今回の記事は、生前贈与を考え始めたけど具体的にどうすればよいか分からない方にとって、わかりやすい内容となっています。
生前贈与にはどんなやり方があって、どんなメリット・デメリットがあるのか?自分にはどんな方法が向いているのか?が分かりやすく理解できるよう、専門用語や小難しい表現をできるだけ使わずにお伝えしていきます。
このページをご覧になって頂ければ、法律の知識が無くても、生前贈与の全体像と具体的な活用ポイントがしっかり掴めると思いますのでぜひ最後までご覧になって下さい。
目次
生前贈与とは?
まず、生前贈与とは何なのか?どんなメリットがあるのか?についてお伝えします。
生前贈与とは簡単に言うと相続資産の前渡しのようなものです。生きている間に相続予定の資産を子や孫などに引き継ぐ事ができ、渡した資産額に対して贈与税が課せられます。
生前贈与の主なメリットとしては、相続を待たなくても子や孫などに必要なタイミングで支援ができる事、そして相続税の節税ができるという点にあります。
生前贈与3つのパターン
生前贈与のやり方については大きく分けて3つのパターンがあり、状況や目的に合わせて選択をすることができます。
その1.毎年110万円まで贈与税がかからない「暦年贈与」
暦年贈与とは1月1日から12月31日までの1年間に贈与された資産額から110万円を除いた額に贈与税が課せられる制度です。
つまり1年間に贈与した金額が110万円以内であれば贈与税はかからず、申告も不要です。110万円を超えた金額に対して段階的な税率で贈与税が課せられるシステムとなります。
ちなみに110万円の控除は1回だけでなく毎年活用する事ができます。
例えば、子供に1年間で合計200万円の贈与をした場合、200万円-110万円=90万円が課税の対象となり90万円✖10%=9万円の税金がかかります。
※200万円以下の贈与税率は10%(20歳以上の子、孫、ひ孫に贈与した場合)
※贈与税は資産額により段階的に税率が高くなっていきます。
その2.2,500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税制度」
相続時精算課税制度とは生前時に贈与した資産の合計が2,500万円までは贈与税がかからず、2,500万円を超えた分については一律20%の贈与税がかかる制度になります。
この制度を利用できるのは、制度を活用する年の1月1日で60歳以上の父母、祖父母が20歳以上の子・孫に贈与をするケースになります。
ただ注意してほしいのは、2,500万円までは贈与税が免除されますが、相続税は免除されないという点です。
例えばこの制度を活用して合計2,000万円の贈与をしていた場合、2,500万円以内なので贈与税はかかりませんが、贈与者が亡くなった際にはその2,000万円を相続資産としてひっくるめて計算をされてしまうと言う事です。つまりこの制度を活用しても相続税の節税になるわけではありません。
その3,多額の贈与税が免除される特例
一度に多くの資産を渡す場合、多額の贈与税がかかる事になりますが、贈与の「目的」によっては税金を大きく節約する事ができます。
例えば、子や孫に教育資金を提供する際に1,500万円まで非課税になる制度や子や孫が住宅を建てる際の資金援助が1,000万円まで非課税になるなど、大きな節税効果を見込める特例があります。こちらは後ほど詳しくお伝えしていきます。
暦年贈与4つのメリット
まずは暦年贈与について詳しくお伝えしていきます。暦年贈与には主に4つのメリットがあります。
メリット1,相続税を効果的に節税できる
まず暦年贈与のメリットは何と言っても効果的な節税対策ができるという点です。
例えば、資産額が1億円で相続人が1名の場合、暦年贈与の非課税範囲である110万円を贈与した時、どれだけ節税できるのか?というと、1億円の資産がある場合、相続税率は30%になるため110万円✖30%=33万円となり、110万円の贈与で33万円もの節税ができる事になります。
※資産1億円の内1,400万円までは30%の相続税がかかります。
メリット2,好きなタイミングで好きな相手に資産を渡せる
二つ目は好きなタイミングで好きな相手に資産を渡せるという点です。暦年贈与は相続人はもちろん、相続人以外の方にも活用できます。
