもたれますか?多様性が求められる現代において、同性愛者のカップルは社会的にも受け入れられつつある現代。「同性婚」を認める国も増えてきました。
そんな中で注目されているのが「同性婚における相続の問題」。愛する人に財産を残したいと思うのは性別関係なく自然なことでしょう。
しかし、現行法下での同性カップルの相続権は限定的であり、様々な問題が顕在化しています。「Marriage For All Japan」(以下:マリフォー)が提案した民法改正案が成立すれば、同性カップルの相続権が格段に向上する可能性がある一方で、それまでの間、遺言書を用いた財産継承の方法が重要となります。
本記事では、遺言書作成時の注意点や特別縁故者制度の活用、養子縁組のメリット・デメリットについても詳しく解説しています。
目次
「Marriage For All Japan」が民法改正案を公表
(以下:マリフォー)
マリフォーが3月15日に同性カップルも利用できる婚姻制度を明記した「民法改正案」を公表しました。内容を簡単に解説していきます。
同性カップルも婚姻可能に
マリフォーが提案した民法改正案(マリフォー法案)により、同性カップルも結婚が可能となる見込みです。これにより、同性カップルの権利が大幅に拡大されることが期待されます。
夫婦を「婚姻の当事者」に置き換え
改正案では、「夫婦」の定義が「婚姻の当事者」という表現に変更され、性別に関係なく結婚が認められるようになります。これにより、多様な家族形態が認められるようになります。
民法739条も改正
さらに、民法739条の改正も提案されており、同性カップルも夫婦同様の相続権を持つことができるようになる見通しです。
同性婚の現状と課題
同性婚は、近年、世界的に注目されているトピックの一つです。多くの国では同性婚が認められており、同性カップルが同じ権利を有することが期待されています。しかし、まだ多くの国では同性婚が認められていないところもあります。
34カ国・地域で同性婚制度あり
現在、34カ国・地域で同性婚が認められています。これは、同性カップルが異性カップルと同じ権利を有することが期待されていることを示しています。同性婚が認められた国・地域では、同性カップルは結婚することができます。
彼らは、結婚後に社会保障や税制上の利益を受けることができます。また、同性婚制度の導入により、同性カップルに対する差別や偏見も減少することが期待されています。
同性婚に対する課題
しかし、まだ多くの国では同性婚が認められていないところも多くあります。同性婚に対する課題が多くあることが影響しているでしょう。主に、社会的な認識のなさ、法的枠組み、宗教的な見解などが課題となっていると考えられます。
社会的認識
同性婚に対する課題としては、まず社会的な認識のなさが挙げられます。同性婚に対する反対意見が強いところもあり、同性カップルが公認されることによって、彼らが直面する差別や偏見が減るとは限りません。
法的枠組み
法的枠組みも課題となっています。同性婚が認められていない国では、同性カップルに対する権利が保証されていないこともあります。たとえば、同性カップルは結婚後に社会保障や税制上の利益を受けられない場合があります。
宗教的見解
宗教的な見解も同性婚に対する障壁となっています。宗教的な信念に基づいて、同性婚が不適切だと考える人々もいます。このような宗教的な見解は、同性婚が認められない国・地域でも影響を及ぼします。
宗教的な団体や団体代表者は、同性婚が認められることに反対する立場を取ることがあります。このような反対意見は、同性婚に対する社会的な不安感や偏見を引き起こすこともあります。
同性カップルに広まるパートナーシップ制度
パートナーシップ制度は実質的な婚姻関係を証明する制度
パートナーシップ制度は、実質的な婚姻関係を証明する制度です。この制度は、同性カップルや異性カップルが長期的なパートナーシップを結ぶことができることを認め、それに対する権利を保証するものです。2015年から渋谷区で始まり、2021年には100自治体が採用するなど、急速に広まっています。
パートナーシップ制度を利用しても相続人にはなれない
パートナーシップ制度の広まりで同性愛者は社会的配慮を受けられるようになりました。しかし、パートナーシップ制度の導入により実質的に婚姻関係を証明できるようになったとはいえ、同性カップルのパートナーは相続人にはなれず、相続権が認められないのが現状です。
では同性パートナーへの相続について、具体的にどのような問題があるのでしょうか。
同性パートナーの相続問題
相続人には法律で定められた親族が優先的に相続する
相続人には法律で定められた親族が優先的に相続する現行法では、同性パートナーは相続人になれず、法定相続人である親族が優先的に財産を相続します。これにより、同性パートナーが遺された場合、相続権を行使できない問題が生じています。
パートナーシップ制度でパートナーとなった人は特別寄与料を請求できない
パートナーシップ制度でパートナーとなった人は、相続人ではないため、特別寄与料を請求する権利もありません。これにより、遺産分割の際に不利益を被ることがあります。
同性パートナーに相続人がいない場合、特別縁故者制度を利用可能
同性パートナーに相続人がいない場合、特別縁故者制度を利用して相続権を主張することが可能です。ただし、これには証拠や手続きが必要であり、保証されるわけではありません。
同性パートナーに財産を残す方法と課題
遺言書の作成
同性パートナーに財産を継承させるためには、遺言書を作成することが有効です。遺言書により、同性パートナーに遺産を残すことが可能になります。ただし、遺言書による遺産の分配には遺留分制度が適用されるため、遺留分を侵害しないように注意が必要です。遺留分侵害があると、遺言が無効となる場合があります。
死因贈与
2つ目の方法は死因贈与をする方法です。死因贈与とは死亡を条件に贈与を行う契約です。遺言書と違って契約となるため、双方の合意が必要となります。口頭でも契約が行えますが、トラブルの元になるため死因贈与契約書を作成することが望ましいでしょう。
養子縁組を利用する
3つ目は養子縁組を利用する方法です。養子縁組を行うことで、法的な親子関係を築き、相続権を持たせることも可能です。ただし、養子縁組を行うと、パートナーシップ制度を利用できなくなる可能性があるので注意が必要です。
まとめ
「Marriage For All Japan」(マリフォー)は、同性カップルも利用できる婚姻制度を明記した「民法改正案」を提案しました。この改正案では、「夫婦」を「婚姻の当事者」に、「父母」を「親」と単語を置き換えるだけで、同性カップルも結婚できるようになります。
現在、世界には34カ所で同性婚が認められています。日本では、女性の8割以上、未婚男性も7割以上が同性婚を容認するという調査結果があります。しかし、日本はLGBTの文化がまだまだ浸透しておらず、同性だからという理由で生涯を共にすることのできない人がいるのも事実です。この法律が現実に対応し、一日も早く同性カップルにも結婚の自由と平等が実現されるのではないかと思いました。
この記事の監修者
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