マンション相続の完全ガイド|名義変更・税金・評価の手順を解説

マンション相続

この記事を要約すると

  • マンション相続は「専有部分+敷地権」をまとめて引き継ぎ、5ステップで進める
  • 相続税評価や登録免許税は特例・計算方法を知れば負担を抑えられる
  • 名義変更(相続登記)は3年以内が義務!怠ると10万円以下の過料の対象になる

「親のマンションを相続することになったけど、名義変更ってどうやるの?」
「マンションだと相続税や費用はいくらかかるんだろう……」

親御さんが所有していたマンションを相続するとき、一戸建てとは違う独特の仕組みや、税金・登記の手続きに戸惑う方は少なくありません。

マンションの相続では、評価額の確認・遺産分割・相続税・名義変更(相続登記)といった複数の手続きを、決められた期限内に進める必要があります。
放置すると管理費の負担や過料のリスクにもつながります。

この記事では、マンション相続の全体像から、評価・税金・名義変更の具体的な手順までを、相続実務の専門家がわかりやすく解説します。

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この記事はこんな方におすすめ

  • 親のマンションを相続することになり、何から手をつければよいか分からない方
  • マンション相続にかかる税金や名義変更の費用を事前に知っておきたい方
  • 相続したマンションの名義変更(相続登記)の手順を具体的に把握したい方

マンション相続でまず押さえる基礎と全体の流れ

マンションの相続は、一戸建てとは異なる独特の権利構造を持っています。まずはその仕組みと、相続開始から名義変更までの流れ全体をつかんでおきましょう。

国税庁の統計によると、相続財産の金額に占める不動産(土地・家屋)の割合は3割以上を占めており、マンションを含む不動産の相続は多くのご家庭で発生しています。
それだけ身近な手続きだからこそ、正しい知識が欠かせません。

出典:相続税の申告事績の概要 – 国税庁

このセクションでは、マンション相続の基礎知識と、放置した場合に生じる負担について解説します。
全体像を理解すれば、次に何をすべきかが見えてきます。

マンション相続は「専有部分+敷地権」をまとめて引き継ぐ

マンションを相続するときにまず知っておきたいのが、専有部分(お部屋)と敷地権(土地の持分)をセットで引き継ぐという点です。
一戸建ては「土地」と「建物」がそれぞれ独立していますが、分譲マンションの多くは、建物の一室と土地の共有持分が一体化した「敷地権※」という形になっています。

そのため、名義変更や評価の際も、専有部分と敷地権をまとめて一つの不動産として扱うのが原則です。土地と建物を別々に手続きする必要は基本的にありません。
「マンションだから土地は関係ない」と思われがちですが、実際には土地の持分も相続財産に含まれる点を押さえておきましょう。

【用語解説】
※敷地権:マンションの専有部分と一体化した、土地に対する権利(共有持分)のこと。専有部分と切り離して処分できない。

相続開始から名義変更までの5ステップの流れ

マンション相続は、次の5ステップで進めていきます。全体の流れを最初に把握しておくと、手続きがスムーズになります。

マンション相続の5ステップ

ステップ 内容
①相続人の確定 遺言書の有無を確認し、戸籍で相続人を確定する
②評価額の確認 マンションの相続税評価額・固定資産税評価額を調べる
③遺産分割協議 誰がマンションを相続するかを話し合いで決める
④名義変更(相続登記) 法務局へ相続登記を申請し、名義を変更する
⑤相続税の申告・納付 必要な場合、10ヶ月以内に相続税を申告・納付する

特に④の名義変更(相続登記)⑤の相続税には期限があります。まずは相続人と財産を確定させ、順を追って進めることが大切です。

放置は厳禁!管理費・修繕積立金は相続人が払い続ける

マンション相続で見落としがちなのが、毎月の管理費・修繕積立金の負担が相続人に引き継がれることです。

被相続人※が亡くなったあとも、マンションを所有している限り管理費や修繕積立金は発生し続けます。
名義変更をせずに放置していても、この支払い義務がなくなるわけではありません。

滞納が続くと、遅延損害金が上乗せされたり、最悪の場合は管理組合から財産の差押えを受ける恐れもあります。
「相続しただけで毎月お金が出ていくなんて」と不安になりますよね。空室のまま放置しても費用だけがかさむため、早めの対応が欠かせません。

相続すると決めたら、管理費の引き落とし口座の変更なども含めて、速やかに手続きを進めましょう。

【用語解説】
※被相続人:亡くなった方のこと。相続される財産・債務のもとの持ち主を指す。
司法書士からのアドバイス
マンション相続は「持っているだけで費用が発生する」点が一戸建てと大きく違います。
管理費・修繕積立金の滞納は思わぬトラブルにつながるため、相続すると決めたら早めに名義や口座の手続きを進めましょう。

