【司法書士が解説】相続放棄の申し立てが却下されてしまうケース

1.相続放棄の際に申述が却下されてしまうケース

相続放棄の際、家庭裁判所に申述が受理されるか不安だという方も多いのではないでしょうか?
基本的に受理できない何かしらの理由がない限りは、家庭裁判所へ申述した相続放棄手続きは受理すべきとされています。

ただ、実質的な要件を欠いていることが明白な場合には、その申述が却下される可能性があります。
具体的には以下のような場合です。(相続放棄の手続きについてはこちら)

⑴相続人が申述していない場合

相続放棄手続きの申立てでは、本人または弁護士・司法書士などが依頼を受けて法的な手続きをおこなうことになります。
もし他人がなりすまして相続放棄手続きをおこなった場合、本来であれば本人が相続すべき財産を本人の意思に反して一方的に放棄するようなことになります。

だからこそ、相続人本人が、本人の意思で本当に申し立てているのかどうかを確認することが重要なのです。
実際に、申立て後には家庭裁判所からも本人の意思に基づく申立てなのかどうか必ずチェックが入ります。

ちなみに、相続人が未成年者の場合、「未成年者は自分で相続放棄が出来ない」と法律で定められています。
そのため、法定相続人である親権者が代理人としておこないます。

※親子ともに相続人の場合の注意点「利益相反」※

【親が相続し、子が相続放棄をする場合】

この場合、子どもの不利益になる可能性があるため、親は代理人にはなれません。
仮に、相続財産に借金があって「子どもに借金を背負わせたくない」という理由であっても、親は子の相続放棄の代理人にはなれないのです。

法律はあくまでも形式的に判断をおこなうため、それが子どもの利益になることであってもできないのです。
これを法律上「利益相反」と表現するのですが、このような場合には「特別代理人」の選任審判申立てという制度を利用して子どものために代理人となってもらう人を選任することを家庭裁判所へ請求しなければいけません。

【親と子、どちらも相続放棄をする場合】

一方で、親も子もどちらも相続放棄する場合には、親が未成年者である子どもに代わって相続放棄の手続きをすることが可能です。
親が先に相続放棄の申し立てをおこなって、その後に親権者代理人として子どもの相続放棄の申し立てをおこなうという流れになります。

⑵相続放棄申述が熟慮期間を超えている場合

相続放棄の手続きは、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から3ヶ月以内に申し立てる必要があります。
具体的には、以下をご確認ください。

①相続開始の原因である事実を知ったとき

死亡の事実を知った日や先順位相続人全員が相続放棄したことを知った日がこれにあたります。

②自分が相続人になった事実を知ったとき

例えば、亡くなった方が自分の父親であるなど一定の身分関係があることを知った日、叔父叔母などが亡くなり配偶者や子どもがまったくいないことを知った日などが挙げられます。
「法律を知らなかった」というだけでは原則として理由にはなりません。

もし被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に相続放棄の申立てをしているのであれば、熟慮期間が問題になることはまずないと考えていいでしょう。

ただし、熟慮期間を過ぎて初めて被相続人の借金が発覚し、法定期間の3ヶ月経過後に申立てをしたような場合には、期限の例外を認めてもらうための一定の事情の説明が必要となります。

仮に特別な事情があり、裁判所で相続放棄が受理されたとしても、過去の判例上、内容に問題があれば債権者が相続放棄の効力を争ってくるというケースもあります。

⑶必要書類が不足している場合

当たり前のことなのですが、戸籍などの相続放棄申述に必要な書類が不足していれば申し立ては受理されません。
戸籍の収集はひとつの役所で請求できないことも多いですし、取得後にまた他の戸籍を取得する必要が出てくるケースもあります。
慣れていない方にとっては、手間も時間も労力もかかる大変な作業です。

⑷相続人が相続財産の一部でも処分をした場合

以下の行為は単純承認事由とみなされるため、絶対におこなわないでください。

  • ・預貯金の解約や払戻
  • ・携帯電話等の名義変更や解約
  • ・不・動産や動産の名義変更
  • ・不動産や動産の名義変更
  • ・遺産分割協議をおこない合意する
  • ・遺産の自社株に基づいて、相続人として株主総会に参加して議決権を行使する

上記はあくまでも一例です。
他にも単純承認事由に該当する行為がありますので、お気軽にご相談ください。

相続放棄を家庭裁判所へ申し立てて認められた場合でも、後になって単純承認事由とみなされる行為が発覚すると相続放棄が認められなくなる可能性があります。

2.相続放棄の申述が却下されたときの対処法(即時抗告)

先でご紹介しました理由で相続放棄の申述が却下されたときには、2週間以内に高等裁判所へ即時抗告という手続きをおこなうと受け付けてもらえる可能性が出てきます。

相続放棄手続きに関してはさまざまな判例がありますので、裁判所によって見解がわかれる部分もあるのです。
ただし、申し立てを受け付けてもらえなかった理由を調べることなく即時抗告をした場合、認められる可能性はかなり低いです。

そのため、即時抗告の手続きは司法書士や弁護士などの相続放棄の専門家へ相談・依頼するようにしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。相続放棄の申し立てを行う前に却下されてしまうケースを確認しておくとスムーズな申し立てができます。却下されてしまうケースで個別具体的なケースを質問したいかたはご連絡下さい。

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