子や孫に資金が必要になった時、相続人あるいはそれ以外の方で確実に資産を渡しておきたい相手がいる場合など、渡したい相手に渡したいタイミングで活用する事ができます。
メリット3,何人に贈与をしても1人あたり110万円以内なら非課税
110万円の基礎控除は贈与した相手1人ごとに適用されます。1人あたり110万円以内(1年間)であれば何人に贈与しても税金はかかりません。資産額が多い場合は複数人に贈与をすることで効率よく相続資産&相続税を減らしていく事ができます。
メリット4,相続税より低い税率で資産を渡せる
110万円を超える資産を贈与したとしても、そこにかかる贈与税と相続税を計算すると実は贈与税を払った方がお得であるというケースがあります。
例えば、資産1億円の方が200万円の贈与をしたとすると、贈与税は(200万円-110万円)✖10%で9万円かかりますが、資産1億円の方から200万円を相続すると、200万円✖30%=60万円も相続税がかかるため、贈与した方が差し引きで51万円も節税できる計算になります。
自分の資産と相続税率&贈与税率を計算し、相続税率より低い範囲内で贈与をすれば確実に節税をする事ができます。
暦年贈与で注意するべきポイントとその対策
ここからは暦年贈与をする上で注意しておいて欲しいポイントをお伝えします。
節税効果に優れた暦年贈与ですが、活用にあたってはいくつかポイントをおさえておかないと税務調査が入り追徴課税を受ける、などのリスクもあります。
①相手に知らせないまま贈与
一つ目の注意ポイントは贈与する相手に知らせずに贈与をしてしまうという事です。よくあるケースとして子供名義の口座を作ってそこに資産を定期的に移していたがその事を子供に知らせずに亡くなってしまうケースです。
この場合、その資産は贈与があったものではなく、相続財産としてみなされてしまいます。というのも贈与が成立するためには、贈与をする側、される側の両方の合意が必要になるからです。
この場合、贈与を受ける側が贈与を知らされていないので、お互いの合意があったとはみなされません。そのため贈与が成立しない事になり、この資産は相続税の対象となります。
相手が贈与資産の存在を知らないままに相続税の申告してしまった場合、後で税務調査が入り追徴課税として割高な税金を支払う事になってしまいます。
②通帳を自分で管理する
①と似たケースになりますが、たとえ贈与をする上でお互いの合意があっても通帳の管理を子や孫ではなく、自分でしていた場合も贈与が成立しません。
子供がお金を使い込まないか心配で、通帳の管理を自分でしてしまうというケースがあります。しかし贈与が成立するためには、贈与を受けた相手がその資産を自由に活用できる状態になければいけません。
通帳の管理をされている=自由に使える状態ではないのでこちらも贈与が成立せず、相続財産としてみなされてしまいます。
①のケースや、名義は子供や孫でも「自分で管理している」預金は申告漏れになることが多いため、税務署はこういった預金がないか?を徹底的に調べてきますし、バレてしまいます。絶対に気をつけて下さい。
③110万円以内で贈与したのに相続税がかかる可能性
毎年110万円以内の非課税の範囲で贈与をしていると贈与ではなく「相続」とみなされてしまうケースもあります。
例えば、専業主婦の妻の口座に毎年110万円の贈与を繰り返し行って夫がなくなった際、妻の口座に多くの資産が残っていた場合は税務調査の対象になります。
専業主婦なのにまとまった資産があるのは不自然だと見られるわけです。加えて110万円以内なら贈与税の申告をする必要もないので、その資産は贈与によるものだと証明できるものがありません。
そのため、この資産は相続資産にあたるとみなされて相続税が課せられる事になってしまいます。こういった事態を避けるため、110万円以内の贈与では以下のポイントを押さえて下さい。
贈与契約書を作って証拠を残す
確実に贈与があったことを証明できる契約書を作りましょう。この際、契約書を公正証書で作るとより証明力が高くなります。ただし、公正証書作成には手数料が発生します。
111万円の贈与で1000円の贈与税を支払う
あえて1万円多く贈与して申告し、1万円✖10%=1,000円の贈与税を支払う事で、贈与をした証明を作る事ができます。
でもなぜ111万円なのか?
