両親が亡くなった時に、多々発生する問題の1つに遺産相続があります。
相続されるものが家財などの場合は難しくはないのですが、財産に不動産が含まれていることも珍しくありません。突然相続することになる不動産ですが、不動産には多くのリスクが潜んでいるのです。
不審者の不法侵入、放火、そして固定資産税の負担。通常不動産の管理には責任が伴い、管理の負担や保険料、税金などの費用が発生します。
こうなると売却をお考えの方も多いのではないでしょうか?しかし、いざ不動産を売却するとなると「まず何をすればいいのか」「誰に相談すればいいのか」わからないのではないでしょうか?
そういう時にこそ頼っていただきたい存在が、私たち司法書士です。司法書士は相続手続きのみならず、不動産の売却手続き代理も専門としております。
「難しいことはわからないので、相続不動産売却までを丸投げしたい……」というお客様からのご要望にも、お答えすることが可能です。
相続不動産を売却しようとすれば、よくわからないでは済まされない税務上の問題も沢山あります。是非最後まで目を通して、将来の不動産の売却に役立ててください。
目次
なぜ、司法書士が相続不動産の売却を引き受けられるのか?
なぜ司法書士が相続不動産の売却を引き受けるのに適しているのでしょうか?
それは不動産の売買には法務局への登記申請が必要となっているため、専門知識なしに取り扱うことが出来ないからです。
司法書士は「登記のスペシャリスト」と呼ばれるほど、登記の手続きに精通しています。単に手続きを進めるだけではなく、依頼者から法律に関する相談を受けることも多いのが特徴です。
登記手続きには大きく分類して不動産と商業(法人)の2つが存在し、家や土地などを購入や相続した際は、不動産登記によって権利を示します。
また、司法書士法施行規則第5章 司法書士法人(司法書士法人の業務の範囲)にて、次のように記されています。
「司法書士法人第31条第1項。当事者その他の関係人の依頼、または官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理もしくは処分を行う業務、またはこれらの業務を行う者を代理し、補助する業務」
この規定にあるように、司法書士は依頼者が相続した不動産の売却手続き、および処分を業務として行うことが法律上認められています。
また司法書士は法律の専門家のみならず、不動産取引に関わる機会が業務上多いことも特徴です。法律上、他者からの依頼を受けて、相続した不動産の売却手続きを業務としてお任せいただく事も多くあります。
これらの業務をお任せいただけるのは、司法書士と弁護士だけです。誰であっても対応が許されるというわけではありません。
その他、司法書士と同様に不動産売却の代理業務ができる存在として、弁護士も候補に挙げられる方もおられますが、司法書士と比較して、不動産取引に多く関わる弁護士は少ないです。
司法書士は不動産取引の知識にも明るいため、不動産売却の代理人として適任と言えるでしょう。
不動産売却代理を司法書士に丸投げするメリット
不動産売却代理を司法書士に全てお任せいただけるメリットは、主に3つほど挙げられます。
相続手続きから不動産売却までの流れを一括代行できる
通常であれば相続手続きと不動産売却では相談先が変わるため、相続の手続き後にご自身で不動産会社に連絡を取り、新たに1から売却の打ち合わせをする必要があります。
不動産売却代理を司法書士に丸投げする場合は、相続手続きから不動産会社の選定、売却までの手続きを一括代行で進める事が可能です。
平日休みが取れない人でも安心してお任せできる
ご自身で相続手続きから不動産の売却をするならば、役所で戸籍謄本や住民票の取得が必要となってきます。役所の窓口は平日の昼間しか空いていませんので、休日しか休みが取れない場合は大変な手間となるでしょう。
しかし印鑑証明書や実印さえあれば、後は面倒な手続きを司法書士に一任することが出来るのです。
速やかな現金化が可能
不動産売却代理を司法書士にお任せいただけると、不動産売却までを素早くサポート出来ます。多くの司法書士事務所は不動産会社と提携していることが多いため、スムーズに不動産の売却代行手続きを進行できます。
納税資金が不足していて相続税をすぐに払わないといけないなど、現金をすぐに必要とされてる方にとっては大変便利な点だと言えるでしょう。
通常相続した不動産を売却するには、登記申請用の書類集めから始まり実に多くの複雑な手続きが必要になってきます。また相続した不動産の売却には不動産の査定や買い主探しをしてくれる業者が必要となってきます。
そのような業者を全てご自身で調べ、1件ずつ時間を割いて依頼する必要があるのです。
司法書士ならば登記や相続からはじまり、信頼と実績のある不動産会社をご紹介し、不動産の査定および買い主探しまでトータルでサポートが可能です。
相続した不動産売却はなぜ大変なのか?
