「養子縁組をすると相続人になるの?」「実子と同じ割合で相続できる?」「相続税対策になると聞いたけれど、何人まで認められる?」と不安を感じていませんか。養子縁組は親子関係をつくる制度ですが、相続と相続税では民法と税法のルールを分けて確認する必要があります。
この記事では、普通養子と特別養子の違い、養子が法定相続人になる根拠、実親との相続関係、相続税の基礎控除や生命保険の非課税限度額、注意すべきケースを順番に説明します。
目次
この記事を要約すると
- 養子は原則として養親の子となり、養親の相続では実子と同じ法定相続分を持ちます。
- 普通養子は実親との親子関係が残りますが、特別養子は原則として実親との法的親子関係が終了します。
- 相続税では基礎控除などに算入できる養子の数に制限があるため、相続人の確定と税額計算を別々に確認します。
この記事をおすすめしたい方
- 養子縁組をすると相続人になるのか、実子との違いを確認したい方
- 養子縁組、相続税というキーワードで記事をお探しの方
- 養子がいる状態で遺言書や遺産分割協議を準備したい方
養子縁組とは?普通養子と特別養子の違い
養子縁組は、血縁上の親子でない者の間に法律上の親子関係を成立させる制度です。普通養子縁組では、養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得します。根拠は民法第809条(嫡出子の身分の取得)です。
普通養子では実親との親子関係が残るため、養親だけでなく実親の相続人にもなります。一方、特別養子は家庭裁判所の審判により成立し、原則として実親との親族関係が終了します。制度の要件は年齢や監護状況など細かく定められているため、個別事情は裁判所の特別養子縁組の案内で確認してください。
養子は法定相続人になる?
養子は、養親との間で法律上の子として扱われるため、養親の相続では第1順位の相続人です。配偶者がいる場合は配偶者と子が相続人となり、子が複数いる場合は原則として同じ割合で分けます。養子だからという理由だけで、実子より相続分が少なくなるわけではありません。
ただし、相続人となるかは相続開始時点の身分関係で判断します。養子縁組届を出していない、離縁が成立している、特別養子で実親側の相続関係が終了している、といった事情で結論が変わります。戸籍を出生から死亡まで確認し、養子縁組・離縁の履歴を確認することが大切です。
普通養子の相続関係を図で確認
| 関係 | 養親の相続 | 実親の相続 |
|---|---|---|
| 普通養子 | 原則として相続人になる | 親子関係が残り、相続人になる |
| 特別養子 | 相続人になる | 原則として法的親子関係が終了する |
養子が先に亡くなった場合も、養親が養子の相続人となることがあります。養子に配偶者や子がいるか、実親との関係が残っているかによって相続人が変わるため、単純に「養子を迎えたから相続関係は一つ」と考えないようにしましょう。
養子縁組で相続税は安くなる?
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。生命保険金や死亡退職金の非課税限度額も、法定相続人の数を基準に計算します。ただし、税法上の養子の算入には制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までが基本です。
養子縁組をすれば無制限に相続税が下がるわけではありません。相続税法第15条などのルールにより、税額計算に算入できない場合や、租税回避と認められる事情がある場合もあります。詳しくは国税庁「相続税の基礎控除」、国税庁「生命保険金・退職手当金等の非課税」を確認してください。
養子がいる相続で確認する4つの実務
1. 戸籍で養子縁組の成立日と種類を確認する
相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍と、養子の現在戸籍を確認します。普通養子か特別養子か、離縁していないか、婚姻や転籍で記録が分かれていないかを確認します。
2. 遺言書と遺産分割協議を確認する
遺言書があれば、まず遺言の内容と遺留分を確認します。遺言がない場合は、養子を含む相続人全員で遺産分割協議を行い、合意内容を協議書にします。相続人の一人でも欠けた協議は、登記や預貯金解約で使えません。
3. 相続税の申告期限を管理する
相続税の申告・納税期限は、通常、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。養子の数だけでなく、2割加算の対象となるか、生命保険金、障害者控除なども確認します。
4. 不動産があれば相続登記を進める
不動産を相続した場合、2024年4月1日から相続登記が義務化されています。原則として取得を知った日から3年以内に申請が必要です。制度の詳細は法務省「相続登記の申請義務化」で確認できます。
養子縁組と相続でよくあるQ&A
Q1. 養子は実子と同じ割合で相続できますか?
原則として同じです。養親との法律上の子であるため、同順位の子として法定相続分を持ちます。
Q2. 普通養子は実親の相続もできますか?
できます。普通養子では実親との親子関係が残るため、実親の相続でも相続人になります。
Q3. 養子を何人迎えても相続税が下がりますか?
いいえ。相続税の計算上、法定相続人に算入できる養子の数には制限があります。相続税以外の制度にも影響するため、税理士に確認してください。
Q4. 養子が海外に住んでいても相続できますか?
相続人であること自体は居住地だけで否定されません。ただし、印鑑証明書に代わる書類や住所証明、署名証明などが必要になることがあります。
Q5. 養子がいる場合、遺産分割協議は誰が参加しますか?
戸籍上の相続人全員です。養子を除外した協議は無効となる可能性があるため、戸籍を確認してから協議を進めます。
まとめ|養子縁組と相続は戸籍・民法・税法を分けて確認
養子は原則として養親の法定相続人となりますが、普通養子と特別養子では実親との関係が異なります。相続税では養子の算入人数に制限があるため、相続人の確定と税額計算を一緒に決めつけないことが重要です。
養子縁組の履歴、遺言書、不動産、相続税の有無を整理し、戸籍の読み取りや遺産分割協議書の作成に不安がある場合は、司法書士・行政書士・税理士など適切な専門家へ早めに相談しましょう。