110万1,000円なら税金が100円ですむんじゃないか?と思われるかもしれませんが、1,000円未満の税金は切り捨てとなるため無税扱いとなってしまいます。そのためプラス1万円が贈与税を申告できる最小単位になります。
④不動産を生前贈与する場合の注意点
不動産を生前贈与する際に注意して欲しいのは、二つのポイントがあります。
- 相続に比べて不動産取得にかかる税金が高くなる
- 小規模宅地の特例が活用できない
本来不動産を取得する際には、不動産取得税と登記をする際に必要な登録免許税が必要になります。ただ相続で不動産を取得する場合は、不動産取得税は発生せず登録免許税も不動産評価額の0.5%ですみます。
しかし、贈与の場合は不動産取得税が評価額の3%発生し、登録免許税も2%と相続の4倍になります。さらに贈与の場合は「小規模宅地の特例が使えない」というデメリットもあります。この特例は相続した住宅用地等の評価額が80%引きで計算されるというものです。(一定の条件があります)
例えば、5,000万円の土地を子供に渡す場合贈与の場合は、5,000万円✖55%=2,750万円もの贈与税がかかるのに対し相続の場合は、土地の価値から8割引した価格に税金がかけられるので、土地の評価額は5,000万円✖20%=1,000万円となり相続税は1,000万円✖10%=100万円となります。
同じ土地でも、贈与だと2,750万円の税金がかかるのに対し、相続なら100万円で済んでしまうことになります。
また相続税には3000万円+(600万円✖法定相続人)の基礎控除があるので資産の合計がその範囲内であれば税金はかかりません。あくまでこれはケースバイケースで、一概に判断できるものではありませんが、不動産を贈与するにはこういったデメリットもあることを知っておいて下さい。
⑤亡くなる7年前の贈与は相続税の対象
亡くなる7年前までに贈与をした資産は相続税の対象となります。なので、暦年贈与を効果的に行うには早い段階から活用していく必要があります。
⑥申告方法について
贈与税の申告は「贈与を受けた方」が行うことになります。贈与をした側ではありません。申告時期は贈与があった翌年の2月15日までとなっています。
ただし申告者が未成年の場合、10歳前後であれば本人の、それより幼い場合は親権者が代理で記名・押印して申告書を作成&申請します。
暦年贈与はこんな方におすすめ
①資産額が大きい方
資産額が多く、相続税が多くなると予測される場合に効果的です。
②早い段階から計画的な節税をお考えの方
高齢になってからというのは生前贈与加算の事もあり、節税効果があまり見込めないケースがあります。早い内から段階的な利用が効果的です。
③確実に資産を渡しておきたい方いる場合
暦年贈与は相続人だけでなく、それ以外の方にも自由に活用できます。確実に資産を渡しておきたい相手がいる場合に効果的です。
注意!今後は暦年贈与が使えなくなる可能性も
ただし注意して欲しいのは、今後暦年贈与が使えなくなる可能性があると言う事です。国は相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税するという観点から、相続時精算課税制度のようなやり方をメインにしていく方向で考えています。
令和4年度の税制改正大綱では暦年贈与が変更される事はありませんでしたが、今後はそういった流れが進んでいくことが予想されます。
例えば、生前贈与加算が3年から5、10年と長くなっていく可能性なども考えられるので暦年贈与で節税を考えるなら早めの活用が重要となってきます。
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相続時精算課税制度3つのメリット
次に生前贈与2つ目の方法として相続時精算課税制度について詳しくお伝えします。この制度には主に3つのメリットがあります。
メリット① 2500万円までは贈与税がかからない
一度にまとまった資産を渡す必要がある際、暦年贈与なら110万円までしか控除がなく、多くの贈与税がかかります。しかしこの制度を申請すれば2500万円までは贈与税がかからないというメリットがあります。
メリット② アパートなど収益物件の贈与に効果的
アパートなどの収益物件を贈与する場合この制度が効果的になるケースがあります。家賃収入など定期的な収益があると毎年資産額が増えてしまい最終的に相続税が多くかかることがあります。
そういった収益物件を早めに贈与しておけば、将来生まれる収益に対して相続税がかかることはありませんし、その収益も子供の収入にする事ができます。