ここでは、相続した不動産を売却することがどのように大変なのかについて、解説させていただきます。
①相続不動産は、状況の把握が困難
戸館やアパートなどの不動産を売却を考えるきっかけは、人によって様々です。「遺産相続」の発生で、実家の売却を検討するケースもよくあります。
ですが相続不動産の売却は、普通の不動産売却とは異なります。家の傷み具合や故障の確認、権利書や売買契約書の捜索など、不動産の状況を把握する段階から始める必要があります。
また自分一人が当事者となる通常の不動産売却とは違い、複数の相続人がいる場合は、全員が当事者となるので、他の相続人にも売却の意志があるのか確認する必要があります。
②高額な譲渡所得税の課税や、贈与税が発生するリスクも
代表相続人が相続不動産を売却した後、売却代金を相続人全員で分ける場合には、「換価分割」という文言も遺産分割協議書に記載しておく必要があります。
この「換価分割」とは、相続した遺産を売却して現金化し、得た現金を相続人全員に分配する方法です。
遺産分割協議書にこの換価分割の文言が入ってない状態で、相続不動産の売却代金を相続全員に分割した場合、税務上では「贈与」の扱いとなり、売却代金を受け取った側に、多額の「贈与税」が発生してしまうことがあるので、遺産分割の段階から十分に気を付けておきましょう。
③相続と不動産売却は、同時に解決をするのがベスト
相続不動産売却の方針を決定するには、不動産、税務、法律の全般的な知識が必要になってきます。相続や不動産売買に慣れてない方では、戸惑ってしまうでしょう。
相続不動産を売却するならば、安易に相続と不動産売却は別個の問題として考えず、同時進行で解決していくようにしましょう。なるべくなら、相続や不動産の分野に詳しい専門家に相談して進めるのがよいと思われます。
相続した不動産を売却する際にかかる税金とは(所得税、消費税)
相続した不動産の売却を考えられている方は、売却した際税金が高くなりすぎないかという不安もあるかと思います。ここでは、相続不動産の売却時の主な税金の種類と内容について、解説していきます。
登録免許税
登録免許税とは、主に法務局で登記申請を行う時に発生する税金です。不動産を相続した場合「相続登記」を行って、亡くなった人の名義から引き継いだ人の名義に変更します。
この時、不動産の売却をする場合は1000分の20の登録免許税が発生します。売却により所有権移転登記を行う場合の登録免許税は買い主側の負担となります。ここを理解していないと買い主側とのトラブルを引き起こすことも考えられます。
印紙税
印紙税とは契約書や証書などを作成する際に課税される税金です。この印紙税は不動産の売買契約書を交わす際にも発生する税金で、収入印紙を貼って印紙税を納める必要があります。
印紙税の金額は、記載された契約金額に応じて段階的に高くなっていきます。
消費税
通常土地や居住用建物の売買時には、消費税は発生しません。しかし、不動産仲介会社に支払う仲介手数料には消費税が発生しますので、消費税を上乗せした金額を支払うことになります。
譲渡所得税および住民税
譲渡所得税とは、不動産売却によって売却益が発生した場合に課税される所得税・住民税のことです。
譲渡所得税が課税される場合には、確定申告を行い納税をする必要があります。譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間が5年を超えるかどうかで変わってきます。
ただし相続不動産の場合のみ、所有期間の計算は被相続人が不動産を取得した日からとなります。この譲渡所得税は上記で述べた税金とは異なり、売却のタイミング次第では節税することもできます。
しかし、相続不動産を売却する時は、司法書士や税理士を始めとした専門家に相談するのがいいでしょう。
まとめ
相続不動産の売却処分を検討される際、「司法書士に相続手続きを依頼してから不動産会社に依頼を……」と考える人は多いでしょう。
ですが相続手続きと不動産売却は窓口が異なるため、相談先が変わることで順調だった流れにラグが発生してしまいます。また不動産会社によって査定額、条件などが違いますので、信頼できる不動産会社を選ぶのにも時間が掛かります。
しかし不動産売却代理を司法書士に一任していただけると、不動産売却までを素早くサポート出来ます。
相続手続きを担当してくれた司法書士に、そのまま不動産売却処分の依頼をするか、また、相続手続きを行う際に「不動産の売却もできますか?」と相談しておくと、一括で手続きをしてくれます。
もちろん私たち事務所でも不動産売却のお手伝いを承っています。
不動産売買専門スタッフを始め、税理士、弁護士、ファイナンシャルプランナーなどの複数の専門家がチームで対応させていただきますので、相続不動産の売却についてご相談があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
ご相談はこちらから。
この記事の監修者
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