この記事を要約すると
- 遺言書は、法律で決められた方式を守って初めて効力が問題になります。
- 遺言の効力は、原則として遺言者が亡くなった時から発生します。
- 身寄りがない方でも、第三者や法人へ財産を渡す遺言を作ることは可能です。
この記事をおすすめしたい方
- 遺言書を書けば本当に効力があるのか不安な方
- 遺言書 効力、遺贈 第三者というキーワードで記事をお探しの方
- 身寄りがない方や、親族以外へ財産を渡したい方
目次
遺言書の効力とは
遺言書の効力とは、遺言者が亡くなった後、その内容どおりに財産を承継させたり、遺言執行者を動かしたりできる力のことです。ただし、気持ちを書いた紙がすべて有効になるわけではありません。
e-Gov法令検索の民法にある民法第960条は、遺言は法律で定められた方式に従わなければ効力がないと定めています。つまり、遺言書は内容だけでなく、形式も守らないと効力が問題になるということです。
遺言の効力はいつ発生するか
民法第985条第1項は、遺言は遺言者の死亡の時から効力を生ずると定めています。生前に遺言書を書いても、書いた瞬間に財産の名義が変わるわけではありません。あくまで亡くなった後に効力が出ます。
このため、遺言書を書いた後も、本人は財産を売却したり、預金を使ったりできます。遺言書に書いた不動産を生前に売却した場合、その部分は実行できなくなることがあります。
第三者へ財産を渡す遺言は有効か
身寄りがない方、親族と疎遠な方、世話になった人や団体へ財産を渡したい方は、第三者への遺言を考えることがあります。相続人以外の人へ財産を渡す場合、通常は「遺贈」という形になります。包括遺贈や特定遺贈の考え方は、民法第964条などに関係します。
身寄りがない方でも、遺言書で財産の行き先を決めておくことはできます。ただし、受け取る人の住所氏名、法人名、財産の特定、遺言執行者の指定を丁寧に書く必要があります。

遺言書の解釈が問題になることもある
遺言書の言葉があいまいだと、相続人や受遺者の間で「この文言はどういう意味か」が争われることがあります。遺言の解釈に関して、最高裁昭和58年3月18日判決は、遺言書全体の記載や事情から遺言者の真意を探る考え方を示した判例として知られています。
たとえば「自宅を任せる」「面倒を見てくれた人に渡す」といった表現は、気持ちは伝わっても、手続きでは迷いが出ます。第三者が読んでも分かるように、財産と受取人を具体的に書くことが大切です。
効力が問題になりやすい遺言書
- 日付がない自筆証書遺言
- 署名押印がない遺言書
- 財産の特定があいまいな遺言書
- 受け取る人が特定できない遺言書
- 遺留分への配慮がまったくない遺言書
自筆証書遺言では民法第968条、公正証書遺言では民法第969条の方式が重要です。自筆証書遺言を作る場合は、法務省の自筆証書遺言書保管制度も確認しておくと、紛失や改ざんの不安を減らせます。相続開始後に自筆証書遺言が見つかった場合は、裁判所の遺言書の検認手続案内にあるとおり、検認が必要になるケースがあります。ただし、検認は遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
遺言書の効力をめぐって起きやすい誤解
遺言書は「書いた本人の希望を残す紙」ではありますが、法律上の効力が問題になる場面では、もう少し細かく見ます。たとえば「長男に自宅を渡す」と書かれていても、その自宅がどの不動産を指すのか分からないと、相続人同士で解釈が分かれてしまいます。
また、遺言書に書けることと、書いても法律上の効力までは認められにくいことがあります。財産の承継先、遺言執行者の指定、認知などは法律上の効果に結び付きやすい一方で、「兄弟仲良く暮らしてほしい」といった気持ちは大切でも、通常は法的な強制力まではありません。
50代の方が親の遺言書を見つけた場面では、まず「この遺言書はいつ作られたものか」「方式を満たしているか」「どの財産を誰に渡す趣旨か」を落ち着いて確認してください。急いで預金を動かしたり、不動産の名義変更を進めたりすると、後から別の遺言書が出てきたときに手続きが複雑になることがあります。
第三者へ財産を渡す遺言で注意したいこと
相続人以外の人へ財産を渡す場合、遺言書では「遺贈」という形を使うのが一般的です。民法第964条は、遺言者が包括または特定の名義で財産を遺贈できると定めています。つまり、内縁の配偶者、長年世話をしてくれた人、法人などへ財産を渡したい場合も、遺言書で設計できる余地があります。
ただし、相続人の遺留分を大きく侵害する内容にすると、死亡後に金銭請求の問題が起きることがあります。第三者へ渡す遺言ほど、財産目録、渡す理由、遺言執行者の指定を丁寧にしておくことが重要です。
まとめ
遺言書は、民法第960条の方式を守り、民法第985条により死亡時から効力が発生します。第三者へ財産を渡す遺言も可能ですが、受取人と財産の特定が大切です。
遺言書の効力を確実にしたいなら、形式・文言・遺言執行者の指定まで整えることが重要です。身寄りがない方や親族以外へ財産を渡したい方は、早めに専門家へ相談しましょう。
遺言書の効力に関するよくある質問
- Q. 遺言書は書けば必ず有効ですか?
- A. 必ずではありません。民法第960条により、法律で決められた方式を守る必要があります。
- Q. 遺言の効力はいつ発生しますか?
- A. 民法第985条第1項により、遺言者が亡くなった時から効力が発生します。
- Q. 身寄りがない人でも遺言書を作れますか?
- A. 作れます。第三者や法人へ財産を渡す遺贈を検討できます。
- Q. 第三者へ遺贈する場合に注意することは何ですか?
- A. 受け取る人や団体を正確に特定し、財産の内容も明確に書くことです。遺言執行者の指定も重要です。
- Q. 自筆証書遺言は保管制度を使った方がよいですか?
- A. 紛失や改ざんを防ぎたい場合に有効です。法務省の自筆証書遺言書保管制度を確認するとよいでしょう。

