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相続税の「タワマン節税」は許さない!? 節税の仕組みと規制強化の動きを解説

相続税のタワマン節税は許さない

この記事を要約すると

  • 最高裁判決によってタワーマンション節税への規制強化が示唆された。節税目的が明白な手法は是認されず、不動産鑑定の採用により相続税評価額が上昇し、追徴課税の可能性が生じることが明らかになった。
  • タワーマンション節税には投資リスクが存在し、節税の目的だけでなく投資の財政影響も考慮する必要がある。タワーマンションの価値の下落により損失が発生する可能性があり、慎重な計画が必要とされる。
  • タワーマンション節税には課税強化の動きがあり、現行の税制だけでなく将来の税制改正の動向も考慮すべきである。政府の税収増加のために不動産投資への課税強化が検討されており、節税効果が減少する可能性がある。

タワーマンションを利用した相続税の節税手法に注目が集まっていますが、規制強化によってその効果が揺らぎつつあります。

この記事では専門家の目線から、「タワマン節税」の仕組みと最新の規制動向を解説します。

 

タワーマンションの節税

タワーマンションの所有は、大きな財産として一見負担のように思えるかもしれませんが、それが節税の一助になることをご存知でしょうか。

ここでは、タワーマンションを持つことで得られる二つの節税の効果と、その具体的な仕組みについて、わかりやすく解説します。

期待できる2つの効果

タワーマンションの節税で期待できる効果は主に2つあります。

①現金相続のデメリット対策

現金を相続するよりも、タワーマンションを相続する方が有利になるケースがあります。

これは、現金を相続する場合、相続税がその金額に対して直接課されるためです。一方、タワーマンションを相続する場合、その評価額が低く設定されることから、相続税の負担が軽減されるのです。

たとえば、ある家族が5000万円の現金を相続した場合と、実勢価格5000万円のタワーマンションを相続した場合を比較してみましょう。現金を相続した場合、その金額全体が相続税の対象になります。

しかし、タワーマンションを相続した場合、その評価額が例えば3000万円に設定されれば、相続税は3000万円分だけにしか課されないのです。

この差は大きな節税効果となります。

②相続税の軽減

タワーマンション節税を利用することで、相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。これはタワーマンションの評価額が通常より低くなるためで、高額な財産であるタワーマンションを相続すると、それに伴う相続税が高額になるという心配が減ります。

タワーマンション節税の仕組み

では、具体的にタワーマンション節税がどのようにして成り立つのか、その仕組みを説明します。

タワーマンション節税の主な仕組みは、物件の購入価格と相続税評価額の間の差額を利用することです。つまり、タワーマンションを相続する際、それが実際に購入した時の価格よりも低く評価されることを利用して、相続税の負担を抑える方法なのです。

例えば、ある人がタワーマンションを1億円で購入したとします。その人が亡くなり、家族がタワーマンションを相続する際、この物件が6000万円と低く評価されれば、相続税は6000万円分だけになります。これによって、相続税の負担が大幅に減るのです。

ただし、無闇に低く評価するのは問題があります。税務署がそれを認めない場合もあるので、注意が必要です。専門家と相談しながら適切な節税計画を立てることが大切です。

タワーマンション節税の注意点と今後の見通し

タワーマンション節税には、否認リスクが存在します。

これは、国税庁が評価額と市場価格との乖離を見直し、相続税評価額を「実勢価格」の6割以上に引き上げる可能性があるからです。そのため、タワーマンションを購入する際や相続する際には、この点を十分に考慮する必要があります。

また、新たな算定ルールの導入により、タワーマンションの評価額が上昇し、相続税の負担が増える可能性があります。これは、特に富裕層だけでなく、これまで相続税を納める必要がなかった一般層にも影響を及ぼす可能性があります。

しかし、タワーマンションの評価額が上昇するという事実は、その物件が「住める金融資産」としての価値を持っていることを示しています。

そのため、タワーマンションを購入することは、節税だけでなく、資産形成の一環としても有効な手段であると言えます。

 

タワーマンション節税で注意する3つのポイント

タワーマンションを購入して節税を図ることは一見魅力的に見えますが、その背後には様々な注意点が存在します。ここでは、その中でも特に重要な3つのポイントを解説します。

タワーマンション節税について、投資リスクがある

まず初めに、タワーマンション節税には投資リスクが伴います。これは、1室だけを購入する場合でも同じです。つまり、ただ節税が目的でタワーマンションを買うだけではなく、その投資が自身の財政にどのように影響するか考えなければならないのです。

例えば、節税の効果を狙ってタワーマンションを買ったとします。

しかし、そのタワーマンションの価値が下がってしまった場合、大きな損失が出る可能性があります。この損失は節税の効果を上回る可能性もあります。

そうなると、節税の目的が逆に損失を生む原因となってしまうのです。これが投資リスクと呼ばれるものです。

タワーマンション節税について、課税強化の動きがある

次に、タワーマンション節税について、課税強化の動きがある点も覚えておいてください。節税を目的としてタワーマンションを購入する場合、税制の変更によって節税の効果が薄れる可能性があります。

政府は税収を増やすために、タワーマンションのような不動産投資に対する課税強化を考えることがあります。その結果、以前は節税が可能だったものが、税制改正によって節税効果がなくなる場合があります。

したがって、タワーマンションを購入する際は、現行の税制だけでなく、これからの税制の動向も考慮することが大切です。

タワーマンションの相続税評価に注意する

タワーマンションの相続税評価は、その土地の路線価と建物の固定資産税評価額をベースに算出されます。

しかし、2022年4月の最高裁判決では、明らかな節税目的でタワーマンションを購入した場合、不動産鑑定による再評価が行われる可能性があると示されました。

これにより、相続税評価額が大幅に上昇し、予想以上の相続税が課される可能性があります。

 

