【保存版】不動産を相続した場合の注意点は?司法書士が解説!

不動産を相続した場合の注意点は?

この記事を要約すると

  • 不動産を相続すると固定資産税を支払う義務が発生し、所有者が土地を管理する手間もかかる
  • 共同で土地を所有すると処分や活用がしづらくなり、年月の経過とともに誰が共有持分権者かがわからなくなりやすい
  • 相続放棄は、期限を過ぎるとマイナスの資産であっても相続しなくてはならない「単純承認」みなされてしまうため、決められた期限内に手続きを行う必要がある

不動産相続をどのようにするべきか、困っていませんか?相続人が複数いると、意見が分かれてなかなか決められず、話し合いが進まなくて悩んでいる人も多いでしょう。

不動産の相続はを安易に行ってしまうと、後でトラブルに発展するリスクが高いです。

特に、自分にとって不要な土地や活用の目途が立たない土地、いわゆる「いらない土地」の相続には気を付けなくてはいけません相続前に「いらない土地」を相続するべきかどうか、相続する場合は誰がどのように相続するかをしっかりと決めておく必要があります。

また、誰も相続したい人がいない・相続をしても使い道がない場合は相続放棄も視野に入れましょう

この記事では「いらない土地」や不動産を相続した場合の注意点、不動産を相続する人の決め方、相続放棄を選択する場合に注意することを詳しく解説します。

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いらない土地を相続した場合の注意点 

相続財産の中に不動産が含まれており、「いらない土地」を含めて遺産分割をしなければならないケースも多いでしょう。その際、相続後にどのような問題が起こるか、どんなリスクがあるかを踏まえて、相続を検討しなければなりません。

ここでは、「いらない土地」を相続した場合の注意点を3つ紹介します。

固定資産税がかかる

土地を相続すると、固定資産税を支払う必要があります。固定資産税は、土地・家屋などの固定資産に対してかかる税金です。

「いらない土地」も固定資産に該当するため、相続すると支払い義務が生じます。

固定資産税を算出する計算式は、以下の通りです。

固定資産税評価額×1.4%(標準税率)

持ち主に対して送付される課税の明細書にて、正確な納税額が確認できます。

管理に手間がかかる

「いらない土地」であっても、相続したからには管理しなければなりません管理が行き届いていないと、土地の近隣住民から苦情が入り、思わぬトラブルが発生します。

苦情の内容は、住んでいない人にとっては「それぐらいのこと大目に見てくれれば良いのに」と思うような内容かもしれません。しかし、近隣住民にとっては、自分自身の生活を脅かす問題です。

定期的に土地に出向き、害虫を駆除したり敷地の外にはみ出ている枝を切ったり、家の破損や悪臭などがないかをチェックしたりするなど、想像以上の手間がかかります。

土地によってはアクセスが悪く、行くだけで大変な場所もあるでしょう。自分自身で行えない場合は、管理を代行してくれる業者に依頼する方法もありますが、代行費用が発生します。

