この記事を要約すると
- 死亡診断書の発行は原則1枚のみ
- 死亡診断書は多くの手続きで必要となるために複数枚のコピーを残す
- 死亡診断書の再発行には想像以上の時間と手間を要する
家族が亡くなった悲しみも癒えぬ中、故人の没後に処理しなければならない手続きが多々あります。保険金の請求、受給している年金、故人の財産の名義変更等…。
それらの作業の中で忘れてはならないのが「死亡診断書を複数枚コピーしておくこと」です。
この記事では死亡診断書について提出先や提出期限を記載しています。
目次
死亡診断書は必ずコピーを取っておく
死亡診断書の発行は原則1枚限り。
死亡診断書は市区町村役場に届け出ますが、故人が生前使っていた各種契約の解約時や名義変更手続きをする際にも必要となりますので、必要な枚数分はコピーしたもので代替することになります。
これを忘れていると、後々の手続きの中で時間と手間を取られることになります。
死後の手続きや相続手続きで死亡の事実が確認できる書類を求められたときは、例として以下のものが挙げられます。
- 戸籍または除籍の全部事項証明書(謄本)・個人事項証明書(抄本)
- 死亡診断書のコピー
- 死体火葬許可証または死体火葬許可発行済証明書
- 死亡届書記載事項証明書
- 死亡の記載がある住民票の写し(除票)
これらの書類は、死亡の事実を公的に証明するものです。葬儀や保険金の請求、法的手続きなどで必要とされます。
また、最近では電子化された死亡情報システムの導入も進んでおり、オンラインで死亡情報の登録や証明書の発行ができるようになってきています。
求められる書類は、手続きによって異なりますので提出先に必要な書類を確認してから用意しましょう。
死亡届と死亡診断書は、1枚の同じ用紙に印刷されている
死亡届と死亡診断書は、それぞれが別の紙に印刷されるものではなく、1枚の同じ用紙に印刷されています。
死亡届と死亡診断書の違い
死亡届と死亡診断書は、どちらも同じようなものだと考える人も少なくないと思います。どちらも死亡を証明する公的書類ですが、その目的や記載内容、用途が異なります。
死亡届 | 死亡診断書 | |
発行主体 | 遺族が市区町村役場に提出する書類 | 医師が発行する書類 |
目的 | 死亡事実を公的に届け出るための書類 | 死亡原因や状況を医学的に証明するための書類 |
記載内容 | 故人の氏名、生年月日、死亡日時、死亡場所などを記載 | 死因、死亡経過、死亡時の状況などを詳細に記載 |
用 途 | 戸籍の記録や相続手続を開始するために必要 | 葬儀の手続きや保険金の請求に必要 |
提出期限 | 死亡した日または死亡を知った日から7日以内に提出 | 死亡後すぐに医師が発行 |
死亡届と死亡診断書の作成目的の根本的な違いは、「死亡届は遺族が提出する書類で死亡事実を公的に届け出るもの」であり、死亡診断書は「医師が発行する書類で死亡の原因や状況を医学的に証明するもの」だということです。
1枚の用紙に記載されている理由
死亡届と死亡診断書は、密接に関連する書類です。この2つの書類は、A3サイズの1枚の用紙に印刷されています(左半分が死亡届、右半分が死亡診断書)。
1枚の用紙に印刷されている理由は以下のようなものです。
効率性の向上
どちらも死亡の事実を確認する上で不可欠な書類です。1枚の用紙に両方の情報が記載されていれば、手続きの効率が高まり、役所が保管・管理する際も容易になります。
正確性の確保
死亡届と死亡診断書の情報の一致が確認できます。両者の内容に矛盾がないことを確認でき、正確性が高まります。
利便性の向上
死亡届と死亡診断書が一体となっているため、必要な書類を一度に入手できます。葬儀や保険金の請求など、死亡に関する各種手続きで活用しやすくなります。
法的要件の充足
死亡届の提出は法的義務であり、死亡診断書は必要不可欠な書類です。両者が一体となっていることで、法的要件を満たすことができます。
死亡届の提出方法
死亡届の提出には、期限や届出人の条件などが定められています。あらためて確認しておくと安心です。
死亡届の提出義務
故人と一定の関係がある者(提出義務者)は死亡届を提出する義務があり、その期限は死亡の事実を知った日を含め7日以内と定められています。
※届出義務があるのに期間内に提出しなかった場合、5万円以下の過料に処せられます。
死亡届の提出義務者はこちらです。
- 同居の親族
- その他の同居人
- 家主、地主、家屋の管理人、土地の管理人
- 後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者
※これらの者は1から3の順位で、死亡届を提出しなければいけません。1に該当する人がいれば2、3にあたる人は義務者になりません。
原則として上記の人に死亡届の提出義務がありますが、葬儀社がサービスのひとつとして代行することもあります。
なお、死亡届を提出しても銀行口座は凍結されませんのでご安心ください
死亡届の提出先
