この記事を要約すると
- 死亡から7日以内に必要な書類は「死亡届」「火葬許可申請書」「火葬済証明書」、14日以内では年金や保険などの資格喪失について申請する必要がある。
- 遺産承継の手続きでは、2種類の戸籍謄本から相続人を確定させ、各自で相続手続きを行う。
- 保険や制度など故人の加入状況によって「葬祭費」「埋葬費」が支給される場合がある。
親や兄弟、親族の誰かが亡くなったらどうすれば良いのか分からない…そんなお悩みを抱えてはいませんか?
その方の死亡が確認された後、葬儀の手配を行い、役所に死亡届を提出しなければならないことは、何となく想像できるのではないかと思います。
亡くなられた悲しみを抱えながらお通夜や葬儀などの法要を済ませ、ひと段落ついたところで相続に関する各種手続きが本格的に始まります。相続手続きは誰かが死亡して行われる、馴染みのないものばかりです。
今回は、親が亡くなったときに行わなければならない手続きについて、何をいつまでにやるのか、どこに提出するのか等、具体的にわかりやすくご紹介していきます。
手続きを行わないことで損をする場合もありますので、いざという時に慌てないように、しっかりと予習しておきましょう。
目次
相続発生後、1週間(7日間)以内にやるべきこと
親が亡くなってから、1週間(7日間)以内にやるべきことが4つあります。
- 死亡届
- 火葬許可申請書を役所に提出
- 葬儀社へ連絡し、葬儀の手配
- 火葬済証明書の受け取り
それぞれのポイントについて説明していきます。
「死亡届」
ご遺体の死亡を確認した医師により「死亡診断書」が作成されます(死亡原因が事故などの場合は「死体検案書」という書類)。
その際に死亡診断書とセットになっている「死亡届」に必要事項を記入してから、役所へ提出します。死亡届が提出されることで、役所が死亡した事実を認識し、当人の戸籍に“死亡”と記載されるようになります。
ちなみに、「死亡診断書」に関しては、その後の各種手続きに必要になる場合があります。役所に死亡届とセットで提出してしまうと手元に残りませんので、事前に何枚かコピーをしておくことをお勧めします。
また、死亡届の届出人については、戸籍法第87条に規定されており、同居の親族、その他の同居者、家主というように順番が定められています。
「火葬許可申請書」「火葬済証明書」
葬儀後には、火葬して埋葬するのが一般的ですが、それには役所から発行してもらう「火葬許可申請書(火葬許可証)」が必要になります。そして、火葬した後で「火葬済証明書」を受け取ることになります。納骨の際に必要になる書類なので、無くさずに大切に保管しましょう。
この他に、親が会社勤めや個人事業主であった場合、それぞれ税務署に「死亡退職届」や「廃業届」を提出しなければなりません。
相続発生後、2週間(14日間)以内にやるべきこと
親が亡くなってから2週間(14日間)以内にやるべきことは、3つあります。
- 年金事務所にて年金受給の停止
- 健康保険や介護保険資格喪失届の提出
- 世帯主変更届の提出(亡くなった親が世帯主の場合)
年金受給の停止
「国民年金は14日以内」「厚生年金は10日以内」の期限が定められています。年金事務所への報告を怠って受給し続けていると “不正受給”とみなされてしまうので、速やかに手続きを行いましょう。
ただし、マイナンバーを生前に年金事務所に登録していれば、役所に「死亡届」を提出した時点で年金事務所への手続きが不要になります。ちなみに、公的年金に関しては、本人が死亡した月分まで受給できるので、未支給年金の請求手続きを5年以内に行うようにしましょう。
健康保険や介護保険資格喪失届の提出
保険に関連する事項は、手続きを行わないと保険料を支払い続けることになってしまう為、忘れないようにしましょう。手続き方法や書類の提出先に関しては、加入していた保険によって異なりますので注意が必要です。
また、亡くなった人の扶養者は、被保険者の死亡により扶養から外れてしまいます。そのため、新しく自分自身で加入しなければならず、改めて資格取得届を提出します。
世帯主変更届
世帯主が死亡した場合、新たにその世帯を代表する世帯主を届け出る必要があります。
葬儀が終わった後に真っ先にすべき相続手続きは?