管理し続けるとなると、手間も時間も、そして費用もかかることを理解しておきましょう。

損害賠償のリスクがある

相続した土地が管理できないまま、近隣住民からの苦情も放置していると、損害賠償を請求されるリスクがあります

管理不足で発生する損害賠償の理由は、以下のようなものが挙げられます。

  • 敷地内の木やブロック塀が倒れて、通行人にけがをさせた
  • 空き家が倒壊して隣の家の一部が破損した

破損した家を修復するための費用、けがをして通院や入院をするための費用などを含め、相手に対して損害賠償をしなくてはなりません。

安易に相続したことで、予想外のトラブルを招く恐れがあることを理解しておきましょう。

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不動産を誰が相続するかを決めなければならない

不動産相続は、1つの不動産であっても相続人全員で話し合いをし、誰が・どのように相続するかを決めなくてはなりません

ここでは、不動産を相続する方法や相続する人を決める際のポイントを解説します。

遺産の分け方について相続人全員で話し合いが必要

遺産は、相続人全員の共有財産です。不動産を含め、遺産の分割は相続人全員で「遺産分割協議」をして決めます。相続人が1人でも欠けていると、取り決めた内容は無効です。

ただし、全員で同じ場所に集まって協議をする必要はなく、電話やメールなどでの話し合いも問題ありません。

まずは一部の相続人で協議をし、その内容について協議に参加できなかった相続人に確認後、承諾を得れば「遺産分割協議」が成立した、とみなされます。

相続人全員が、遺産分割協議の結果に合意している事実があるかどうかが重要なポイントです。

不動産の共有はできるだけ避ける

不動産は、複数の相続人で所有する「共有名義」での相続が可能です。各共有者に共有持分ごとの所有権が与えられます。

共有名義にすると、公平に遺産分割ができる・不動産の評価方法で揉めない・代償金の問題が発生しないなどのメリットがあるでしょう。

しかし、共有名義にした土地は、共有者全員の同意がないと、土地の処分も活用もできません共有者同士の意見が合わないと、さまざまなトラブルに発展する恐れがあります。

また、共有持分の所有者が亡くなると、さらにその相続人が共有持分を相続人同士で分割するため、共有持分が細分化された結果、誰が所有権を持っているかがわからなくなるリスクもあるでしょう。

共有者同士のつながりも薄くなっていくと、さらに土地の活用や売却は困難になります。不動産の共有はできるだけ避け、相続人のうちの1人が所有できるように話し合いを進めましょう

代償分割や換価分割といった方法も

遺産のほとんどを土地が占めており、相続人同士の分割割合が大きく異なると、相続人同士のトラブルに発展しやすいです。

そこで、不公平にならないように代償分割や換価分割での相続も検討しましょう。

代償分割

代償分割とは、相続人のうちの1人が土地を引き継ぎ、他の相続人に代償金を支払う方法です。他の相続人は土地を相続しない代わりに代償金を受け取ります

換価分割

不動産を売却し、相続人同士が現金を分ける方法です。相続人が共同で不動産を売却後、売却で発生した経費を差し引いた金額を協議の通りに分配します。

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相続放棄を選択する場合に注意しておきたいこと

不動産相続の相続によるリスクが大きすぎると判断した場合、相続放棄を選択することもできます。ここでは、相続放棄を選択する場合の注意点を詳しく見ていきましょう。

相続放棄ができる期間は3か月である

相続放棄が可能な期間は、原則として「相続開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」と定められています。

相続は急に発生することが多いため、身の回りの整理であっという間に3ヶ月が経過してしまいます。落ち着いたころに相続の整理に取り掛かろうと思ったら、マイナスの資産が多いことに気づき、相続を放棄しようと思ったらすでに期限が過ぎていた、というケースも少なくありません。

民法第915条でも、以下のように記載されています。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

参照元:e-GOV

相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎると、資産はプラスでもマイナスでも、すべてを相続する「単純承認」をしたものとみなされます

相続放棄の期限が過ぎた場合でも、状況によっては相続放棄の手続きができることもありますが、必ず手続きができるとは限りません。

相続放棄を検討する際は、期限である3ヶ月以内に手続きを済ませられるように準備を進めましょう。

 

特定の財産だけを放棄することはできない

相続放棄を選択する場合、特定の財産だけを放棄することはできません。いらない財産だけ放棄して、いる財産だけを受け取れれば良いと考えるかもしれませんが、相続放棄を選択するとすべての財産を放棄することになります。

ただし、相続放棄の期限である3ヶ月以内に手続きを行えば、相続する財産の範囲内で被相続人の債務を負担する「限定承認」も可能です。

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まとめ

この記事では、自分にとって不要な土地や活用の目途が立たない土地である「いらない土地」を相続する場合の注意点や不動産相続において知っておきたいポイントを解説しました。

亡くなった人の土地は、相続財産として相続人全員に相続する権利があります。

しかし、実際には土地を相続した後に、固定資産税を支払う義務が生じる・土地の管理に手間がかかるなど、さまざまなデメリットもあります。放置してしまうと、近隣住民から苦情が入ったり、最悪の場合は損害賠償責任を問われる恐れもあるでしょう。

「土地を相続しようか迷っている」「誰がどのように土地を相続するか、相続人同士の意見がまとまらない」などお悩みなら、ぜひ一度司法書士にご相談ください。

 

この記事の監修者

“横浜市内の相続代行の相談を受ける司法書士”

あいりん司法書士事務所    梅澤 徹

資格:司法書士・行政書士・宅建取引士

横浜市内の相続専門司法書士事務所で修行したのち独立。不動産が絡む難しい相続手続きが得意。宅地建物取引士資格も保有し、不動産コンサルティングには定評あり。

現在はあいりん司法書士事務所を経営。相続専門5期目として相続業務を幅広く対応。

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