FAQ

Q. マンションを相続すると、土地も相続することになるのですか?
A. はい。分譲マンションの多くは専有部分と敷地権(土地の持分)が一体化しているため、土地の共有持分も一緒に相続します。

Q. 名義変更をしないでいると管理費はどうなりますか?
A. 名義変更をしなくても、相続人が管理費・修繕積立金を負担する義務は残ります。
滞納すると差押えのリスクもあるため注意が必要です。

Q. マンション相続は何から始める?
A. まず遺言書の有無を確認し、戸籍で相続人を確定させることから始めます。

 

マンションの相続税評価と名義変更にかかる費用

マンションを相続すると、相続税や名義変更の費用がどれくらいかかるのか気になる方は多いはずです。評価額の計算方法と、使える特例を知ることで負担を大きく抑えられます。
このセクションでは、マンションの相続税評価額の考え方と、名義変更にかかる費用について解説します。

マンションの評価額は「土地+建物」で計算する

マンションの相続税評価額は、専有部分(建物)と敷地権(土地)を別々に評価し、合算して求めます。
具体的には、建物部分は「固定資産税評価額」をそのまま使い、土地部分は「路線価×敷地全体の面積×自分の持分割合」で計算するのが基本です。

固定資産税評価額は、毎年届く固定資産税の課税明細書や、役所で取得できる固定資産評価証明書で確認できます。

なお、2024年からはタワーマンションなど一部の区分所有マンションについて、評価額の計算方法が見直されています。
高層階の物件を相続する場合は、評価が変わる可能性がある点に注意しましょう。

参考:相続税・贈与税の情報 – 国税庁

小規模宅地等の特例で評価額が最大80%下がる

マンション相続で必ず知っておきたいのが、小規模宅地等の特例です。この特例を使えば、土地部分(敷地権)の評価額を最大80%減額できます。
被相続人が住んでいたマンションを、配偶者や同居していた親族が相続する場合などに適用できます。

マンションは敷地の持分が対象となり、330㎡までの部分が80%減額されます。

たとえば敷地権の評価額が2,000万円だった場合、特例が使えれば400万円まで下がる計算になり、相続税を大きく軽減できます。
ただし、この特例を受けるには相続税の申告が必要で、細かな適用要件もあります。使えるかどうか迷ったら、税理士や専門家に確認しましょう。

参考:租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等の特例)- e-Gov法令検索

名義変更の登録免許税は固定資産税評価額×0.4%

マンションの名義変更(相続登記)には、登録免許税※という税金がかかります。相続による登記の税額は、固定資産税評価額×0.4%で計算します。

たとえば、専有部分と敷地権を合わせた固定資産税評価額が1,500万円のマンションなら、登録免許税は6万円(1,500万円×0.4%)となります。

このほか、司法書士に登記を依頼する場合は、報酬として6万〜10万円程度が別途かかるのが一般的です。戸籍謄本などの取得費用も数千円程度見込んでおきましょう。

費用の全体像を早めに把握しておくと、資金の準備もしやすくなります。

【用語解説】
※登録免許税:不動産の登記をする際に国へ納める税金。相続による名義変更では固定資産税評価額の0.4%。
司法書士からのアドバイス
マンション相続の税金は「知っているかどうか」で負担が大きく変わります。
特に小規模宅地等の特例は適用要件が細かいため、相続税がかかりそうな場合は早めに専門家へご相談ください。

FAQ

Q. マンションの相続税評価額はどこで確認できますか?
A. 建物部分は固定資産税の課税明細書や固定資産評価証明書で、土地部分は国税庁の路線価図を使って計算します。

Q. 小規模宅地等の特例はマンションでも使えますか?
A. はい。被相続人が居住していたマンションを配偶者や同居親族が相続する場合など、要件を満たせば敷地権部分に適用できます。

Q. マンションの名義変更の費用は?
A. 登録免許税が評価額の0.4%、司法書士報酬が6万〜10万円程度が目安です。

 

 

 

マンションの名義変更(相続登記)を進める手順

マンションを相続したら、名義を被相続人から相続人へ変更する「相続登記」が必要です。
2024年からは相続登記が義務化されたため、確実に手続きを進めましょう。

このセクションでは、遺産分割協議から必要書類期限までの実務的な手順を解説します。

遺産分割協議でマンションの取得者を1人に決める

遺言書がない場合、まずは遺産分割協議※でマンションを誰が相続するかを決めることから始めます。

マンションの名義の決め方(単独名義・共有名義)