特に明確な期限はなく、必要に応じて必要な手続きです。
- 公共料金の名義変更もしくは解約手続き
- クレジットカードの解約
- 死亡保険金の請求
- 住民税や固定資産税など請求先変更の手続き
- パスポート・運転免許証・マイナンバーカードなどの返却
人によっては通販の定期購入やサブスクリプション、インターネットサービスなどの解約手続きが必要になることがあります。いずれも解約をしないと、支払い続けることになってしまうので、なるべく早めに手続きを行いましょう。
解約手続きを行う際に、死亡した事実を証明できるように「死亡診断書」などのコピーが必要になる場合があります。公共料金などはお客様番号を控えておくとスムーズに契約状況について問い合わせすることができます。
利用料金の引き落としが故人の口座になっていると、支払いができない場合があるので、すみやかに引き落とし口座の変更を行うようにしましょう。
マイナンバーカードに関しては、相続手続きを行う際に必要になる場合がありますので、なるべく諸々の手続きが完了するまでは手元に保管しておくほうが良いかもしれません。
パスポート・運転免許証の返納は義務ではありませんが、身分証明書として悪用されてしまうリスクもあるため、なるべく早めに返納しておく方が安心です。
もしも、亡くなった方の思い出の品として保存しておきたい場合は、事前にその旨を伝えてみましょう。穴あけパンチで処理するなど無効手続き後に、返却に応じてくれることもあるようです。
遺産承継の手続きとは?
遺産承継の手続きでは、相続人ごとに相続手続きを行います。その際、相続税について申告や納付を必ず行いましょう。相続人の確定には、「個人の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の戸籍謄本」の2種類の戸籍謄本が必要になります。
もしも、相続内容に借金などのマイナス財産がある場合は、相続放棄や限定承認を3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てすることができます。限定承認が認められれば、マイナス財産を清算したうえで、残った財産を引き継ぐことができます。
遺産承継については、相続人同士でトラブルになるケースもあるため、専門家へ代理人業務を依頼することも方法の一つです。
代理人業務を依頼した場合の流れ
①相続人の確定
相続人になり得る親族の戸籍謄本を収集し、法律上の権利(法定相続分)について確定します。
②法定相続についての確認
改めて相続人全員から、“法律通りの遺産分割”で進めていくことに関して合意を得ます。
③全ての財産に関する調査
預貯金、金融資産、株など有価証券、不動産など相続できる財産についてすべて調べ上げ、目録にまとめます。
④遺産の全体像を相続人全員に通知
代理人業務を行う専門家は、あくまで公平中立な立場の人間です。そのため、相続する全員に不利益が生じないように、財産目録をすべての相続人に通知します。
⑤相続債務を差し引いた清算書を作成
もしも、相続人の中でこれまで個人の固定資産税や医療費などを立替ていた人がいた場合、それらを差し引いたうえで遺産分割を行います。そのため領収書や明細をまとめたうえで清算書を作成します。
葬儀費用などについては、法律上は相続責務ではないため、一般的には経費になりません。しかし、相続人全員が合意していれば、経費として参入することも可能です。
⑥清算書を確認後に配分
相続人全員が清算書を確認し、その内容に問題がなければ、遺産を相続人全員に配分します。これで代理人業務が完了となります。
相続でもらえるお金はあるか?
故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していれば、役所から葬祭費が支給されます。
また、故人が勤め先の健康保険に加入していれば、勤務先から埋葬費がもらえます。また、故人の医療費の自己負担額が超過していた場合、高額医療費の払い戻しについて役所に請求することができます。
他にも、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」など生前の故人の年金納付に応じて、いずれか(もしくは両方)の遺族年金が支給されます。遺族年金とは、生前の故人が生計を担っていた世帯に対して、家計の経済的負担を軽減するために支給される年金です。
支給の条件としては、①同居②遺族の前年の所得が655万5000円未満もしくは収入が850万円未満であることなどです。
さらに、遺族年金の受給対象外だった場合でも、「寡婦年金」「死亡一時金」など条件を満たせば給付金を受給できる可能性があります。
まとめ
大切な親が亡くなることを想像したくないあまり、死亡に必要な各手続きについての話題を避ける方は少なくありません。しかし、ある程度の話を生前から共有できていれば、いざという時に大変な思いをせずに済むのも事実です。
現代の社会では、オンライン上で完結していたり、サブスクなど無形のサービスに対する支払いもあるので、保険やクレジットカードなどの利用状況について最低限の情報は把握しておくと良いでしょう。
この記事の監修者
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