規制強化を「先取り」した最高裁判決

2022年4月の最高裁判決でこの規制強化をまさに「先取り」したような判決がなされました。この判決の詳細と今後の規制強化について解説します。

2022年4月の最高裁判決とは

最近、注目を集めているのは、相続税対策としてのタワーマンションの購入です。しかしながら、国内では「タワーマンション節税」に対する規制が強化されています。その規制の中核となったのが、2022年4月に行われた最高裁判決です。この判決は、タワーマンションを利用した節税手法における重要な転換点となりました。

最高裁判決では、相続人が被相続人から2棟のマンション(総額約13億9,000万円)を相続し、購入時の借入金と相殺して相続税評価額を約3億3,000万円に圧縮し、相続税ゼロ円で申告したケースについて、国税当局による追徴課税が適法であると判断されました。相続人はこの判決に不服を申し立てましたが、敗訴となりました。

この判決は、タワーマンション節税への規制強化を予見したものと言えます。国税庁が従来の路線価方式ではなく不動産鑑定を採用したことにより、相続税評価額が大幅に上昇し、相続人に追徴課税の対象となる結果となりました。

最高裁判決で考慮された事情

最高裁判決によって今回の判決にあたって考慮された事情は、以下の点にまとめられます。

  • 相続対策を実施した被相続人が高齢だったこと
  • 相続税対策のために借金を行ったこと
  • 経済合理性が欠如していたこと
  • 相続人が即座に取得した不動産を売却したこと

これらの要素から、「明白な節税」は是認されないという結論が導かれました。ただし、国税当局が路線価方式ではなく不動産鑑定を採用したことについては、基準が曖昧であるという専門家からの批判もありました。

税務署への疑念を避けるために

規制の強化に伴い、タワーマンションを相続する際には、税務署に認められるようにしっかりとした対策を講じる必要があります。重要なのは、相続税対策以外の目的(居住や賃貸収入など)を明確にすることです。

即座に売却すると、税務署の注目を浴びやすくなります。相続税の調査は、おおむね5年以内に行われることが一般的です。その点を考慮しながら、できるだけ長期間保有し、利用することが望ましいでしょう。

規制強化の動向と将来展望

昨年末の報道によると、国税庁は税の公平性を考慮し、タワーマンションの評価額を高層階ほど高くする算定方法などを検討しています。これについては、与党の税制調査会の承認を得た上で、学者や不動産鑑定士らからなる有識者会議で議論される予定です。

具体的なスケジュールとしては、2024年度以降に制度改正が目指され、2023年度の与党税制改正大綱にも議題として含まれる見通しです。

「タワマン節税」防止へ 国税庁が相続税の計算ルールを見直し

国税庁は、タワーマンションを利用した節税対策を防ぐため、相続税の計算ルールを見直す方向で動いています。

これは、タワーマンションの相続税評価額が実勢価格と大きく乖離していることを問題視し、そのギャップを縮小するための措置です。特に、都市部の高層タワーマンションは、節税効果が高いとされています。

しかし、このルール変更には反対の声もあります。反対派は、節税対策としてタワーマンションを利用する富裕層は限られており、また、節税効果があるのは高層階の物件に限られると指摘しています。

そのため、節税対策を目的とした法制改正は、本来の規制対象以外にも影響を及ぼす可能性があり、節税目的以外でタワーマンションを購入する人にも影響が出る恐れがあると主張しています。

 

「タワマン節税」を防ぐための税制改正の問題点

タワーマンションの節税対策について、いくつかの問題点が挙げられます。

タワーマンションを利用していない一般の投資家にも影響を及ぼす

まず、節税効果があるとされるタワーマンションは、都市部の高層階の物件に限られています。しかし、税制改正が行われれば、その影響は高層階の物件だけでなく、全てのタワーマンションに及びます。これは、節税対策としてタワーマンションを利用していない一般の投資家にも影響を及ぼす可能性があります。

富裕層だけでなく、一般市民も相続税の負担が増える

節税対策としてタワーマンションを利用する富裕層は、全体の富裕層に比べて数が非常に少ないという事実もあります。そのため、わずかな数の富裕層のために税制全体を改正することは、費用対効果が低いと考えられます。

さらに、税制改正によって影響を受けるのは、本来の規制対象である富裕層だけでなく、節税目的以外でタワーマンションを購入する人も含まれます。

例えば、タワーマンションを購入して家族で生活している一般市民も、この税制改正によって相続税の負担が増える可能性があります。

これは、税制改正の影響が節税対策を行っている富裕層だけでなく、一般市民にも及ぶという問題を示しています。

また、タワーマンションの価格は、その立地や設備、眺望などによって大きく変動します。これらの要素を考慮に入れずに一律に税制を改正することは、公平性に欠けるように思います。

特に、都市部のタワーマンションは、その便利さや生活環境から多くの人々にとって魅力的な住まいの選択肢となっています。

そのため、税制改正によってこれらの物件の価格が上昇すれば、一般市民の住宅取得の機会が奪われる可能性があります。

 

まとめ

この記事では、タワーマンションを利用した節税対策と相続税の計算ルール見直しについて解説してきました。タワーマンション節税には投資リスクや課税強化の動きがあり、相続税評価にも注意が必要です。

このような節税対策に関する法的な問題やリスクは、専門家に相談することが重要です。現行の税制だけでなく、将来の税制改正の動向も考慮し、適切な節税計画を立てる必要があります。

節税や相続税に関する専門知識を持つ専門家の助言を受けながら、法的な問題やリスクを避けるための対策を講じることが大切です。

この記事の監修者

あいりん行政書士法人    梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん行政書士法人と司法書士事務所を経営。相続専門5期目として相続業務を幅広く対応。

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