分け方 メリット デメリット
単独名義 ・1人で売却や賃貸を決められる ・権利関係がシンプル ・ほかの相続人との調整が必要
共有名義 ・その場では公平に分けやすい ・売却に全員の同意が必要 ・次の相続で権利者が増える

マンションを相続人全員の共有名義にすることもできますが、共有はおすすめできません。

将来売却するときに全員の同意が必要になり、次の相続でさらに権利者が増えるなど、トラブルの原因になりやすいためです。
あなたのご家族では、マンションを誰が引き継ぐか、すでに話し合えているでしょうか。

そのため、マンションは1人が単独で相続するように決めるのが基本です。ほかの相続人には、預貯金など別の財産で調整する方法(代償分割)もあります。
話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が実印を押印します。

【用語解説】
※遺産分割協議:相続人全員で、誰がどの財産を相続するかを話し合って決める手続きのこと。

参考:民法第907条(遺産の分割の協議又は審判等)- e-Gov法令検索

相続登記に必要な書類7点とそろえ方

マンションの相続登記(遺産分割協議で相続する場合)には、次の7点の書類が必要です。

マンションの相続登記に必要な書類7点

書類 取得先
①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 本籍地の市区町村役場
②被相続人の住民票の除票 最後の住所地の市区町村役場
③相続人全員の戸籍謄本 各相続人の本籍地の市区町村役場
④マンションを取得する相続人の住民票 住所地の市区町村役場
⑤相続人全員の印鑑証明書 住所地の市区町村役場
⑥遺産分割協議書 相続人が作成(実印を押印)
⑦固定資産評価証明書 物件所在地の市区町村役場

これらに加えて、法務局へ提出する登記申請書を作成します。戸籍の収集には手間がかかるため、法定相続情報証明制度を使うと書類を効率よくまとめられます。

参考:法定相続情報証明制度 – 法務省

3年以内の登記は義務!怠ると10万円以下の過料

2024年4月から相続登記が義務化され、マンションの名義変更にも期限が設けられました。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(不動産登記法76条の2)。

「まだ売る予定もないから」と放置していると、過料のリスクに加え、いざ売却や賃貸をしようとしたときに手続きが進められない事態にもなりかねません。

なお、マンションの名義変更登記の具体的な流れについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

参考:相続登記の申請義務化 – 法務省

司法書士からのアドバイス
マンションの相続登記は「3年以内」が義務です。
書類集めや協議に時間がかかることも多いため、早めに動くことが安心につながります。手続きに不安があれば、私たち専門家にお任せください。

FAQ

Q. マンションを兄弟の共有名義で相続してもよいですか?
A. 可能ですが、売却時に全員の同意が必要になるなどトラブルの原因になりやすいため、1人の単独名義にすることをおすすめします。

Q. 相続登記をしないと、どんな不都合がありますか?
A. 10万円以下の過料の対象になるほか、マンションの売却や担保設定ができず、次の相続で手続きがさらに複雑になります。

Q. マンションの名義変更はいつまで?
A. 相続を知った日から3年以内が義務です。早めの申請をおすすめします。

 

 

まとめ:マンション相続は評価・費用・名義変更を早めに整理しよう

マンションの相続は、専有部分と敷地権をまとめて引き継ぎ、評価・遺産分割・相続税・名義変更という手続きを順に進めていきます。

特に、名義変更(相続登記)は2024年から3年以内の義務となり、怠ると10万円以下の過料の対象になります。また、管理費や修繕積立金の負担も相続人へ引き継がれるため、放置は禁物です。

一方で、小規模宅地等の特例など、知っておくことで負担を大きく減らせる制度もあります。
「何から手をつければよいか分からない」という方は、自己判断で進めず、まずは専門家にご相談ください。

あいりん司法書士事務所では、マンション相続の評価から名義変更まで、あなたの状況に合わせてワンストップでサポートいたします。まずはお気軽にお声がけください。

【相談無料】マンション相続の名義変更や手続きについて、専門家に相談してみる

 

この記事の監修者

あいりん司法書士行政書士事務所 梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん司法書士事務所を経営。相続専門7期目として相続業務を幅広く対応。

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司法書士・行政書士 梅澤徹

この記事の監修者

司法書士・行政書士 梅澤 徹(うめざわ とおる)

あいりん司法書士事務所 代表。神奈川県司法書士会(第2259号)・神奈川県行政書士会(第15090451号)所属。相続手続き3,000件超をサポート。プロフィールを見る 無料相談のご案内

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