【相続NEWS】火葬場が海外資本となる影響について

東京23区内の火葬場が中国資本傘下に独占されるニュースが入ってきました。今回はその記事についての詳細と感想について記載いたします。

1.ニュース記事の存在と感想

東京都心の火葬場

東京二十三区の火葬場は9ヶ所ありますが、そのうちの7ヶ所は民営です。民営火葬場の6ヶ所までもが、外国資本の企業に買収されています。こちらの記事にもなっています。

住民の多い東京の火葬場の過半数が外国資本になっているということは都民以外の人も無関係ではいられないはずです。東京は元々は地方出身であった人が上京してくる地でもあります。読者のみなさまご自身、あるいはお知り合いの人がそうだという方はたくさんいらっしゃると思います。

つまり、東京以外に住む人も東京に親戚、知人はいて当たり前になります。必然的に東京以外に在住している人も東京での葬儀に参加することもあるでしょう。また、火葬場が買収されたのみならず、外国資本の葬儀会社も営業するようになりました。以前は火葬場と葬儀会社の経営は別れていましたが、同一資本でのこの二種類の業種の会社とは良いことでしょうか。

懸念すること

コロナ禍や高齢化で葬儀も縮小傾向とはいえ、現代社会では東京に住む人が葬儀を家庭で行うことは難しいでしょう。これからも葬儀が完全になくなるとは思えませんし、故人の交友が広い場合は葬儀をしなかったり密葬のみにするとかえって遺族の負担が増すことも珍しくありません。つまり葬儀場は必要な設備です。葬儀という地元の文化と切り離せないことを外国資本の企業が席巻してしまうということはいかがでしょうか。

2.火葬場とは? 民間任せの是非

基本的にいつかは必要になる

火葬場には人間だれしもお世話になります。現代の日本では、亡くなった方は荼毘にふされてから埋葬されるのが通常です。お骨となって、墓地や納骨堂に埋葬されます。狭い国土や高温多湿の気候を考えると火葬は衛生面でも最も合理的でしょう。故人の尊厳と遺された人の安全を守るために必要です。もちろん、専用の施設でなければ事実上行えない事柄です。特に人口密集地ではそうなります。

また、火葬場は葬儀場としての機能もあります。つまり、家族や友人を見送る場でもあります。必然的に公共性のある存在です。火葬場が併設されていない葬儀場もありますが、一ヶ所で行える施設は利便性は高いです。

葬儀というものは尽きるところ遺された生きている人たちのために行うものでもあります。火葬されて骨になった状態をみてはじめて故人の死を受け入れられるというのも当たり前の話ではあります。儀をして他の遺された人たちと故人について語り合い、忘れないようにする機会でもあります。死が遠い存在となった現代人に当然のことを気づかせる場でもあります。

どんな人も必要になる

民営の火葬場の存在そのものはもちろん悪いことではありません。しかし、荼毘にふされる本人やその遺族はお金がある人ばかりではもちろんないです。また、身寄りも財産もない故人もいます。サービスが行き届いていて、それに見合う料金がかかる設備も悪くはありませんが、安価で必要最低限なものは絶対必要です。民営になった場合、利用料が高騰する可能性も出てきます。

火葬場は場所の制約などもありますし、簡単に作れるものではありません。料金が上がった場合でも嫌なら利用しないということはできません。水道事業の民営化などを鑑みれば、結果的に大きな問題が生じることも充分に予想できます。何事も利潤追求のためばかりではうまくいきません。

