贈与税の概要
仲の良い人や身近な人から不動産や物をもらうことはありませんか?
タダで他人に物を与えることを一般的に「贈与」と呼びます。
この贈与、物のやり取りはタダなのに、税金がかかるケースがあり、それを贈与税と言います。
原則的には、暦年課税という制度があり、暦年課税とは1年ごとの贈与に対して課税されるということです。
物を無償で渡す行為には、負債の免除やほぼ無利子の借金、市場価格よりかなり低い金額で譲り受けた物なども、贈与になり、贈与税の対象になります。
思った以上に重い贈与税
贈与税は相続税より高いなんて聞いたことはありませんか?
具体的には相続税よりも贈与税の方が高く設定されておい、贈与税の税率は、贈与の額により10~55%とされています。
10%の税率でもかなり重いと感じるのに、55%になると半分以上の額を税金として納税しなければいけないということで非常に税負担が重い印象があります。
これは贈与税が低いと、生前に贈与をしてしまうことで相続税逃れが頻発するからと言われています。
贈与税の計算方法
- その年に受けた贈与金額-110万円=課税価格
- (課税価格×税率)-控除額=贈与額
贈与税の対象
要注意!タダで物をもらうだけが贈与ではありません!
一般的に思いつく贈与の形はタダで物をもらうことでしょう。しかし、次のような場合にも贈与に該当し、贈与税の対象になりえますのでご注意ください。
- 親族名義の不動産を無償で他の親族に名義変更した場合は不動産の評価額が贈与となります。
- 保険料が受け取れるが、その人は保険料を負担していないケースも該当します。保険料負担者から保険料を受け取った人への贈与ということになります。
- 市場価格より明らかに安い金額での贈与も該当します。この場合、時価との差額が贈与となります。
- 借金を親などからしている場合、その債務を免除してもらった場合は免除された額か借金そのものが贈与に該当します。
贈与をうまく使えば相続対策に!
あなたは生前贈与という言葉を聞いたことはありますか?
生前贈与は(とはいっても贈与であることに変わりはありません)相続税を軽減する対策の一つであり、贈与をうまく活用する方法です。
内容はシンプルです。財産を持っている人の財産そのものを未来の相続人に与えた結果、相続時の財産を減らすというものです。
もっとも贈与税が多額になる贈与をしてしまっては、対策にはなりませんので、贈与の方法には工夫が必要で、うまく使えば節税効果があります。
一番メジャーな方法としては贈与財産を少量ずつ贈与することです。具体的には110万円の基礎控除以下の額を動かすことです。
他に、贈与税の配偶者控除や、住宅取得等資金の贈与税の特例を活用することです。
コツコツ派の生前贈与対策
贈与税の制度には110万円の基礎控除があると説明しました。これは1年間に行われた贈与額が110万円以下であれば贈与税がかからないことを指します。
これを活用し、毎年110万円以下の贈与をコツコツと積み上げれば10年もたてば1100万円を非課税で贈与できることになります。
仮に1100万円の贈与が課税されていたらなんと207万円の贈与税がかかることになりますので節税効果は大きなメリットになるでしょう。
この節税方法は当然長く続けるほうが節税効果が高まることになるので、気づいた段階ですぐに実行するのが肝になります。
生前贈与の注意事項
小学生以下の子や孫への贈与は認められません。
上でご説明したように連年贈与をする場合はとにかく早くはじめることです。なぜなら、相続開始前3年以内の贈与は、贈与に該当せず、相続財産の一部となってしまいます。
また、贈与という法律行為の側面から言えば財産管理能力が必要になるので、相手が小学生以下などの場合は贈与ができません。
正しい生前贈与、たった3つのポイント
贈与自体、方式に定めはありません。ですがこと税金の問題と絡めると生前贈与を成功させるポイントは3つ挙げられます。
早めの生前贈与
これは相続が発生する3年以内に行った贈与は相続財産に加えることになってしまうからです。
贈与の証拠を残す
仮に現金をそのまま贈与したら証拠は残りません。
そのため本当に贈与したかを証明することは困難です。従って現金手渡しではなく銀行振り込みにしたり、贈与契約書を作成したりすることが必要です
財産管理を見える化
例えば親が子のために子の名義で内緒で貯金していてもそれだけでは贈与には該当しません。つまり、受け手がお金を管理し、自由に使える状態にあることが必要ですし、そもそも財産管理能力が必要になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。無償で財産を与えると贈与税がかかることもあります。
タダだから良いやと思わず必ず税理士に相談することをお勧めします。以上、鶴見区の司法書士が贈与税について解説しました。
この記事の監修者
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