この記事を要約すると
- 家屋の相続税評価は、原則として固定資産税評価額を基準に考えます。
- 貸家、アパート、借地権、貸宅地が絡むと、借家権割合や賃貸割合による調整が必要になります。
- 相続税申告や遺産分割で困らないよう、固定資産税通知書、名寄帳、登記事項証明書を早めに確認しましょう。
この記事をおすすめしたい方
- 親の自宅やアパートを相続し、評価額の考え方を知りたい方
- 家屋 相続税評価、貸家 評価額というキーワードで記事をお探しの方
- 不動産の遺産分割や相続税申告の準備を始めたい50代の方

相続財産に自宅、マンション、アパートなどの建物が含まれる場合、「いくらで評価するのか」は遺産分割にも相続税申告にも影響します。売買価格や建築費をそのまま使うのではなく、相続税では国税庁の財産評価基本通達に沿って評価するのが基本です。
この記事では、家屋の相続税評価額の基本、貸家の評価、借地権や貸宅地が絡む場合の考え方、家族で確認しておきたい資料まで整理します。
目次
家屋の相続税評価額は固定資産税評価額が基本
家屋は、土地とは別に評価します。国税庁の財産評価基本通達「家屋及び家屋の上に存する権利」では、家屋の価額は原則として固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価するとされています。実務上、通常の家屋では固定資産税評価額を基準に考える場面が多くなります。
固定資産税評価額は、市区町村から届く固定資産税納税通知書、課税明細書、名寄帳などで確認できます。登記簿上の面積や建築時の請負金額だけを見ても、相続税評価額は判断できません。
| 確認資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 固定資産税納税通知書・課税明細書 | 家屋の固定資産税評価額、所在地、家屋番号、床面積 |
| 名寄帳 | 被相続人名義の不動産一覧、共有持分、課税状況 |
| 登記事項証明書 | 所有者、持分、所在、家屋番号、構造、床面積 |
| 賃貸借契約書 | 貸家やアパートの場合の賃貸状況、入居割合 |
自宅・空き家・マンションの家屋評価
被相続人が住んでいた自宅の建物は、基本的に固定資産税評価額をもとに評価します。空き家になっている場合でも、建物が残っていれば家屋として評価対象になります。
マンションの場合も、専有部分の建物評価と敷地利用権に対応する土地評価を分けて考えます。土地部分については路線価方式や倍率方式が関係するため、国税庁タックスアンサー No.4602「土地家屋の評価」も確認しておくと全体像をつかみやすくなります。
家屋の評価だけで相続税評価が終わるわけではなく、土地・借地権・敷地利用権も別に確認する必要があります。
貸家・アパートは借家権割合と賃貸割合を確認する
アパート、賃貸マンション、貸家のように他人に貸している建物は、入居者の権利を考慮して評価します。自用の家屋と同じように固定資産税評価額をそのまま見るのではなく、借家権割合と賃貸割合を使って調整します。
| 区分 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 自用家屋 | 固定資産税評価額を基準に評価する |
| 貸家 | 固定資産税評価額から、借家権割合と賃貸割合を考慮して評価する |
| 一部賃貸の建物 | 自用部分と賃貸部分を床面積などで分けて考える |
| 建築中の家屋 | 費用現価をもとに評価する場合がある |
貸家の評価は、一般に「固定資産税評価額 × (1 – 借家権割合 × 賃貸割合)」という考え方で整理します。借家権割合は地域ごとに決められ、賃貸割合は実際に貸している床面積などから確認します。
借地権・貸宅地・貸家建付地も一緒に見る
家屋の評価で見落としやすいのが、土地の利用関係です。被相続人の建物が借りた土地の上に建っている場合は、借地権が相続財産になることがあります。反対に、被相続人が土地を貸していて、その上に他人の建物がある場合は貸宅地として評価を考えます。
国税庁タックスアンサー No.4613「貸宅地の評価」では、借地権の目的となっている宅地などの評価方法が整理されています。路線価や借地権割合は国税庁の財産評価基準書 路線価図・評価倍率表で確認します。
アパートを所有している場合は、建物の貸家評価だけでなく、土地について貸家建付地として評価減が生じるかも確認します。土地と建物を別々に見たうえで、賃貸状況や空室状況を整理することが重要です。

節税目的のアパート建設で注意したいこと
アパート建設によって土地や建物の相続税評価額が下がることがあります。ただし、評価額が下がることだけを目的に無理な借入れをすると、空室、修繕費、金利上昇、売却しにくさが問題になることがあります。
相続対策として不動産活用を考える場合は、相続税評価だけでなく、家族が将来その不動産を維持できるか、遺産分割で揉めないか、借入金を返済できるかまで確認してください。評価額が下がることと、家族にとって良い相続になることは同じではありません。
相続前後に確認しておきたい資料
家屋の評価を進めるときは、次の資料を集めると判断しやすくなります。
- 固定資産税納税通知書・課税明細書
- 名寄帳または固定資産評価証明書
- 土地・建物の登記事項証明書
- 賃貸借契約書、入居状況、家賃明細
- アパートローンなど借入金の残高資料
- 相続税申告が必要か判断するための財産一覧
不動産の評価は、相続税だけでなく遺産分割にも影響します。長男が家を取得し、他の相続人へ代償金を支払うような場合、評価額の見方が合っていないと話し合いが進みません。
まとめ
家屋の相続税評価額は、原則として固定資産税評価額を基準に考えます。ただし、貸家、アパート、一部賃貸、借地権、貸宅地、貸家建付地が絡むと、評価方法は一段複雑になります。
相続が始まったら、まず固定資産税資料、名寄帳、登記事項証明書、賃貸借契約書を集め、土地と建物を分けて整理してください。相続税申告や遺産分割で判断に迷う場合は、司法書士・税理士などの専門家に早めに相談しましょう。
家屋の相続税評価に関するよくある質問
- Q. 家屋の相続税評価額は何を見れば分かりますか?
- A. まず固定資産税納税通知書や課税明細書で固定資産税評価額を確認します。市区町村で名寄帳や固定資産評価証明書を取得して確認する方法もあります。
- Q. 建物の売却価格で相続税評価をしますか?
- A. 通常は売却価格ではなく、財産評価基本通達に基づき固定資産税評価額を基準に評価します。ただし、特殊な事情がある場合は個別確認が必要です。
- Q. 貸家やアパートは評価額が下がりますか?
- A. 入居者がいる貸家は、借家権割合と賃貸割合を考慮して評価します。空室がある場合は賃貸割合に影響するため、入居状況の確認が必要です。
- Q. 借地権も相続財産になりますか?
- A. 建物所有を目的とする借地権は、相続財産として評価が必要になることがあります。土地の路線価や借地権割合を確認します。
- Q. アパート建設は相続税対策になりますか?
- A. 評価額が下がることはありますが、空室リスク、修繕費、借入金、遺産分割のしにくさもあります。節税効果だけで判断しないことが重要です。