尊厳を保って故人を見送ることはどんな人にでもできるようにする必要があります。火葬ができない事態になったりしたら、生きている人にも影響が生じます。

3.川崎、横浜の火葬場と相場費用 

火葬場は川崎市に二ヶ所、横浜市に五ヶ所あります。横浜市には一ヶ所民営の火葬場がありますが、それ以外は公営です。所在地、相場費用を下記にあげました。

川崎市市営火葬場

施設名 所在地
かわさき北部斎苑 高津区下作延6丁目18番1号
かわさき南部斎 川崎市川崎区夜光3-2-7

川崎市営火葬場の火葬料金

区分 川崎市民料金 川崎市民以外料金
12歳以上 6,750円 60,000円
12歳未満 4,500円 30,000円
死産児 2,250円 15,000円

横浜市の市営斎場一覧

施設名 所在地
久保山斎場 西区元久保町3番1号
戸塚斎場 戸塚区鳥が丘10番地の5
南部斎場 金沢区みず木町1番地
北部斎場 緑区長津田町5125番地

横浜市営火葬場の火葬料金一覧

区分 横浜市内 他市町村(市外)
10歳以上 12,000円 50,000円
10歳未満 8,000円 34,000円
死胎児 2,400円 10,000円
人体の一部 2,400円 10,000円

横浜市の補助費

項目 金額
10歳以上 16,000円
7歳以上10歳未満 20,000円
7歳未満 16,000円
死胎児 5,600円

横浜市の民営火葬場

西寺尾火葬場 神奈川区松見町2丁目418

西寺尾火葬場の火葬料金

項目 最上等 特別最上等
7歳以上 56,000円 85,000円
7歳未満 38,000円 70,000円

 

公営の火葬場も市の住民以外も利用できます。川崎、横浜では民営の火葬場を含めて火葬の費用に関しては最大でも10万円未満なわけです。市営の火葬場は住民の利用であるならば、ほぼ1万円前後となります。私たちは調べてみて市民としての利用ならば思っていたより安いと思いました。また、民営の火葬場も市からの補助費もあります。

これが高額かどうかは別として、やはりというか民営の火葬場のほうが料金設定は高くなっていました。東京近郊で既に存在している火葬場でこうなっているのが現実です。川崎は公営のみ、横浜も公営のほうが圧倒的に多いためにこの金額であるのでしょう。東京から日帰りができる地方都市では現在このような状況になっています。

住民であれば、さほどではない金額で利用できますし、住民ではない人もそれよりは高くなりますが、場合によっては利用を考えてもいいのではないでしょうか。

4.まとめ

高齢社会となった現代は火葬場の順番待ちが問題になることさえあります。普段は考えることが少ない場ですが、なくてはならない存在です。いざ火葬場について調べる時は家族を亡くした極限状態の時が多いでしょう。

さらに選ぶことにあまり時間をかけられるわけでもありません。市営の火葬場であれば、川崎、横浜においてはですが、同一の市では同じ料金です。近さなどの利便性だけを気にしても構わないことになります。民営となったら、複数箇所あるから競争すると、必ずしもうまくはいかないと思われます。横並びに料金を釣り上げると言ったこともできてしまいます。

また、火葬場と葬儀場が同じ母体によって経営されるのは良いことばかりではないでしょう。悲しみに暮れた遺族が火葬や葬儀の準備をするときに熟考や冷静さを要求するのはむりなことです。葬儀について支払ったお金が海外資本の企業に流入することも考えていかなくてはならないのではないでしょうか。葬儀の習慣は同じ日本でさえ地域によって異なります。

外部から見たからこそ改善できるということは何事にもありますが、葬儀にまでそれを求める必要は果たしてあるのでしょうか。葬儀は遺族が知らなかった故人に縁がある人や故人の一ファンさえ参加することもある儀式です。誰もが見送られる立場となり、また、人生で数々の人を見送ります。これからも火葬場が誰でも無理なく利用できる、葬儀を開き希望する人は誰でも参加ができる場所であり続けることができるかどうかは、一人一人にかかってくることです。

この記事の監修者

あいりん行政書士法人   伊藤 慎

葬儀会社出身。

葬儀会社と士業の架け橋となるためあいりん行政書士法人に入社。葬儀会社時代を経験を活かして相続人様目線に立った、寄り添った相続サポートをいたします。

 

 

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