不動産の贈与は高額になるケースが多いので、2,500万円まで非課税になるこの制度が有効になります。
メリット③将来値上がりする資産の贈与に効果的
収益物件だけでなく、将来確実に価値が上がると予測されるような土地や株式なども、この制度を活用して早い段階で渡しておけば相続税対策になります。
相続時精算課税制度の注意するべきポイントと対策
2,500万円まで贈与税がかからないと言われると魅力的に感じますが、この制度を使う場合は以下の注意が必要です。
①直接的な節税効果は薄い
率直に言ってこの制度は暦年贈与に比べて直接的な節税効果は薄いです。相続時精算課税制度は2,500万円まで贈与税がかからない一方、生前に贈与した資産にも相続税が発生するというシステムになっています。
7,000万円あった資産を本制度を活用して2,000万円分贈与し、5,000万円の資産を残して亡くなった場合、相続税の対象資産は5,000万円ではなく生前贈与分2,000万円を含めた7,000万円で計算されます。つまり2,500万円分の相続税が節税できるのではなく、相続税の支払いを「先送り」しているにすぎません。
②一度選択するともう暦年贈与には戻れない
この制度を一度選択すると、もう2度と暦年贈与を活用する事ができなくなってしまいます。相続時精算課税制度のメリット・デメリットをしっかりと考えた上での決断が必要になります。
③不動産を贈与する場合の注意点
相続時精算課税制度で不動産を贈与する場合、こちらも暦年贈与と同様、相続に比べて不動産取得税が発生したり登録免許税が割高になります。
ただ、家賃収入など将来的な収益が見込める不動産や、値上がりする土地などの場合はそういった税金を支払っても断然お得になるケースがありますので、こちらはどちらがいいのか?を事前にシュミレーションする事をお勧めします。
④申告方法
相続時精算課税制度の申告も贈与をする側ではなく、贈与を受ける側が行う事になります。ただ、この制度を活用するための申請をせずに贈与をした場合は暦年贈与が適用される事になります。
制度の申請を怠って、まとまった資産を贈与すると多額の贈与税が課せられる事になるので注意して下さい。
相続時精算課税制度はこんな方におすすめ
①相続税が発生しない方
そもそも相続税が発生しないという場合は相続時精算課税制度は有効な方法になります。
相続する資産額から3,000万円+(600万円✖法定相続人数)を控除した金額に相続税が課せられますので、資産の合計が控除額以下であれば、例え2,500万円贈与をしていたとしてもそれが相続税の対象とはなりません。
②まとまった資金を贈与したい方
借金の返済など、止むを得ずまとまった資産を贈与する必要がある場合、多くの贈与税が必要になるため、相続時精算課税制度の活用が有効になるケースがあります。
ただ、まとまった資産でも贈与目的によっては相続時精算課税制度を利用しなくても贈与税がかからない特例もありますので、しっかりシュミレーションした上での活用をお勧めします。
③収入が発生するアパートなどの贈与
家賃収入が毎年発生するような不動産は相続資産が大きくなりがちなので、この制度を使って早めの贈与が効果的になるケースがあります。
④所有している財産が将来確実に値上がりする場合
駅近など利便性が高く将来的に値上がりをする土地、上昇が予想される株式などは相続時精算課税制度の活用が有効になるケースがあります。
多額の贈与税が非課税になる特例
基本的に多額の贈与には多額の贈与税がつきものです。暦年贈与では110万円までしか控除がありませんし、相続時精算課税制度では2,500万円までは非課税ですが、相続税は免除されません。
しかし、贈与の目的によっては多額の贈与でも非課税(もちろん相続税も)になる特例があります。ここではそんな特例を5つご紹介します。
特例①2,000万円まで非課税になる「おしどり贈与」
婚姻期間が20年を超える夫婦間で住宅の贈与、または住宅を取得するための資金を贈与する場合は2,000万円まで非課税となります。活用にあたっては以下の注意点があります。
- 別荘は対象外になること
贈与を受けた住宅に住み続ける必要があること
(贈与を受けた翌年の3月15日まで実際に住んでおり、それ以降も住み続ける予定であること)
- 同じ相手に1回のみしか使えない
特例②結婚、子育て資金の贈与は1,000万円まで非課税
20歳以上50歳未満の子や孫に結婚子育て資金の贈与をする場合、最大で1,000万円まで非課税になります。結婚式の費用などは300万円、出産、医療、保育など子育てにかかる費用については1,000万円までが非課税になります。