死亡届は、次のいずれかの土地の市区町村(市役所、区役所、役場)の戸籍課、戸籍係に提出します。
- 死亡者の本籍地
- 届出人の住所地
届出に必要なもの
- 印鑑(シャチハタ以外の認印可)
- 死体火葬・埋葬許可交付申請書
死体火葬・埋葬許可交付申請書の提出
死体火葬・埋葬許可交付申請書は、役所の窓口に備えられている場合が多く、その場で記入して死亡届と一緒に提出します。
また、火葬場所も記載することが必要となりますので、市内に複数の火葬場がある場合は火葬場所を手配している葬儀社に死亡届の提出を依頼すると段取り良く進めることができます。
火葬の際に必要となる火葬許可証は、死亡届が受理されると発行されます。
死亡診断書のコピーが必要になるケース
相続手続きや各種手続きを円滑に進めるために死亡診断書のコピーを複数枚取っておくことは非常に重要です。
死亡の記載のある戸籍があれば手続きが可能な(代替できる)場合も多いですが、死亡診断書が必要な手続きも少なくありません。
死亡診断書のコピーを紛失しても慌てて再発行に動くことはありませんが、時間と手間を考えると(手続きの最初に)死亡診断書のコピーを複数枚取っておくことをおすすめします。
保険金請求時
保険会社の所定の請求書に加え、死亡診断書のコピーを提出する必要があります。死亡診断書以外にも、死亡届の控えや戸籍謄本など、各保険会社が求める書類を準備しましょう。
※契約後2年以内の死亡の場合や、保険金額が一定額以下の場合は、死亡診断書ではなく死体検案書でも請求可能な場合があります。
年金の受給者
年金の受給権者が亡くなった場合、遺族は「受給権者死亡届」を提出する必要があります。その際も死亡診断書のコピーが必要となります。
携帯電話の解約
携帯電話の契約者が亡くなった場合、携帯電話会社に解約手続きを行う必要があります。
この解約手続きには、死亡が確認できる書類として、死亡診断書のコピーなどの提出が必要となります。
公共料金の名義変更
公共料金(電気、ガス、水道など)の名義変更には、死亡が確認できる書類として、死亡診断書のコピーなどの提出が必要となります。
相続手続き
相続には、様々な書類の提出が必要になります。死亡診断書はその重要な書類の1つです(除籍謄本でも同じ効力があります)。
コピーを取らずに死亡診断書を提出してしまった場合
死亡診断書のコピーがない場合、各種手続きを行う際に、死亡診断書の再発行を求められることになります。
しかし、死亡診断書の再発行には一定の条件があり、簡単には受け付けてもらえない可能性があります。後々様々な書類の再発行や追加手続きが必要となり、非常に面倒な状況に陥る可能性があります。
※除籍謄本に故人の死亡が記載されている場合は死亡診断書の代替になることがあります。
ただし、死因や死亡状況などの詳細が分からない場合は死亡診断書の提出が求められる場合があります。
死亡診断書の再発行手続き
再発行の際は、医療機関に直接申請する必要があり、再発行には、本人確認書類の提示や申請書の記入など、一定の手続きが必要となります。
一般的な死亡診断書の再発行費用は、3,000円~10,000円程度です。
※医療機関によって、再発行の手数料は異なります。
再発行には委任状が必要な場合も
死亡者の親族以外の人が死亡診断書の再発行を申請する場合は、委任状の提出が必要となります。
委任状の内容や提出方法については、事前に医療機関に確認しましょう。
よくある質問
死亡診断書のコピーは、何枚くらい必要ですか?
死亡診断書のコピーは、保険金の請求や年金受給などの手続きで必要となるため、事前に3~5枚コピーを取っておくことをおすすめします。
死亡届は返却してもらえますか?
死亡届を提出した際に、役所の担当者に原本の返却を依頼することで、死亡届のコピーを受け取ることができます。
原本は保管しておく必要がありますが、後々の手続きのためにコピーを取っておくようにしましょう。
死亡届記載事項証明書がもらえませんでした。どうすれば良いですか?
死亡届記載事項証明書を受け取るには、死亡届を提出した市区町村役場または管轄の法務局に請求する必要があります。
※必要書類:受取人であることがわかる書類(戸籍謄本など)、本人確認書類(運転免許証など)。
※手数料:1通350円。
まとめ
遺族の方々にとって、死亡時の手続きは複雑でわかりにくいものです。しかし、適切な手続きを踏まないと、遺産の相続や保険金の請求など、様々な問題が生じる可能性があります。
そこで、専門家に無料で相談できる司法書士事務所をおすすめします。
司法書士は相続手続きの専門家で、死亡届の提出、遺産分割、相続登記など、死亡時の手続きを丁寧にサポートしてくれます。
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事前に関係書類を準備し、「あいりん司法書士事務所」にご相談ください。
この記事の監修者
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