市川猿之助が残した遺書は法的に有効か?事件の詳細と遺書について詳しく解説

市川猿之助が残した遺書は有効か

この記事を要約すると

  • 市川猿之助さんが自宅で倒れ、遺書には「愛するM」へのメッセージがあった。
  • 遺言書作成は専門知識が必要で、法定遺言事項と付言事項の2つの要素がある。
  • 遺書と遺言は似ているが異なる。遺書は生前の意思を伝える手紙、遺言は遺産の相続方法を書いた法的効力のある文書である。

2023年5月18日、歌舞伎役者の市川猿之助さんが東京目黒区の自宅で倒れているのが見つかり、猿之助さんのご両親(段四郎さん・延子さん)が亡くなっていたという衝撃のニュースが報道されました。

自宅には猿之助さん直筆の遺書とみられる書類が残されており、そこには「愛するM」という人物へのメッセージが書かれていました。

この記事では猿之助さんが残した遺書についてや遺書とは何かについて解説していきます。

市川猿之助、“遺書”をあてた俳優への“絶対的な信頼”

何が起きたのか

俳優の市川猿之助さんが家庭内で命を絶とうとした際に、遺書のようなメモを複数残していたとみられています。その中にはある「愛するM」への言葉が綴られていました。

この「愛するM」についての議論がインターネット上で盛り上がっていましたが、誰がMなのか定かではありません。

どうしてこうなったのか

市川猿之助さんが遺書に「愛するM」を選んだ理由は、その人への深い信頼によるものと考えられます。

しかし、市川猿之助さんがなぜ自らの命を絶とうとしたのかについては、現時点では詳細な情報が公開されていません。ただし、複数の報道によれば、セクハラやパワハラに関する報道があったことや、芸能界の闇や疲労からのストレスが原因ではないかとされています。

今後の詳細な調査結果を待つ必要があります。

 

遺書と遺言の違い

遺書と遺言書、これらの用語はしばしば混同されがちですが、実は異なる概念を指すものです。その違いを理解することは、遺産相続の揉め事を避けるために大切です​​。

以下で詳しく説明します。

遺書の定義

遺書は、生前の意思を伝える手紙のことを指します。

個人的なメッセージを伝えるために書き残すもので、家族や友人、知人など大切な方に読んでもらいたい気持ちや願いなどを文字にしたものです​。

遺書は生前最後のメッセージとして無念の気持ちや感謝の思いなどを文字にしたためる方も多くいます。また、遺書は遺言書と違って法律上の効果は生じないのが特徴です​​。

遺言書の定義

遺言は、遺言者が自分の死後に遺産をどのように相続させたいかを書いた文書です。遺書とは異なり、遺言は法的効力があるため、遺言の内容に従って遺産の相続が行われます。

ただし、 法律上の効果を生じさせるためには、遺言書自体が法律で定められた要件を満たす必要があります​。

遺産相続に効力を発揮するのは遺言書

遺産相続に法律上の効果を生じさせるのは遺言書であり、下記の事項を記載した場合に、効力を有します。

  • 遺産の相続人を指定する
  • 遺産の分割方法を指定・禁止する
  • 遺産の管理人を指定する
  • 遺言執行人を指定する
  • 遺産にかかる税金の負担者を指定する
  • 遺族に扶養義務のある者を指定・除外する
  • 遺言者の葬儀の費用を指定する
  • 遺言書の開示を禁止する

遺産相続に関連する事項や、具体的な財産の分配についての意思を明確に記述したい場合には、しっかりと遺言書を残しておくことが大切です​。

 

遺言書の重要性とその書き方について

では続いて遺言書についてさらに深掘りして解説していきます。

1.遺言書とは?

遺言書とは、自身の死後にどのように財産を分けるかを記した法的な書類のことを指します。これにより、財産の分割に関するトラブルを避けることができます。

遺言書は自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。

自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、遺言者が全て手書きする形式の遺言書であり、自分一人で作成でき、費用がかからないので手軽に遺言書を作成したい方に適しています。

自筆証書遺言は書き直しが簡単にできるため、遺言内容を変更する場合にも手軽に対応できます。ただし、自筆証書遺言は要件を満たしていない場合、効力がなくなる恐れがあるため、正しい書き方や注意点を守る必要があります。

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、公証人が遺言者の口述をもとに、遺言書を作成し、その原本を公証人が保管するもので、安全で確実な遺言書であることが特徴です。

公証人は法律文書作成の専門家であり、遺言者の口述をもとに遺言書を作成します。

公証人が遺言者の意思を確認して作成するため、安全確実な遺言書であるとされています。公正証書遺言は作成費用がかかるため、費用面での検討が必要です。

2.遺言書の効力とは?