活用にあたっては以下の注意点があります。
- 贈与を受ける方の前年の所得が1,000万円を超えている場合はこの特例を活用できません。
- この特例は今のところ2023年の3月までとなっており、今後延長されるかどうかは未定です。
特例③住宅取得資金贈与は1,000万円まで非課税
18歳以上の子や孫が新築を取得する場合、あるいは増改築をする場合に必要な資金を贈与する場合は1,000万円まで非課税となります。
活用にあたっては以下の注意点があります。
- この特例が活用できる期間は令和4年1月1日~令和5年12月31日までとなっています。
- 1000万円が非課税になるのは、取得する住宅が一定の省エネ基準を満たしている必要があります。それ以外の住宅は500万円までが非課税になります。
- 贈与を受けた方の所得(贈与を受ける年分)が2,000万円を超える場合はこの制度を活用できません。
- 身内が持っている住宅を買い取る資金には活用できません。
新築を購入するか、他人から中古住宅を購入する場合に活用できます。ただし、身内から買い取った家を増改築する場合の資金としては活用できます。
この特例を活用するには他にも細かいルールがあるので、必ず専門家に相談する事をお勧めします。
特例④子や孫の教育資金の一括贈与は1,500万円まで非課税
30歳未満の子供や孫がいる場合、学校の入学金や授業料、給食費などの資金を贈与する場合1,500万円まで非課税になります。
活用にあたっては以下の注意点があります。
- 贈与を受けた方が30歳になった後、もし贈与した資金が残っていた場合は残額に対して贈与税がかかります。
- この特例は今のところ2023年の3月までとなっており、今後延長されるかどうかは未定となっています。
特例⑤障害者への贈与は6,000万円まで非課税
障害者の生活費にあてるための贈与が最大6,000万円まで非課税になります。(障害の種類等により非課税になる金額の上限が違います)ただこちらの特例は他の贈与と少し流れが違います。
通常の贈与は相手に対して直接資産を渡すのに対し、この特例は「信託」という形で贈与が行われます。贈与者が銀行に贈与予定の資産を信託し、銀行から障害者に対してその都度資金を渡すという仕組みになっています。
活用にあたっては以下の注意点があります。
- 信託口座を開設する必要があります。
- 信託報酬を銀行に支払う必要があります。
報酬は銀行によって異なり、年1~2%の信託報酬が必要な銀行もあれば、信託設定時に2~3%の報酬だけですむ銀行もあります。この特例を活用する場合は、信託報酬が設定時の支払いだけですむ銀行を選ぶ事をお勧めします。
例えば6,000万円を信託するとなると、年払い方式の銀行では、年率1%でも毎年60万円も支払う必要があります。そのため、設定時のみの支払い方式としている銀行を選んだ方が安全です。
特例を活用する上での注意点
こういった特例を活用するにあたって気をつけて頂きたいのが、ご紹介した点以外にも細かいルールがあること、そして申告の方法についても、各種申告書作成に加え、専用の口座を開設したり、契約書の作成や、確定申告などが必要なケースもあり、手続きが複雑で面倒になるケースもあります。
活用にあたっては専門家への相談をお勧めします。
まとめ
生前贈与の方法には主に、暦年贈与、相続時精算課税制度、多額の贈与税が非課税になる特例の3つがある
直接的な相続税対策を考えるなら暦年贈与。一度にまとまった資金を渡す必要がある、あるいはそもそも相続税がかからないなら相続時精算課税制度。まとまった資金でも条件を満たすなら特例を使うのがお勧め
申告や活用には細かいルールがあり、間違うと追徴課税を受けたり、特例の利用ができないといったトラブルが発生するので専門家に相談する方が安全です。
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自分にはどんな方法が向いているの?
これまで生前贈与の方法と、そのメリット・デメリットを含めた全体像をご紹介しましたご自身にとってどんな方法が向いているのか?の判断材料にして頂けたなら幸いです。
ただ、どんなやり方が「ベスト」なのか?というと正直ケースバイケースになってしまいます。
ここでは紹介しきれない仕組みやルールがありますし、贈与税、相続税の税率も複雑なので納得いく、ベストな選択をしたいとお考えであれば、色々なケースを想定したシュミレーションを行い比較判断した方が得策です。
この記事の監修者
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