遺言書は遺言者の死後、法的にその遺言が実行されるための重要な書類です。遺言書がない場合、原則として相続人全員の合意に基づいて財産を分割します。

しかし、遺言書が存在する場合、遺言者の意思が尊重され、原則としては遺言通りに財産が分割されます。ただし、相続人全員の合意によりこれと異なる分割も可能です。

3.遺言書の正しい書き方と内容

遺言書を作成する際には、以下の要素を含めることが必要です。

  • 遺言者の氏名と住所
  • 遺言の日付
  • 遺言者の自署
  • 遺言の内容

遺言の内容は明確に書くことが重要です。

例えば、誰に何を相続させるのか、具体的に記述することが求められます。また、自筆証書遺言の場合、全文を自筆で書く必要がありますが、法改正により財産目録に関しては自筆でなくとも有効となりました。

遺言書の作成は簡単なように思えますが、適切な表現や内容の確認は専門知識を必要とします。

したがって、遺言書の作成を検討されている方は、専門家に相談することをお勧めします。これにより、遺言書が適切な形で作成され、法的なトラブルを避けることができます。

 

遺言書における付言事項とは

遺言書は、亡くなった後の財産や相続に関する意思を残すための重要な文書です。遺言書には、法定遺言事項と付言事項の2つの要素があります。

【法定遺言事項】

法定遺言事項とは、法律で定められた相続に関する事項のことです。具体的には、身分に関する事項、財産に関する事項、相続に関する事項の3つに分類されます。

この部分は法的な効力を持ち、相続人に対して法律に基づいた指示を与えます。例えば、誰にどのような財産を相続させるかなどが法定遺言事項に該当します。

【付言事項】

一方、付言事項は、遺言書における法定遺言事項以外の内容を指します。付言事項は法的な効力はありませんが、遺言者の気持ちや思いを伝えるためのものです。

例えば、遺言書を作成した経緯や感謝の気持ち、家族に対するメッセージなど、法定遺言事項以外の内容を指します。遺言者が相続人に対して何か特別な思いや意図を伝えたい場合に使用されます。

【付言事項の重要性】

付言事項には法的な拘束力はありませんが、遺言者の意思や感謝の気持ちを相続人に伝える役割を果たします。

法定遺言事項だけではなく、なぜそのような遺言が行われたのか、経緯や思いを相続人に伝えることで、遺言書への理解が深まり、トラブルを避けることができるでしょう。

相続人に対して感謝の気持ちや思いを伝えることも、付言事項の重要な役割です。

【付言事項の書き方のポイント】

付言事項を書く際のポイントを以下にまとめました。

感謝の気持ちを伝える

付言事項で最も大切なのは、相続人に対する感謝の気持ちを伝えることです。具体的に遺言書を作成した理由や相続人への感謝の意を具体的に書くことで、遺言への理解も得やすくなります。

ただし、ネガティブな内容は避けるようにしましょう。否定的な表現や批判的な言葉は遺族の関係を悪化させる可能性があります。

遺言作成の経緯を明確にする

なぜそのような遺言書を作成したのか、具体的な経緯や考えを相続人に伝えることが重要です。事業の後継や祭祀の承継、財産の相続や遺贈など、決定した理由や思いを明確にすることで、相続人も納得しやすくなるでしょう。

相続人には遺言によって持分が減る場合もあり、不平不満が生じる可能性もあるため、遺言作成の経緯を明確にすることは重要です。

生前贈与や特別受益の言及

相続時のトラブルを避けるために、生前贈与や特別受益についても明確に記載しておくことが重要です。生前贈与は相続人にとって不公平となる可能性があるため、クリアにしておく必要があります。

相続のトラブルを未然に防ぐため、生前贈与や特別受益に関する事項は明確に記述しましょう。

弁護士の支援を受ける

遺言書作成には法的な専門知識が必要な場合があります。できれば、司法書士に相談し、一緒に作成することをおすすめします。

弁護士は遺言書作成のプロフェッショナルであり、法的な観点から最適なアドバイスを提供してくれます。遺言書に記載する内容や表現についても助言を受けることで、遺言書の効力や相続人の納得感を高めることができます。

まとめ

市川猿之助さんの自宅からは、本人が書いたと思われる遺書とみられるメモが見つかりましたが、その遺書の詳しい内容については公にされていません。

この記事では残された遺書の解説と遺言書との違いに触れることで、身近に感じていただけれと考えました。より遺言書のことが知りたいという方がいらしたら、是非あいりん事務所にご相談ください。

 

この記事の監修者

あいりん行政書士法人    梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん行政書士法人と司法書士事務所を経営。相続専門5期目として相続業務を幅広く対応。

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